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第1話 というかプロローグ 物語が始まって3行で、わたしは天に召されたのだ。

 わたし、八月一日ほずみ美月みづき。早生まれの17歳、職業は高校生。訳あって、こじんまりとした一軒家で一人暮らし。

 桜にはまだ早い、でも良く晴れ上がった気持ちのいい朝。わたしは学校へ行こうと家を飛び出した。

 家の門から一歩二歩と歩き出した途端、わたしの身体はすっぽーんと宙に舞い上がる。


 家の前の路地で、走ってきた軽トラックに跳ねられたのだ。


 軽トラック?

 宙に舞う、視界の隅に映るあれって軽トラックでいいのよね? でもなーんか、おかしなカタチ。


 はっ?! 今は、わたしを跳ねた軽トラックのカタチなんて気にしてる場合じゃなかった。

 車に跳ね飛ばされて、ただ今宙を舞っている真っ最中。重要なのは、この事実。

 普通、車に跳ねられたちゃったら良くても大ケガだよね。しかも、こんなに高く跳ね飛ばされたら、きっと死んじゃうよね。


 これはダメかしら。確実にダメだろう。いやもう絶対にダメだ。わたしの命も今日限りなのか。


 でも、あんなに強く跳ね飛ばされたっていうのに不思議とどこも痛くない。

 苦しくもない。走馬灯も巡ってはこない。


 でも、瞬きひとつする間にも、目の前には軽トラックの荷台が迫ってくる。

 あれ? 地面じゃないんだ。


 今さら、そんなことは、どうでもいいや。

 さよなら、みんな。さよなら、わたしの毎日。

 ちゃんとお別れを言えなくて、ごめんなさい。


 やがて訪れるであろう最後の時を迎え入れるため、わたしはそっと目を閉じる。

 次の瞬間、わたしの意識はプツンと何かのスイッチを切ったかのように暗闇に包まれたのでした。

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