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ゼネコン令嬢~ダム・ガール、悪役令嬢になりて異世界に建つ! 継母に家から追放されても、ショタ公爵さまとイチャコラしながらインフラ強靭化計画を実現しますの~  作者: GOM
第2部 ダム・ガール、ショタ公爵様と学園生活を楽しみつつ。、インフラ構築を考える!

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第7話(累計 第51話) ダム・ガール、ゴブリン族の姫と仲良くなる。

「もう大丈夫だよ、リナちゃん。あ、勝手に年下判断しちゃってごめんなさい。一国の姫さま相手に失礼な事を……」


「いえ、エリーザさま。お気になさらずに。おそらくワタクシの方が年下だと思います。アタクシ、先だって十一歳になったばかりですの」


 ゴブリン姫、リナちゃんをイジメる令嬢を撃退した後。

 わたしたちは食堂で食後のお茶を、リナちゃんを交えて行っている。


「やっぱり! わたくしは十二歳です。だって、リナちゃん。とっても可愛いんですもん。わたくし、ずっと妹が欲しかったんです。お姉ちゃんは居ましたけど。だから、可愛くて妹みたいに最初見た時から思ってて……」


「エリーザさまやアミータさまはゴブリンが憎くないのでしょうか? 既にお察しの通り、貴方がたの領地を襲ったのは魔族国家。魔王さまの命令によります。公爵さま共々アミータさまを暗殺しようとしたのも、我らゴブリン一族の者です」


 どうやらエリーザは妹が欲しかったらしい。

 そこに愛らしく小さなリナちゃんが転入してきて、敵対種族でありながら保護欲が爆発してしまった様だ。


 ……リナちゃん、今の発言はさすがに不味いって。幸い、近くにはわたし達以外誰もいないから良いんだけど。まあ、リナちゃんの口から聞くまでもなく、分かっていた事ね。


「でも、リナ姫さま。いや、リナちゃんが直接事件に関与していた訳じゃないんでしょう? それをおっしゃられるのなら、わたくしは襲ってきたゴブリンやオーク、トロールさんたちを虐殺しました。わたくしの手も血に濡れていますわ」


「アミ―タさま! それは正当防衛。ワタクシ、貴方さまには助けて下された事に感謝こそすれ、恨む事など一切ございません。正直、王国においてワタクシは撒き餌であり『贄』。いつ何時、命を狙われるか分かりません。最悪、魔族国家の手の者から戦争を仕掛ける為に暗殺を受ける可能性すらあるでしょう」


「リナ姫さま。お言葉は気をつけてください!」


「ディネ。今、ワタクシは大事なお話をしています。しばし、見守っててくださいませ」


 警護役のダークエルフお姉さんに注意を受けながらも、淡々と自分の状況を語るリナちゃん。

 一見幼げな表情なのだが、理性的に自分が戦争を仕掛けるための『理由』である事すら悟っていると宣う。


 ……ああ、この子は自分が犠牲になる自覚と覚悟はあるんだ。こんな幼い子が犠牲になるなんて、わたし嫌だ!


「え!? そ、そんな……。嘘だよね、リナちゃん?」


「エリーザさま。わたし達ゴブリン氏族は、魔族国家内では最弱、最下層に近い種族。魔王さまや将軍さまの命令で、何処にでも送られて戦い死ぬのが定め。ゴブリンキング種である父も、ワタクシに今生の別れになると、全てを教えてくださいました」


 ……やっぱり、リナちゃんはゴブリンでも上位種なんだ。賢さが普通の只人以上だもん。この子を失うのは王国にとっても、魔族国家。いや、ゴブリン氏族的にも大きな損失。絶対に守らなきゃ!


「事情は全部分かりました。ティオさま。わたくし、全面的にリナ姫さま。リナちゃんを守りたいと思います。いいですよね?」


「アミお姉さんなら、絶対そうおっしゃると思いました。リナ姫さま。貴方さまの事情は理解しました。また、貴重な証言もありがとうございます。ボク、イグナティオは公爵の名の元に貴方さまを必ず守護します。それが、世界の平和に繋がると信じて!」


 わたしは思わず立ち上がり、リナちゃんを守ると宣言する。

 こんな幼い子が犠牲になる世界なんて許せないから。


 ……みんなの笑顔が好きで、その笑顔を守る建物が大好き。だから、今度はわたしがみんなを守るんだ!


「お姉ちゃん、また暴走しているよ? そりゃ、わたしも思いは同じなんだけど。ということで、リナちゃん。今後ともよろしくね。もう、わたくし達はお友達ですの」


「はい、ありがとう存じます。ワタクシもゴブリン族以外の友達は初めてですわ。ん? ディネ、どうしましたか? こちらの方々は信用できると思いますよ」


「そうは申されますが、リナ姫。只人族は笑顔で裏切ってきます。簡単に信用などと……」


 エリーザとリナちゃんは手を握り笑顔で友達宣言する。

 だが、リナちゃんの背後に控えし超絶クールビューティなダークエルフお姉さんは、酷く不機嫌そう。

 わたし達を信用ならないと、面前ではっきりと言う。


 ……わたし達にも政治的な『裏』がない訳じゃないしね。でも、リナちゃんを守りたいというのはホント。この子が今後のキーになりそうなの。


「ご本人を前に失礼な事を申すでない、ディネリンド。確かに貴女は、魔王さまから直接命令されて来ています。とはいえ、形上はワタクシの配下。差し出がましい事は……」


「まあまあ、リナ姫さま。いきなり信用してくれというのも、疑わしく思われて不思議ではないですの。護衛のお姉さんの発言にも一理あります。とりあえず、今はお友達お試し期間ということにしませんか? そろそろ、午後の授業が始まりますし。ティオさま、エリーザ、リナちゃんを教室までエスコートお願いしますね」


 はっきり意見を言う馬鹿正直で真面目な人、わたしは大好きだ。

 こと、敵の真ん中にいる守護役であれば簡単に相手を信用する方が馬鹿。

 とはいえ、真面目に相手に信用できないと直接言うのも馬鹿正直すぎる。

 言質を取られかねない発言ではある。


 ……馬鹿正直で猪突猛進なのは、他人事じゃないのよねぇ、わたし。


「了解しました、アミお姉さん。では、姫君。お手を」

「ありがとう存じます。公爵閣下、エリーザさま。良しなにお願い致しますわ」


 ティオさまが差し出す手をそっと握り、優雅に椅子から立ち上がるリナ姫。

 正直、その辺の貴族令嬢よりも優雅でエレガント。

 ほんのり頬を赤く染めている姿は、実に可憐。

 どう見ても、お似合いの二人。


 ……わたしじゃあ、あんなに優雅にティオさまの横に並べないなぁ。


 三人が並んで談笑しながら食堂を去る姿を見て、わたしは嫉妬で胸がチクンとした。

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