飛び道具が嫌い
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
もう書けないね。バチッた戦闘シーン。
その娘の未来は二つに一つ。娼婦になるか、巫女になるか。
此処を訪れた彼は、私の腕の中で包まっている赤子を指差しながらそう言った。彼の予言は外れたことがない。だからきっと、どちらかになるだろう。
少年少女が見るものと言えど、生々しい話もそれなりに転がっている。だが幼子にはそれを理解出来る程の頭がないので、ただの映像としてカメラの様に記憶するのだ。
『浮気』、『不倫』、『遺産相続』、これらはとある創作物でテーマとなったものだ。中学生の時に見ても、なんの感情移入も出来ず、ただ淡々と見過してきた。そして……理解出来ないままに成長を続けていたら、きっと私は巫女に成り果てた事だろう。大変、大変遺憾である。
何故ならば、人の痛みまでも感情移入すること無く、記憶するだけに留まったから。
化け物一つ、しっかりと急所を狙って討ち取った後、その屍を引き摺って、私と目を合わせる。目は相変わらず空洞で、何の色も写していない。うら若き手、白魚の様な手、それが醜い血で汚れている。それでも、こんな目を。
彼女は引き摺っていた屍から手を離すと、ゴミでも捨てる様に手を離した。それから首と胴を離す様に、刃を振り上げた。しっかりと切り離すと、一歩、私に向かって歩み寄る。
「弓は……使わないのかい?」
「……得意じゃないんですよ。飛び道具」
彼女の目が、私の持っている梓弓を一瞥した。
「だって、私の手を離れてしまったら、殺した感触が分からないでしょう?」
その憐れむ様な、侮蔑の瞳が今でも忘れられない。
何かの生命体の命を自らの手で終わらせる。というのは、相手がどれ程外道であっても、精神的に堪えるものはある。決して気分の良いものではない。
それでも、私は殺した者の死をこの身に刻み続ける必要がある。振り上げた刀の重さも、身を切り落とす感触も、反吐を催す悪臭も、全て、全て、この身で背負い続ける必要がある。それは生涯に渡って背負わなければならないものだ。
「弓は……使わないのかい?」
育ての親に、師にそう何度も問い掛けられた。あの方の主戦武器は弓だから、きっと継いで欲しいと思っていたのだろう。でも。
「……得意じゃないんですよ。飛び道具」
立派な梓弓。番って、しなって、離れる一つの矢。殺した感触を感じ得る事の出来ない武器。
「だって、私の手を離れてしまったら、殺した感触が分からないでしょう?」
それでは私は巫女になってしまう。何の穢れも知らない巫女になってしまう。例え穢れてでも、私は娼婦になりたい。お前達と醜く抱き合って、自分の足で立っていたい。
え、毎日書いてんならば、戦闘シーン余裕っしょ?
って思うじゃないですか。
リアルに体験してないんで、難しいんですよ。
今の私のスタイルには向いてないですね。
それでもこれだけは書きたかったので、ちょっと出戻りしました。
飛び道具って、自分の手を離れて何かを殺すので、殺した感触が分からないんですよ。
引金の感触とか、矢が離れる感触はあると思いますが、それでも肉にめり込む感触までは分からない。
接近武器よりも、殺した感触が薄い。
※元弓道部なので、説得力はそれなりに。
自分が殺すならば、命を奪うのならば、それらを全て身に刻みたい。背負い続けたい。
これが分からなければ、殺す事に意味を見いだせない。ただの戦闘マシーンと変わらない。
その信念を担ぐ為に刀なんですよ。