第五話
はい、祓戸です。ついに戦闘シーンに入るか……!?
「うーい……一年A組担任の深山だー。主に実況やってくぞー。よろしくー」
「そして解説の繰上朱音でーす。今年も深山先生の生徒兼相棒としてやってくよー!」
「うォォォおおおおおお!!!」
「イエーイ!みんな盛り上がっていこー!!」
「うォォォぉおおおおおおおおおお!!!!」
朱音は決闘上の方に取り付けられた部屋、いわゆる実況席にいた。
『ここって情報集めがやりやすいからねー。今年も上位ランカーの無言の圧力で押し通させてもらうよ。あ、上中くんがこっち見て驚いてる』
手を振る朱音。
彰もぎごちないが振り返した。
「じゃあ先生!実況よろしく!」
「はいよ……って決闘前にも言ったけど何も知らないんだけど。何があったんだ?」
「えっとねー、教室で瑞葵と編入生くんと話してたら奥田くんが決闘を仕掛けてきたんだよね」
「へぇ、奥田が。青春だねぇ」
「一体どこに青春要素が……?ま、いっか。じゃあ恒例の選手からの一言メッセージです!」
『あ、上中くんのメッセージを聞きそびれたな。ま、アドリブで何とかなるでしょ。』
「これは正義の行為だ!魔女同盟の一会員として、この愚かなる者に鉄槌を下す!だそうです」
「やっぱアイツ魔女同盟の一人じゃねぇか。これまで本人の前には絶対出てこなかったのに、編入生何やらかしたんだ?」
「さあね?続いて相手は非常に珍しい編入生!その名も………えっと………変態くん!」
彰の名前を忘れたふりをする朱音。
朝の出来事は本当に恥ずかしかったのでここで思いっきりいじってやろうという魂胆のようだ。
「お前クラスメイトの名前くらい覚えろよ。アイツの名前は………えっと……編入生だ」
「先生だって覚えてないじゃん。それにアイツなんて変態くんでいいんだよ」
「変態くんって……え、お前まで何かあったわけ?」
「恥ずかしいから端的に言うと、馬乗りされて胸を揉みしだかれた。だから変態くんで十分だよ」
「………確かに、それはないなぁ……」
『ま、あの時に流れのままに流されてたら分からないけどね』
11年ほど前を思い出す朱音。
その顔は苦渋に満ちていた。
「ちょっと繰上!なんでこんな大人数の前で言うのよ!」
体を前面に押し出して抗議する瑞葵。
それに対して朱音は冷静に返す。
「いやいや訴えないだけでも優しいと思うんだけど?それに今までは瑞葵だけで被害が済んだかもだけど今は私も巻き込まれてるの。変態くんが意図的なのかそうじゃないのかは分からないけど。一回痛い目見た方がいいと思うよ。そのうち本当に裁判にかけられる」
「それはっ!そうだけど……」
ふと朱音がステージを見ると彰が何か喚いている。
しかも手振り身振り使っていて必死さが分かる。
『おおかた、私に向けた弁明ってところかな。どれ、もうちょっと揶揄ってみようか』
「ん?変態くんが何か言ってるね。何々……勢いでやった。後悔はしてない?」
「違うよ!てか何捏造してんだ!」
否定の言葉を吐いてさらに手振り身振りが激しくなる彰。
顔も真っ青である。
「おいおいマジか。編入生最低だな」
『お、先生も乗ってくれた。じゃあ……』
「私、もうお嫁に行けない………」
手で顔を覆い隠し、わざわざシクシクと鳴いてみる朱音。
もっともその口はニヤついているが。
「おいおい」
「これ本当?」
「サイテー」
「我らが繰上様になんて事を……!」
スタジアム中から降り注ぐ非難の声と眼差し。
一部変な発言もあったが無視。
「お前……紅瀬さんだけに飽きたらず、繰上さんまで……!鉄槌を下してくれる!!」
「ちくしょーー!!微妙に否定できないのが悔しい!!」
「あははは!やー瑞葵だけじゃなくて変態くんも揶揄うと面白いね!」
「なあもう茶番はいいか?そろそろ始めないと予定に間に合わないんだけど」
「おっと失礼しました。じゃあ決闘始めよっか」
結局彰くんを揶揄って終わりましたね。7時くらいにもう一本出します。
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