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第六話 ~魔法勉強、始めます~

騒ぎの後、再び本を読んでいると、フローラから声がかかった。

「ロザリアお嬢様、よろしいでしょうか。」

「どうぞ~」


「ロザリアお嬢様、本日の夕食ですが、アルセイン様と カリーネ様も一緒に食べられるとのことです。」

「本当に!やったー!」


公務が忙しいようで、お父様とお母様と一緒に食事ができることは滅多にない。

たまに片方とはあっても、3人そろうことは滅多になかった。


「でもなんで唐突に?お父様とお母様もお忙しいはずでしょ?」

「それが、ロザリアお嬢様が魔法を使えるようになったと報告した所、すぐに話がしたいとおっしゃいまして・・・」

「えっ、何かまずかったかしら?」

「いえ、むしろ逆です!大層喜びになられてました。」


一瞬家族会議かとびくりとしたが、いい方向のようで安心した。


「な、ならよかったわ。わざわざ教えてくれてありがとう。」

「いえ、当然です。あ、それで、少し準備にお時間をいただきたく30分ほど夕食の時間を遅らせていただきたいと料理長が。」

「構わないわ。1時間くらい遅れても私は大丈夫よ。」

「かしこまりました。料理長にはそのように伝えておきます。ではロザリアお嬢様、そろそろ公務のお時間です。」

「あら、もうそんな時間。分かったわ。」


もっと読んでいたかったが、これでも第一王女。やらないといけないことがたくさんある。

仕方ない、と私は本を閉じた。



-▽-▽-▽-▽-▽-▽-▽-▽-▽-



いつもより45分遅い夕食が始まった。

いつも空席の国王用と女王用の席も、今日は埋まっている。

「いただきます!」

といって食べ始めたとたん、早速カリーネ女王が口を開いた。


「ところでロザリア、みごと魔法を使えるようになったのね。」

「ええ、お母様。」

「ほら、あなた、やはりロザリアは魔法の力があるじゃない。」

「いやぁ、最初に聞いたときはまさかと思ったけれど、本当によかったよ。」

「どういうこと?」と2人に聞いてみる。

「この人、『ロザリアは魔法使えないのか!くそ!』ってずーっと気にしていたのよ。

私は力はあるから安心してください。って言ってたんだけど、『力があるならとっくに使えてるよ!ないに決まってる!』て諦めてたのよね。」


どうやらサボっていたせいでかなり心配をかけていたようだ。

(ごめんなさい、お父様、お母様)と、心の中で謝っておく。


「それで、なんの魔法が使えるようになったのかしら?」


しまった、と手が止まる。

ここで望まれる回答は火とか水とかの初級魔法だ。

間違っても伝説級とは口が裂けても言えない。

とはいえ、下手なことを言って実演してちょうだいと言われたらおしまいだ。


「えーっと、秘密です。お母様。」

「あらそう、それは残念ね。」


少し不思議に思っていたが、ここは何も言わずにおくのが最善だ。



ご飯を食べ終わると、最後にお母様が、

「魔法の勉強、頑張ってね。」と言ってきた。

「はい!」と返事した所で、そういえばそうだった、と考えていたことを言うことにした。

「それでお母様、一つお願いがあるのですが」

「あら、何かしら?ロザリアが頼み事なんて、珍しいこともあるもんね。」

「実は、魔法の勉強用の部屋を1つ頂きたいのです。今の部屋だと魔法を放つには少し手狭でして。」

「たしかに、煙だらけだったって聞きましたもんね。分かりましたわ。すぐに用意しましょう。」

「ありがとうございます、お母様。」


これで勉強の環境は整った。明日からいよいよ魔法の勉強を本格的に始められると思うとワクワクする。


「もちろん、魔法だけじゃなくて普通の勉強もしっかりやるのよ。」


ワクワクがどうやら漏れていたようだ。

お母さまに釘を刺されてしまった。


「わかってますわ、お母さま」



-▽-▽-▽-▽-▽-▽-▽-▽-▽-



翌日の昼食後。

私は早速用意された部屋に案内してもらう。


「わぁー!広い!」


なんと大広間より広いではないか。

そしてたくさんの本と本棚が。

思わず見とれていると、フローラが口を開いた。


「こちら全部魔法に関する本になります。」


なんかとんでもないことが聞こえてきた気がする。


「ぜ、全部!?」

(いやいや全部って、100冊以上はあるわよ、これ)


「カリーネ様にたくさん用意するようにと仰せつかりましたので。」

「すごいわ、フローラ!ありがとう!」

「いえ、仕事ですので。」

「つれないなぁ~。」


謙遜しているが、本当にすごい。しかもまだ1日もたっていないのだ。


「ロザリアお嬢様、また公務の時間になりましたらお呼びに上がります。何かありましたらお呼び出しください。」

「分かったわフローラ。ありがとう。」


フローラが出ていったところで、「よし、やるか!」と宣言した。

これだけ本があると、読むだけでも何日もかかるだろう。でもその方がありがたい。


とはいえ、まずやることは決まっている。

「基本的な魔法を使えるようにしとかなくちゃ。」


伝説級なんて人に見せられない。まずは初級だ。

「とはいえ、こんな所で火や水を出して大丈夫かしら?」


少し考えて、まずは土魔法を使ってみることにした。

「えーっと、たしか・・・」

あったあった。[【土から好きな形を作れる魔法】サンドメイク]

「これでボウルを作って、そこに水を出せばいいよね!我ながら天才だわ!」


・・・伝説級が使えたのだから当然使えるよね?


当たり前に考えていたが、果たしてどうだろうか。

まあいい。とにかくやってみればいいのだ。


そう考えると、私は初級の呪文を唱えた。


「土の精霊よ その力で思った形を作りたまえ サンドメイク」


すると土が手のあたりから出てきて、あっという間にボウルが作られた。


「よし、成功!」


よかった。これで失敗したら逆にどうしようかと思っていた所だった。


「でもやっぱり初級だと小さいわね。上級でもう一回作ってみようかしら。」


そう考えて、次は上級を試すことにした。


「土の精霊よ その力でさらに大きく思った形を作りたまえ サンドメイク」


こんどは先ほどの5倍以上のボウルを作ることができた。


「よし、これで大丈夫ね!」


これで、水と火の魔法を試す準備は整った。

まだまだ勉強は始まったばかりだ。

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