信じるモノ ~液晶を流れる花、ひとひら~
世界がとか人間がだとか
語った日もあった
晴れた空に照らされた瞳に宿る
理想の世界と人の姿
揺ぎないと思っていた
話せば分かるとか
私は分かっているとか
そんな自信があった
生まれたての赤ちゃんの声は
周囲に光をもたらす原始の音
手と手は繋ぐためにあるだとか
美しい旋律を奏でたりも出来るだとか
四角い液晶はそんな私を嘲笑う
あふれた情報は醜い現実を尖らせて
鑢のように私の信じるモノをこすって回っていく
残ったものは灰のように軽い知識と意識だけ
風が吹いたら飛ばされそうな粒子が集まって
わずかな涙と汗で固まっている
このまま時とともに空気になってしまうのが怖いよ
知らないことは罪なのかな
知ったら何か変わるのかな
私に何が出来るの
こんな弱気な言葉を吐き出す私に出来ること
わからない
わからない、けど……!
たとえば、夢を語りたい
たとえば、希望を伝えたい
愛はちょっとわからない
言葉にしてみたら
一度揺らいだ信じるモノが再び形を成して胸を叩く
淡く輝き始める胸の灯
ギュッと握りしめ痛みに全身が熱くなる
そうだ私は
たとえ偽りだったとしても
たとえ夢物語だったとしても
赤ちゃんの声は希望の産声だって
やっぱり人の手は誰かを助けられる
感動させられるって
そんな綺麗なことを語りたい
液晶の世界を浄化するような
美しい世界を語りたいんだ!
それは
人に備わる心の力
信じるモノに突き進む力
だと思うから
未だに正しい方向は判らないけれど
多くの人がこの世を楽園と感じられるような
美しい言葉が
美しい物語が
あるはずだと信じているから
私はその方向へと進みたい
そんな願いを、液晶に流す
私の頭に在るお花畑
いくらでも摘みとっておくれよ
何度でも咲かせてみせるから