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花影の約束  作者: 猫宮梟
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孤独な花

病室に甲高い音が響いた。

竜也が、今まで我慢し続けたが、フウカを馬鹿にされて我慢の限界だったのだ。

彼は自らの父を殴った。父は一瞬何が起こったか分からずしかし我に帰り声を荒げる。

「役立たずの分際で何をするんだ。お前は、なんなのだ。もういい。お前はもう家族でもなんでもない。

2度と俺の前に現れるな。」

父はそのまま病室を出て行ってしまった。


病室に重い空気が流れていた。

竜也の涙交じりの嗚咽のみが病室に響いていた。

フウカは静かに重い口を開いた。

「ごめんなさい。私のせいで。」

しかし、竜也は何も言わない。フウカは続ける

「私が余計なことしたから。ごめんなさい、ごめんなさい」

フウカは泣いていた。そして竜也に対する謝罪をひたすら繰り返していた。

そっと、大きくて暖かいものがフウカを包んだ。竜也が抱きしめたのだ。

「フウカ。大丈夫だよ。君は悪くない。君のおかげで僕は1人じゃないと思えた。あんな人達どうせいても変わんないよ。」

そう言い終わると、竜也は無言で歩き出した。少し、1人になりたい。

しかしフウカは何も言えなかった。我に帰り医者に言いに行った。竜也くんが病室から出てどこかに行った。と

すると医者は驚いたように目を開き、静かに口を開いた。

「そこまで来ていましたか。」

フウカは何を言ってるのか分からなかった。

「どういうことですか?」

緊張で口が思うように動かない。

「竜也くんに、言うなと言われてたのですが、影花病の症状に、孤独を強く感じたとき、自ら命を断とうとする。だというものがあるのです。竜也くんのいる場所に心当たりは?」

医者は焦りながら落ち着いて聞いた。しかしフウカはそれどころじゃなかった。

「自ら命を」頭の中で反復された

そしてかけだしていた。彼の向かった方は登りの階段ら直観的に屋上と思ったのだ。

階段を駆け上がる。心臓が痛い、息が切れる。しかし止まらずに全力で走る。

屋上のドアは開いていた。

「竜也くん!!!!!!」そこには屋上の端に向かう竜也の姿があった。

「フウカ...」

彼はフウカの方を向こうとすらしなかった。そして冷たく言い放った。

「何しに来た。帰ってくれ。」

フウカは竜也を抱きしめた。優しく、しかし強く。

「離さない。絶対に。君を1人になんてさせない」

フウカは竜也のそばにいたいと思っていた。

「うるさいんだよ!お前もどうせ、俺に期待してるだけだろ!!!その期待がウザいんだ!その期待が辛くて苦しいんだ!もうやめてくれよ...もう楽にしてくれ!お前なんかに、わかるはずもないだろ!!!」

フウカを振りほどき、振り向いた竜也の顔は誰もみたことのない程、悲しく孤独に満ちていた


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