1話 死の案内人
人間が解明できていないものがある。
一つは死である。人間の根源的な恐怖と言えるだろう。死の先に何があるのかは誰にもわからない。だから怖いのだろうか。ということは、我々は未知に対して恐怖を抱いているのだろうか。
私は正直なところこの世にあまり未練はない。よく、死んだら大切な人に会えなくなるとか言うが、正直大切な人とかいない。なのに死が怖い。これはやはり、その先に待つ未知が怖いのだろうか。
だが、未知が希望になることもある。それは、分かりそうな・解明できそうな未知だ。
何を言っておるのだこいつは、と思われたそこのあなた少し待ってみてもらいたい。
例えばこんなのはどうだろうか。よく、科学の世界では、なぜ研究をやるのか問われた研究者たちがこんなことを言う。”この世の真理・仕組みを解明してワクワクするためだ”と。
これこそ正に、分かりそうな・解明できそうな未知に対する人間の希望を如実に表してはいないだろうか。
そう、人間は頑張って、努力して分かりそうな未知なるものに対しては、夢や大志を抱くのだ。
では、何故、死に対しては古今東西あらゆる人間が恐怖を抱くのか。
そう、人間がどうあがこうが死という謎のベールを剝がすことはできないのだ。何ということだろう。
この謎のベールを剥がす試みを、科学者たちがこの先も行うだろうが、恐らくは大した成功はしないだろう。
このベールを剥がし、その先を知りたいのだ私は。
死を超越したいのだ、私は。
非凡な私は、新たな試みをするとしよう。
そう、ブタのような家畜の魂を裁きにかけ、終焉のその先を観察する動きをしようと思う。
ヒトの形をしていても魂が家畜ならば、手をかけてもいいのだ。
次の狙いはあいつにしよう。いい劇を演じてくれそうだと内心思いながら、歩みを始めた。
今、死の案内人が誕生した