入隊
「さて、フリネラ・フォン・テスミールよ。配属先に異議はあるかね?」
「ございません」
「ならば良い。活躍を期待しておるぞ」
「はっ!では、失礼致します」
人事局のドアを閉め「ふぅ…」と息をつく。
配属先は第2番隊陸軍となった。
ざっくりまとめると行き先は4つある。
第1番隊は王族警護、つまり国王と城の警護だ。
第2番隊は陸軍、海軍、空軍。空軍は魔力を使って空中で戦う。その為、飛べる程の魔力が必要だ。
第3番隊は魔法院。その名の通り、魔法を使って戦う。攻撃はもちろん、防御もできなければいけない。
第4番隊は医療班。怪我人を治癒する。
ちょうどそこにテオールが来た。
「隊長、どの隊に決まったのですか?」
「隊長はお前だろう。これから宜しくな、テオール隊長」ニヤニヤとするフリネラ。
「では我が部隊に!?」
「ああ」
「また、共に戦えるとは」
「フェリージェは第1番隊隊長だと読んだ。そこを目指す」
「フリネラ殿ほどの実力ならば出世は早いでしょう」
「呼び方だが殿はやめてくれ」
「では何と呼べば?」
「そのままフリネラで良いだろう?」
「分かりました。フリネラ」
「宜しい」
「では第2番隊までご案内します」
着くと稽古中だった。
「皆、集まってくれ!」
「はい!」
それまで稽古をしていた男達が一斉に集まってきた。女はいない。入りたい女なんて私くらいか。他国では女でも普通に剣をふるう所もあるらしい。
「今日からこの第2番隊に所属する事になったフリネラ・フォン・テスミールだ。女だからといって手加減はいらないぞ」
「フリネラです。宜しくお願いします」隊員達がざわつき始めた。「何か意見のある者はいるか?」
「その髪色と金色の瞳はあのフェリージェと同じですよね?」何と答える?「彼女はフェリージェの血筋だそうだ」
「その大剣は?」
「彼女、フェリージェの近い者しか扱えないらしい」
「試しに使ってみても良いですか?」
「できればな」そう言われて剣を渡すと大きな音と共に地面に突き刺さった。
「その大剣でお手合せ願えませんか?」
「構わんが、フリネラは良いか?」
「はい」両者かまえる。「始め!」ギンッ!カッ!ギンッ!隊員が押されている。一方フリネラは表情一つ変えない。
そろそろ良いか。「ガンッ!」
隊員の剣が飛ぶ。「勝者、フリネラ!」おおー!驚きの声が上がる。
こそっとテオールが「手加減しましたね」と言った。
「手加減しなければ死人が出たぞ。それでも良かったのか?」
「そうですね。全滅してしまいます」二人で笑い合う。