悩みのテオール
「一体、隊長は何をしているんだ」
ここ数日探しているが見つからない。情報を集めていても聖女と謎の美男子の話ばかり。
「隊長はお前だろう。テオール」
副隊長のキースがツッコむが聞いてはいない。頭の中はフリネラの事ばっかりだ。昔から予測不能な行動をしていたフリネラ。
『隊長ー!隊長、どこですか?そろそろ軍議が始まりますよー!』
軍議が始まる時間なのに肝心の隊長がいない。
『隊長ー!』
『シーッ!』
何故か物陰に隠れている隊長・フェリージェ。
『隊長、そこにいたのですか。そろそろ軍議が…ムグッ!』
急に口を塞がれ壁の間に引き込まれる。
『ハッ!何をされているのですか、隊長!』
手を外し何事かと聞く副隊長ルオール。
『静かにしろ』
『な、何か事件でも!?』
問題が起こっていると思い、警戒する。
『任務だ』
『に、任務中とは失礼致しました!』
大声でビシッと敬礼をする。
『だから静かにしろと言っている』
厳しい顔をするフェリージェ。
『申し訳ございません。して、任務とは?』
『かくれんぼだ』
『は?』
『だから、か・く・れ・ん・ぼ、だ!』
『かくれんぼ〜!?』
あの赤き獅子と恐れられる帝国騎士団団長第1番隊隊長・フェリージェがかくれんぼ?
『今、ライル皇子とかくれんぼ中なのだ』
なるほどライル皇子とかくれんぼ中か。フェリージェは皇子の警護も任されている。不思議ではないが…ってそうではない。
『隊長、軍議が始まる時間です』
『もうそんな時間か』
ここでようやく時計を確認するフェリージェ。
『ああっ!フェリージェ、見つけた!』
そこに鬼役の皇子がやってくる。
『あれ?ルオールもいる』
『これはライル皇子殿下、お久しぶりでございます』
小さくても皇族。ここはきちんと膝を折って頭を下げ挨拶をする。
『二人でコソコソ何をしていたの?』
『コソコソとなどしていませんよ。隠れていたのです』
ニコニコとフェリージェが説明をする。
『ルオールも?』
『私は…』
『分かった!〝あいびき(逢引き)〟だー!』
『違います皇子。そんな言葉どこで覚えたのですか?』
『お母様が読んでいた本だよ』
シェンラ妃…。最近、中庭で読書をする事が増えたと思ったら恋愛小説を読んでいたのか。でもこれでは教育によろしくない。
『ルオール、フェリージェは僕のお嫁さんになるんだから横取りはダメだからね!』
『『え!?』』
お嫁さん?横取り?いかん。悪影響を受けている。
『逢引きなどしておりませんよ。それに私達はただの上司と部下の関係です。ご安心下さい』
フェリージェに言われてやや傷付くルオール。
ルオールも実はフェリージェに想いを寄せている。ただ部下とは…。
知っているのは自分だけだと思っていたのに皇子にはバレている。やはり子供とはいっても侮れない。
『良かった〜。じゃあ大丈夫だね』
さらにダメージを負うルオール。結構響いた。
『隊長…軍議に向かわないと』
『ああ、そうだったな。…どうしたそんな顔をして』
『お構いなく。さあ、行きましょう』
会議室に向かう途中。前から気になっていた事を聞いてみた。
『その…隊長はどんな男がお好みなのですか?』
『何だ?珍しいなお前がそんな事を聞くなんて』
『えっ!?あの…皇子にお嫁さんにすると言われていたので…』
『ははは。皇子はまだ子供だろう?そうだな、私より強い男が良いな』
そんな男、国中探してもいないだろう。何せ、騎士団団長であり第1番隊の隊長なのだから。
『精進します』
『ん?頑張れよ?』
想いを告げる前に旅立ったフェリージェ。今度こそは。フリネラになってもその想いは変わらない。
「さて、探しに行きますか」
かくれんぼはまだ終わっていなかった。




