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第4話「星屑少年」

意地っ張りで透き通るような黒髪をもつ少年………


「星屑少年っ!!」


そうだ!

このひと、私が思い描いてた『星屑』の主人公の少年とイメージとぴったりなんだ!

あ〜すっきりしたぁ……


美少年はなぜか眉をしかめた後、驚いた表情でこちらを見ている。


あっ……またやってしまった………

私ってすぐ思ったこと何でか口に出しちゃうんだよね。


「す、すみません。えーっと…貸し出しですね」


うわぁー…これじゃあ私本当に変人じゃないか。

急に叫んだりした自分が恥ずかしくなって、慌てて記録に目を落とす。


「じゃあ、学年とクラスと名前を言ってもらえますか?」

「…は?」

「え?」


美少年の怪訝そうな声に思わず反応してしまった。

私、またもしかして気付かないうちに何かしちゃった……?


「えっと………?」

「お前、俺のこと知らないのか?」


美少年はいきなりそう尋ねてくる。

私は躊躇いがちにも小さく頷いた。


だってこんな美少年、一度見たらなかなか忘れる事なんて出来るわけがない。

するとなぜか美少年はぶっと小さく吹き出した。


「ふーん、めずらしい奴もいるもんだな」


はい………?


「お前、名前は?」


いや、美少年さんよ。

さっきから私が君に名前を聞いているのだが?


そうは思いながらも、妙な威圧感におされ気味になり強く前にでれないまま、私はしぶしぶと名前を口に出した。


「一年の白崎葵衣です。というかあの……学年とクラスと名前を……」

「一年Bクラス早坂健人ハヤサカケント


ええっ!?

この人一年生なの……!?

うわぁ、ぜったい詐欺だぁ………

一年の癖にこんな態度が大きかったの?

………ってアレ?


「………はやさか………?」


つい最近、いや、ついさっきこの名前をイヤというほど耳にしたぞ?


「あのさ」

「えっ!?」

「早く借りたいんだけど、さっさとしてくんない?」

「は、はいっ!!」


私は鉛筆を持つと慌てて貸し出しの記録の欄に記入し始めた。


「お前さ、その本好きなの?」

「本?」


動かしていた手をとめて見てみると、美少年、もとい早坂君は私のあけっぱなしの鞄に入っている本を見ていた。


「本ってその『星屑』のこと??う、うん。そのシリーズはすごい好きだよ」

「ふーん…。さっきの星屑少年って何?」


うわぁ〜〜!!

は、恥ずかしい……

やっぱり、さっきの発言ばっちり聞かれてたのか……


「ご、ごめんなさい……えっと、この本に出てくる主人公のイメージがあまりにも早坂君にぴったりだったから……つい、そのぉ〜……」


恥ずかしすぎて顔を俯けていたが、早坂君からは何も反応が返ってこない。


やっぱり変な子だと思われたよね……


そろそろと顔をあげてみると、驚くことに早坂君は私の顔をじーっと見つめていた。


うわぁ……美少年に見つめられるってすごいプレッシャーだ……


私は恥ずかしさを隠すように、慌てて止まっていた手を動かし記入し終わると、顔も見ずに早坂君に本を手渡した。


ぜったい今顔真っ赤になってる気がする……


すると早坂君がいきなり堪えるように体を震わせ始めた。


「くくっ……すげぇ顔真っ赤。どうやったらそうなんだ」


そ、そんなに笑わなくてもいいのに……!


「お前葵衣っていったっけ?今週はずっとここにいるのか?」

「えっ?う、うん」

「どうせここにはそのシリーズ三巻までしかないだろ?続き持ってるから貸してやるよ」

「えっ!?うそっ!?いいの!?」


思ってもみない話に驚いて目を見開く。


「ああ。そのかわり、俺が放課後図書室にいることは絶対誰にも言うなよ」

「は、はい……」


早坂君はそう言って本を受け取ると、鞄を手にして図書室から出ていった。


私はなぜだか早坂君の笑顔が頭から離れないまま、しばらくドキドキしてその場から動けないでいた。




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