伝説のフェリージェとは?
その後、城内の説明や詰所を案内してもらったが、前とはあまり変わらなかった。
「そろそろ夕食の時間ですね」
「食事の準備はどうなっている?」
「当番制です」
「そこも変わらんな。よし、今日は私が作ろう」
「え!?」
「何か?」
「いいえ、フリネラの料理は斬新かつ独創的だったので私達には理解できるかどうか」
まだフェリージェだった頃、食べた事があったが正直…とても不味かった。
「大丈夫だ、心配するな。任せろ!」
これ以上断れなくなり、結局フリネラが作る事になった。
メニューはパンにポトフ、鶏の揚げ物、サラダ。見た目は普通だ。
「味見してくれ」
最初の犠牲者は俺か。まずはポトフを食べる。
「…旨い」
「だろう。修道院にいたときは食事の手伝いをしていたからな」
ありがとう、神様。
心から感謝致します。
そこに魔獣討伐に行っていた隊員が食堂に入ってきた。
「良い匂いがする」
「お腹すいた」
「今日は豪華だな」
各々席に着く。
「フリネラの入隊祝いも込めて、乾杯!」
「乾杯!」
皆、美味しい美味しいと言って食べてくれる。満足だ。
そう思いながらワインを飲もうとすると、テオールが「フリネラ、あなたはまだダメですよ」と止められた。
「今日くらい良いだろう?」
「未成年でしょう?」テオールパパは厳しい。レモンの炭酸水で我慢した。
「それにしても伝説で聞く赤き獅子もどのような人だったのだろうか?」
「美しかったのだろうな」
「俺は男より酒豪だと聞いたぞ」ピクッ
「俺は大きな猛獣を素手で倒したと聞いた」ピクッ
「お見合いをしたらしいが男の方が怖くて逃げたとか」
「ハハハハ。そんながさつな女は逃げるな」
ビール片手に盛り上がっている男達。
プチッ。何かが切れた。
ズドン!!気がついたときにはテーブルが大剣によって真っ二つになっていた。
「悪かったな、がさつで。おかげでテーブルマナーを忘れてしまったようだ」テオールからワインを奪い、一気に飲みほして自分の部屋に帰っていった。