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赤き獅子フェリージェ

大量の雨が二人を打ち付ける。その中にケガを負った部分の血が雨と一緒に流れていく。

「ここまでだな…」

「隊長!今、救護班が来ます」

「ルオール、後は頼んだぞ…」

「隊長!!」

帝国の赤き獅子ことフェリージェは永き眠りについた。


フェリージェ・フォン・テスミール。女性ながら、帝国騎士団団長第1番隊隊長を務めていた。戦場に揺らめく赤い髪に金色の瞳。その姿は一度見たら忘れられない。敵はその名を聞いただけでもふるえあがるそうだ。だがもうその姿を見る事はできない。涙は雨と共に流れ去った。


それから何十年、何百年経っただろう。

「隊長!」

「何だ?」

テオール・フォン・レニー。20代前半ながら第2番隊隊長を務めている。

「近くの村人に話を聞きましたがやはりこの付近は魔獣の出現が多いそうです」

「そうか…」この場所にはあの英雄・フェリージェの大剣が墓標代わりに刺さっている。ウソか本当かその剣は誰も抜く事ができないらしい。試しに抜こうとした力持ち自慢の男がいたがびくともしなかったそうだ。


気づくとその前に赤い髪色の少女が立っている。

「お嬢さん、ここの辺りは魔獣がいるから離れた方が良いよ」振り向くと少女の瞳は金色をしていた。

「…!」この色合いは話に聞いたあのフェリージェと同じ。この瞳の色はとてもめずらしくこの帝国では滅多にいない。


「この剣は誰にも抜けないとは本当か?」

少女が聞く。「…ああ、使っていた本人にしか抜けないとも聞いているよ」少女は剣をじっと見ると柄に手をかけ、グッと力を入れる。「ハハハ、お嬢さんの力じゃ…」抜けた。「!!」信じられない。あの大剣を少女が抜くとは。それも本人にしか抜けないという剣が。それまで付いた蔦や葉をブンッと振り回すときれいに落ちた。


「お、お嬢さんお名前は…」

「来るぞ!」そのタイミングで魔獣がこちらを目指して駆けてきた。とにかく少女を守らなくては!構えていると少女が先に駆けていく。

「危ない!逃げろ!」そう言ったのも束の間、大剣を振り回し魔獣にヒットさせ「ギャウン!」吹っ飛ばした。


「ふぅ、何年かぶりに振るうと重く感じるな」

魔獣は近くの木を何本も倒し、最後は岩に当たって死んだ。先ほどから何が起きているのか分からない。少女が剣を抜き魔獣を倒した。少女が?

「お嬢さん、お、お名前は?」

「フリネラ・フォン・テスミール、まずは自分が名乗るべきでは?」

「失礼しました。私は帝国騎士団第2番隊隊長を拝命しておりますテオール・フォン・レニーと申します」

「失礼した。隊長殿であったか、邪魔をしてすまぬな」それにしても少女でありながら大人のような話し方をする。

「いいえ、助かりました」と握手をした瞬間様々な映像が頭をかけめぐる。戦場を駆け、共に戦ってきた日々、そしてあの日の事ー。


「レオール?」

「隊長?」これで納得がいった。あの剣を抜けたのは彼女の生まれ変わりであったからだ。

「テオール、もしかしてレオールの生まれ変わりであったか?」

「その様ですね」


「あの、隊長…この方は?」

「ああ、すまん。この方は…」

何と言ったものか。生まれ変わりなど信じてくれるものか。

「すみません。入隊志望者です」

「え?」少女は言ってのけた。

「この剣を抜けたのは…きっとイシュミル神のお導きでしょう」イシュミル神とは軍神、戦いの女神の事だ。ウソだらけ。でも本当かもしれない。

初めましての方、他の作品でもお会いした方、読んで下さってありがとうございます。柴佐倉と申します。今回は西洋風の物語となっており、初の試みです。楽しんで頂ければ幸いです。それではまた、次回にお会いしましょう。

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