ミハエラとミディエラ
「痛っ…何だ!お前達は!?それにここはどこだ?」
ソファーの上で目を覚ましたミハエラは驚いて叫ぶ。
「僕は第2番隊陸軍のユーリ・ネイラーです」
「はじめまして、キラキラ。ぼくは第3番隊魔法院のヒュース・フォン・バルロット。そしてここはぼくのへや」
挨拶をするユーリ(女)とヒュース(女)
「眼鏡と根暗か…。ん?キラキラ?」
僕の事か?自分に向けて指を差す。
「うん。おまえ、フリネラたちのなかま?」
今度はヒュースが首を傾げてミハエラに聞く。
「仲間ではない!だが目的は一緒だ」
「んー。じゃあ3号」
「3号?何の事だ?」
「ともだち。フリネラが1号、ユーリが2号」
「勝手に番号をつけるな!それに一番という言葉は僕に相応しい。違った。それよりも僕はどうやってここに来たんだ?」
「私が担いできた」
フリネラ(男)がお菓子を食べながら答える。ミディエラの所から持ってきたから安全だ。
しかしお茶はしっかりとお断りした。また試されては堪らない。
「ミハエラ、おちゃのむ?」
泥水茶を淹れようとしているヒュース。
色を見るとこの世の物とは思えない色をしていた。さっきまでのライナとのお茶会が夢のように思えてきた。
「だ、大丈夫だ」
ヒュースのお茶を飲んだら中身が入れ替わったと聞いている。そんなのお断りだ。
「それより、頭に瘤ができています。まだ動かないで下さい」
頭には濡れた布が当てられていた。
「そうだった。何か痛いと思ったら。フリネラ、お前思いっ切り殴っただろう!」
「あれはお前が悪い、ミハエラ」
「何かあったんですか?」
何気なく聞くユーリ。
「ああ、フリネラのむぎゅっ!?」
言いかけた所で無理矢理フリネラにお菓子を口一杯に入れられる。
「モゴ!モゴモゴ!」
何か言っているようだが分からない。
「何でもない。気にするな」
「はあ…」
これは絶対に何かあった。が、ここは聞かない方が身の為だろう。
「んんっ!それでお前達はミディエラ様が聖女ではないと疑っているんだったな」
ようやくお菓子を飲み込んだミハエラが皆に聞く。
「はい。ヒュースさんがミディエラ様の見せた聖女の力を魔法と見破ったので怪しいと思い、現在調査をしているところです。ラデル男爵はミディエラ様の力を利用して国を支配しようと企んでいる。そしてミディエラ様は聖女の地位と名誉を得る為に嘘をついていると僕達は考えています」
ユーリが説明する。
「もしそれが本当ならば大事ではないか!」
「だから調べているんだ。だが肝心な本人からの証言が取れていない。あるのは盗聴を記録した魔法珠だけだ」
フリネラはそう言ってミハエラに魔法珠を放り投げる。
「盗聴までしたのか!?」
受け取ったミハエラは記録した内容を再生して聞くと顔色を変えた。
「確かに…。これはその可能性が高い。ライナ様から聞いたのだがミディエラ様はお祈りの時間にあまり現れないらしい」
これに対してフリネラは驚かない。理由は明白。
「それはそうだろう。しょっちゅう私やら他の男達を呼び出しては男遊びに忙しいのだから」
「何だと!?という事はあの話はやはり本当だったのか!」
「あの話?」
「僕の同僚がミディエラ様に夜のお相手に誘われたと聞いた」
「げっ!あのミジンコエラ、本当に獣並みに飢えてるな」
「お前、仮にも聖女だというお方をそんな呼び方をしているのか?」
それを聞いて呆れるミハエラ。
「ミジンコエラで充分だろう」
「お前達も注意しないのか?」
ユーリとヒュースに向かって言う。
「「フリネラ(さん)だから…」」
「ああ、そうだな…。聞いた僕が間違っていた」
妙に納得するミハエラ。もうこのペースに慣れてきている自分も悪い。
「いやいや、そうじゃない。そのミジンコエラという呼び方をやめてほしい。僕の名前はミハエラだ。似ているからやめてほしい」
「じゃあバカエラ」
「余計にダメだろう!」
他の二人が笑いそうになる。あのヒュースまで。
「うるさいな。キラエラ」
「僕がキラエラだと!?」
「ちょうど良いじゃないか。ヒュースはキラキラと呼んでいるしな」
「許せん!決闘だ。まだ新人大会での決着も着いてないからな」
「お前は本当に決闘が好きだな」
今度はフリネラが呆れる。
「まあまあ、これでものんでおちついて」
ヒュースからお茶を渡される。
「ああ、すまんな」
ヒュースのお茶の威力をすっかり忘れて飲んでしまったミハエラ。
「はあ…」
「おちついた?」
「案外、さっぱりとした味だな」
そのときミハエラの体が眩しく光りだした。
「ん?」
その様子に驚くフリネラとユーリ。
「か、体が光っているだと!?」
本人も驚いている。
「おいっ!何を飲ませた!?」
「ただのおちゃ」
「これがただのお茶だと思えない!ヒュース、お前何か入れたな?叩き斬ってやる!」
「こわーい、キラエラ」
明らかに面白がっているヒュース。
剣を抜き本当に斬りかかるミハエラ。
だが、さらっと避けられる。
おかげでイスが真っ二つになった。
「危ないぞ、キラエラ」
「そうですよ、キラエラさん」
悪意のあるフリネラと天然のユーリ。
「お前らまでその呼び方…。もうまとめて斬ってやる!」
大暴れするキラエラ。おまけに眩しい。
「ぼくのへやまたこわれる…」
これはしばらく続きそうだ。




