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花影の約束  作者: 猫宮梟
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プロローグ:透明な花

家の扉を開けると、いつもの冷たい空気が竜也の肺を締めつけた。

父親の厳しい声が、リビングから聞こえてくる。


「お前は本当に役に立たないな」


その言葉は毎日のように繰り返され、まるで重い鎖のように竜也の心に絡みついて離れなかった。

姉の美咲は、国体の選手として毎日厳しい練習に励み、家族の誇りだった。

弟の翔太は、学校で学年トップの成績を取り、模試でも全国上位に名を連ねている。


両親の期待は、いつも二人にだけ注がれていた。

竜也は、その影に隠れる存在。


夕飯の席でも、父は美咲と翔太の話ばかりをしていた。


「美咲はまた大会で優勝したらしい。翔太も次の模試でトップだと聞いたぞ」


竜也が口を開こうとすると、母が気まずそうに目を逸らす。


「竜也は…どうした?」


父はため息をつき、無言で皿を片付け始めた。


「……なんでもない」


竜也は呟き、黙って箸を置いた。

家族の中で、自分だけが存在しないかのような感覚が募る。

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