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メモリア・アフェクトゥス

作者: 猫巻団子

メモリア・アフェクトゥス

街の一角にあるお花が多いお店

人の大切な自分自身を売買しているらしい



それってなに?



:ようこそお客様:




街の一角にあるこの店は少し特殊なものを扱っていた


チリン

耳に良いベルの音が響き入口のドアが開く

「いらっしゃいませ、どうなさいましたか」

「お願いします。私の記憶を売らせてください」


記憶


そう、この店は記憶の売買を行っていた

なんでそんな店をしているかは覚えてない。多分どこかに私も売ってしまったのだろう

「いいですよ、でもなんの感情の記憶を売りますか?」

目の前の少女、年で言ったら16,17にもなっているかあやしい少女だ。

何をそんなに急いでいるのか

「何が一番高いですか!?」

少女は走ってきたのか、息を切らしながら肩を揺らしていた

「幸せですね。一番需要が高いので」

「じゃあ、それをお願いします!!」

「いいのですか?幸せの記憶は自分を象るものと言っても過言じゃないものですよ」

幸せによってできた人格のが多い

この子はそうだろう

なにも汚いものを見てなさそうな

純粋な瞳、そしてこの感じは自分のためにお金が必要なタイプではないだろう

多分他者、いやこんなに幼いとなると親か兄弟といったところか

「いいです、お願いします」

「はぁまあ良いでしょう」

こんなに幼い子から記憶を取るのは少し気が引けるがこれが仕事だ。最悪この子の記憶は置いとけばこの子が大人になって稼いで戻ってきてもらえれば良い

「それじゃ、そこに腰掛けてくれるかい」

「はい」

少女はすぐに腰を掛けた

礼儀正しい少女だ

私はその少女の頭に手を置き、少しばかり記憶を覗き見させてもらう




たくさんの写真が並ぶ、この子の記憶のサムネイルだ

この中から幸せなものを取り除かなければいけない。幸せの記憶の写真は暖かくオレンジ色をしている

一番近くの一つを手に取る

可愛らしい少年と遊んでいる写真だった

互いに笑い合い、楽しく遊んでいる、きれいな記憶だ

この子の記憶にはほとんど青色の冷たい悲しみの記憶がない

一つを除いて、

最近のものだろう一人の少年が病院でたくさんの管に繋がれてい

これのためのお金か

しかし、幸せの記憶を取ったらこの子に残るのは少年を失うかもしれない不安と悲しみだけ

どうしたものか、そうなったらこの子は少年を救うために使うのか?このお金を。それをするには幸せの記憶がいる。そうしないとなんで少年を助けようとしたかを


わからなくなってしまう



はぁ少しサービスだな


私は少年が写っているオレンジ色の写真を数枚戻し、他の写真を回収し瓶に詰めた





「お客さん、回収が終わったのでこれが幸せの感情の分です」

奥から持ってきた、スーツケースいっぱいのお金を差し出す

「はい!!ありがとうございます!!」

「えぇ、また。次は買いに来てくださいね」

少女は急いで店を出ていった

それに少し安心し腰を下ろす



あの様子なら少年への思いは変わってないだろう

それなら良かった

ふと、少女の記憶を詰めておいた瓶に目をやる

瓶の中の写真の束は花に変わっていた

綺麗な美しいオレンジ色のすみれに






なんでお金を貯めてるかさえ私は忘れてしまった

いや、それすらも売ったのかもしれない

私は、何がしたいのだろうか

記憶を売ったのだけは覚えていた。しかしそれ以外のことは何も覚えていない何のために何の記憶を売ったのか

まぁこんなにも感じられなくなったのだ。ほぼ全て売ったのだろう



チリン

お客さんだ、対応しないと

「いらっしゃいませ」

「こんにちは、買いたいのだけれど良いですか」

背の高めのスラッとした印象の女性。その目は何を考えてるのかわからない

「大丈夫ですけど、すいません在庫がないのが少々あります」

「幸せの在庫はあるみたいですね」

しまった、先のすみれの瓶をテーブルに置きっぱだった

「すいませんこれは予約があるので」

これはダメだ。誰かを救うために売った記憶は思い出したいはずだ

あの少女が買いに来るまで売る気はない

「あれ?昨日まではなかったじゃない」

「そうですが、ダメです予約があるので」

「なんでさ。あなたの店それ以外、青色と黒しかないじゃない」

そう、私の店にはほとんどが黒と青、本当なら捨てたい色しか置いていない

だって、その色しかないから

普通の記憶屋は青と黒の花は買い取らない、それどころかお金を出せば”取り除く”というものを行う

しかし、私の店のこれらは買い取ったものだ

救済と呼ぶものもいるが、自分も何をしてるかわからない

まぁ一定層買い取る者もいるのだが

「だめです、渡しません」

「はぁわかったよ。じゃあそこの青色のバラ頂戴」

「わかりました」

この記憶はあの子が受け取るべきだ、絶対に他のものには渡さない



なんで今日はこんなにお客さんが多いんだろう

いつもなら月に一人とかなのに



チリン



ほら、今日は絶対なにかある

流石に多すぎるよ

「いらっしゃいませ」



新たなお客様は店に入るなり固まってしまった。

「どうなさいました?」

喋らない、どうしたのだろう?

「棚に記憶があるのでお好きに見てください」

まだ、動かない。本当にどうしたのだろう?

「あ…あなた……」

「どうしました?」

お客さんが口をパクパクしながら何かを喋りたそうにしている

「あなた、本当に生きていたの!?」

何の話だ?過去にあったことあるっけ?



―――



生きていた、私のために体でも売っていたとみんなは言っていた

だけど、大好きなあなたは生きていた

良かった

「あなた、良かった生きてて」

あなたは首を傾げる。そんなとこも懐かしい



「すいません」


どうしたの?

そう、声に出す前に

あなたが喋った




「……誰ですか?」



最後までお読みいただきありがとうございます。


もしこの物語が気に入っていただけたら、

続きや別視点もゆっくり書いていこうと思っています

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