2話 死の実行
誰かの物語
「プルルルル……ガチャ」
暗い路地の公衆電話で1本の通話が行われた。
公衆電話の受話器を握る男は、大柄で、何かを焦っている様子だった。
「くそっ……どうすりゃいいんだ……」
俺は路地の暗がりから、彼を静かに見つめた。
「おっと、今10円玉の硬貨をおとしたぞ、間抜けな奴めw」
なんて思いながら、見ている私がきっと、彼にとっては避けたくてしょうがない相手なのだろう。
不思議なものだ。人間は、どんなに強く見えても、たった一つの「恐怖」によって簡単に崩れる。
恐怖とは、まるで寄生虫のようなものだ。一度心に巣食えば、どこまでも増殖し、人を支配する。
俺はゆっくりと歩み寄った。
「……お困りですか?」
男が振り返る。俺の存在に気づいた瞬間、彼の顔は青ざめた。知っているのだろう。俺が何者で、何をするつもりなのか。
「た、頼む……やめてくれ……」
「やめる?」
俺は微笑んだ。
「どうして?」
男は逃げようとした。しかし、それは無駄だった。
「さぁ、君も『未知』の扉を開けるんだ」
次の瞬間、俺はナイフを振り下ろした——
絶対に逃がしはしない。
殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。----------------------------------------------------------------------------------ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして、俺の犯罪が始まった。
朝のニュースが流れる。
「本日未明、路地裏で男性の遺体が発見されました。遺体には複数の刺し傷があり、身元はまだ判明しておりません……」
俺はコーヒーを飲みながら、そのニュースを眺めた。
——結局、死とは何なのか?
昨日、男を殺してみたが、俺の疑問は何も解決しなかった。ただ、恐怖に歪む人間の顔を見た瞬間、少しだけ満たされた気がした。
もしかすると、俺が知りたいのは「死」そのものではなく、「死に直面する人間の心理」なのかもしれない。
ならば、まだまだ試してみる価値がある。
俺は静かに立ち上がった。
次は、誰を試してみようか——
死の本質を解明するには、数が必要だ。
データを集め、検証し、仮説を立て、実験を繰り返す。
俺はただ、未知を解明したいだけなのだ。
だから、まだまだ終わらない。
次の犠牲者を探しに行こう——