天国チンチロ 救世主たちの退屈なサイコロ遊び
ここは……天国……っ!
雲の上……っ! 何もない……っ!
見渡す限り真っ白……ホワイトキャンパス……っ!
そこで二人の男がチンチロにいそしんでいた……っ!
「はぁ、平和だねぇ」
「だよな。ここ天国だもんな」
退屈そうに雲の上に寝そべっる二人の男……っ!
一人はパンチパーマ。
もう一人は長髪の長いひげ。
明らかにカタギではない風貌……っ!
「ねぇ、そろそろ飽きたんだけど。
お菓子以外のもの賭けない?」
「その場で消費する物じゃないとダメだよ」
「はぁ……パチンコもスロットも飽きたなぁ。
交換できるの全部お菓子とかなんだもん」
「もうちょっと刺激が欲しいよね」
そう言って苦笑いするパンチパーマ。
「ねぇ……下界ってどうなってる?」
「まーた人間同士でのいざこざが始まりそうだぞ」
「下界の様子を眺めてた方がよっぽど楽しいよね」
「ああ……飽きないよな、ほんと」
呑気に雑談する二人だが、つい先日この話題を話したばかり……っ!
忘れている……っ! 忘却!
同じことの繰り返し!
ひたすら続く平和な日常が記憶を薄れさせる……っ!
「それにしても不思議だよな。
なんで下界の連中って、
俺たちにサイコロふらせようとするの?」
「さぁ、何でだろうね? 僕には分からないなぁ。
あっ……またションベンだ」
「じゃぁこのうまい棒は俺のものってことで」
「明太味は取らないでね」
「分かったよ」
二人の間で最近ブームなうまい棒……っ!
ひそかなブーム……っ!
「ねぇ、久しぶりに地獄巡りしない?」
「いいねぇ、サタンにも会いたいし。
最近、悩んでたから話を聞いてやらないと」
「ほんと仲いいよね~」
「同僚のメンタル調整も仕事のうちだよ」
そう言ってロン毛はゆっくりと立ち上がって、服に着いた雲を払い落とす。
白い雲も天空ではただのスス同然……っ!
「地獄って面白いよなぁ」
「なんでだろうね?」
「多分だけど……アレがあるからだろ」
「ああ……アレね」
天国にはなく、地獄にはある物。
それは……ざまぁ!
地獄に落ちた罪人たちが苦しむさま……っ!
それはまさしく……ざまぁそのもの……っ!
愉悦っ! 圧倒的愉悦……っ!
罪人たちが苦しむさまを見て楽しむのは人のさが……っ!
二人はエレベーターで地獄へと向かうっ!
会いに行く! サタンに! 閻魔大王に!
手土産を持って……っ!
天国にしかない飴玉を大量に……っ!
この話はおしまい……っ!
退屈……っ! あまりに退屈なお話……っ!
まるで天国のよう……っ!
おしまいいいいいいいい……っ!