神話
昔、この世が渾沌の中であった頃の話。
始まりの神・創造神ガルディアは度々起こる天変地異に悩まされていた。どうにかこの状態を納められないだろうか。他の神々と相談しても答えは見つからない。悩んでいたある日、知恵の神・イシュヌヴィウヌスが生まれた。
イシュヌヴィウヌスはガルディアに「それぞれの自然の精を従え、司る神を創るのです。その神に納めさせましょう」と提案した。
ガルディアは言われた通り、火の神・アガナ、水の神・ウォルミス、風の神・フェーぜ、土の神・モルドなど次々と創造し、精霊達の王に助けを求め、災害を納めた。
その中から神の力を持たない人間も生まれた。
力を持たない為、神の姿は人間には見えない。
それでも自然を大切に、神を崇める人間には神から力を与えられた。それが魔法であり、魔法四大貴族の祖である。
中でも光の女神・ディアーナは皆に慕われた。明るく世界を照らす、神々だけでなく人々にも愛される女神。
一方、闇の神ルシウスは漆黒の髪色に二本の角と牙が生えており、瞳の色は怪しげに光る黄緑色だった。
他の神々はその容姿を恐れ、化け物だと言いルシウスを迫害した。
ルシウスはそれに怒り、世界を闇で包もうとする。その結果、ルシウスは悪魔へと墜ち、魔王ルシウスと呼ばれる存在に。それに影響された眷属達も暴走。たちまち世界は闇で支配される事になった。
そこで光の女神ディアーナはある神に自らの光の力で作った神剣・カデニュウスを託す。そう、受け取ったのは後に軍神と呼ばれるイシュミルだ。ガルディアはこの状態に危機を感じ、力の神を創造した。力の女神・イシュミルは次々と悪魔を倒し、魔王ルシウスの所までたどり着く。イシュミルがガルディアの命とディアーナの頼みで来た事を告げるとルシウスは愕然とした。
実はディアーナとルシウスは姉弟神だったのだ。迫害されるルシウスをディアーナは何度も慰めてくれた。裏切られたのだと思ったルシウスは大暴れ。何とか食い止めるイシュミル。この剣は元のルシウスに戻ってほしいとディアーナの願いが込められた剣だった。その事を伝えても暴れるルシウス。遂に魔獣へと変化した。こうなっては無理だ。そう思ったイシュミルは説得する事を止め、倒すときめると魔獣ルシウスへと向かっていった。
長い戦いの末、イシュミルがルシウスに剣でとどめを刺す。すると獣の姿から元の姿に戻った。
最後にルシウスはこう言った。「ディアーナの思いは受け取った。だが他の神々は絶対に許さない。その思いがある限り闇の力は消えない」そうして闇と共に地下に消えた。こうして世界は三つに分かれた。神々は天上へと向い、人間達を見守る事にした。人間は地上で自分達の国を作り、生活を始めた。ときどき生まれる魔の力は地下へと吸収されていった。ルシウスが力を取り戻す為とも言われている。天に背く行いをした者は地下へと落ちていく。
今でも神々達は人間達の行いを見ている。空の上からー。
「つまらない話…」
魔法院の書庫で『創世記』を読んでいた。
魔王ルシウスの力について何か書いてあるかと思い、読んでみたが時間の無駄だった。
「おーい、ヒュース。お前に手紙が届いてるぞ」
顔を上げると同期のリル・シルバだった。
「…なに?」
「手紙だよ。何とあの赤獅子からだぞ!いつの間に仲良くなったんだよ、お前ら」
「なかはよくない」
「じゃあ何で手紙を?」
「きょうみがある」
「珍しいな。お前が人間に興味を示すなんて」
「それよりもてがみ」
「ああ、悪い悪い」
手紙を受け取り、中を開く。
『是非とも君と会ってみたい。だが、上官から近付くなとうるさく言われている。そこで転送魔法で私達を呼び寄せてくれないか?』
「ヒュ、ヒュースが笑った…!?」
驚いている様子のリル。
それはそうだ。あのイシュミルの力を持った者が来るのだ。笑わない方がおかしい。
イシュミルの力を持ち、フェリージェの再来と呼ばれるフリネラ。魔王ルシウスの落とし子と呼ばれ、国一番ではないかと言われる呪術の使い手のヒュース。二人の出会いにかつてのイシュミルとルシウスはどう思うのだろうかー。




