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第四話 ~出来ることを始めよう~

翌日。

いつもは使用人に起こしてもらっていたが、今日は朝早く目覚めてしまった。


「ん~~~」

伸びをしながら、私は考える。


真面目に生きると決めたが、具体的に何をしようか何も決めていなかった。

というか何をすればいいのか思いつかなかったのだ。

「つまり、」

とにかくやれることを全部やるしかないわね、と心に決める。


基本的にやることは態度の改善だ。

あんな横柄な態度では死んで当然だ。


「とにかく真面目に、我儘は卒業よ」


その上で、とさらに頭を回転させる。


回避すべきポイントは山のようにある。


まず1つ目は使用人だ。


このままでは裏切るに決まっている。私だったら今すぐにでも裏切りたい。

リーナは分からないけれど、少なくともフローラは階段でこけた時には既に死んでほしいと思っているくらいだ。


「ロザリアお嬢様、おはようございます。朝で・・・え!」

フローラがロザリアを起こそうと部屋に入ってきた。しかしその動作が途中で止まった。

とっても驚いている。

それもそうだ。今まで全く朝起きられていなかった人がいきなり起きていたら誰でも驚くに決まっている。

「おはよう、フローラ。今日は何だか早く目が覚めてしまったのよ。」


そうだ、今すぐにやらないといけないことがあったじゃない。


「そうだわフローラ、例のドラゴンの件なのだけれど」

「は、はい、お嬢様」相変わらず怖がっている。


「今すぐに終わってちょうだい」

「えっ??すみません、もう一度お願いしてもいいですか?」


「だから、ドラゴン生け捕り、今すぐにやめて騎士団の方々を帰還させなさい」

「ほ、ほんとうにいいのですか?あれほど欲しがっていたのに・・・?」


「無理なものは無理でしょ。ほら、早く」

「わ、わかりました!」慌ててフローラが部屋から出ていった。


一緒に入ってきたリーナは、その様子を驚いた表情で眺めていた。

当たり前だろう。私だって驚くわ。


「ほら、リーナ。着替えでしょ。」

「あ、はい。お嬢様」


リーナは半ば信じられないといった顔をしながらも、仕事を始める。

いつもの通り、とはいえ今日はフローラがいないからリーナは大変そうだ。


「ありがとう、リーナ。では朝食にしましょう。」

「あ、はい、お嬢様」


今までなら考えられない光景だ。

ロザリアがお礼をするなんて。



-▽-▽-▽-▽-▽-▽-



食堂に向かっている時に、リーナが聞いてきた。


「あの、お嬢様、聞いてもよろしいでしょうか。」

「な~に?リーナ」

「昨日、何かありましたか?その・・・明らかに今までと雰囲気が違うというか・・」


今まで誰も聞かなかったことを質問してきた。

質問するのにも相当勇気がいるからだろう。


「特別何かあったわけじゃないのよ、」と前置きする。

「ただ、私は気持ちを入れ替えたのよ。我儘な第一王女ではなく、真面目な第一王女になろうと思って。」


そう私はリーナに向かって宣言した。


「そ、そうでしたかお嬢様。」リーナは驚き、しかし納得したような表情を見せた。


まあ、すぐに聞き入れてもらえるはずはない。

ゆっくり、時間をかけて改心したことを受け入れてもらおう。



-▽-▽-▽-▽-▽-▽-



食事が終わると、勉強の時間だ。

勉強は王宮の専属家庭教師であるレオンが専属で教えてくれている。

なんでもレオンは頭がいいだけでなく、剣術や魔法も得意なんだとか。


「~ということがあったのです。ここまでで何か質問はありますか?」

今はこの国の歴史を教えてくれている。


いままでならば『大丈夫よ!』と適当な返事をしていた。大の勉強嫌いだったのだ。

しかし今は違う。


「先ほど"国王令第28号特別徴収令のせいで平民が苦しんだ"と言いましたが、これは誰が行ったのですか?」


疑問に思ったことはしっかり聞いて学ぼう、ということだ。

しかし、いくら待っても何も聞こえてこない。


「レオン?どうかしたのかしら?」

「え、あ、いえ、失礼いたしました。"国王令第28号特別徴収令"ですね、これは第12代国王の~」


レオンは驚きながらも質問に答えた。


(まあ、最初はみんな同じ反応をするよね。)


もうこの反応にも慣れてきてしまった。


とはいえ勉強はやはり難しい。ゲームをしてダラダラ過ごしたいと思ってしまう。

(いやいやダメよ私!真面目に生きると決めたんだから!)



-▽-▽-▽-▽-▽-▽-▽-▽-▽-



昼ごはんを食べると自由時間だ。

今までの私は特に目的もなく、様々な物語を読んで過ごしていた。

でも、そんな生活はもうおしまいだ。


いつものように図書室へ行く。

が、今日はいつもとは違う本だ。


「えーっと、魔法、魔法、、、お、いいの発見!」


[簡単に魔法が学べる本 ~初級編~]


魔法の勉強だ。

私は魔法が全然使えない。というか、まるで興味がなかったので使おうとも思わなかった。

でも、異世界だと自覚した今、興味はありまくりに決まっている。


(ゲームではほとんど出てこなかったから、全然分からないのよね・・・)


舞台である学園では魔法も教えていた。だが、ゲームに関係ないので当然省かれる。


(ロザリアを殺す時もあくまで攻略キャラがストーリーとして使っていただけで、主人公は一切使ってなかったからなぁ)


たしか説明書に魔法についても載っていたが、ストーリーに関係しないからと見ていなかった。

知らないものは仕方がないので、こうして一から学ぼうというわけだ。


そう考えながら、私は本を手に取った。


「他にはなにかあるかしら・・、ん?これは?」


隣には中級編、上級編の本があった。

これも持っていこう。


さらに隣に目をやると、こんな本もあった。


[めざせ達人級&名人級!魔法の極意]


そしてその隣に、一際惹かれるものがあった。


[一度は使ってみたい!神話級、伝説級魔法にはこんなものがあるのだ!]


(なにそれ、超面白そうじゃん!)

使えないに決まってるけどね、と思いつつ手に取った。


(とりあえず、今日はこれくらいかしらね。)


そうして本を自室に持ち帰ったのだった。

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