表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/32

謁見1〜女農商の場合〜

 ウォービッグ大陸全土を統べる王国、アールカ王国。


 その首都アールカには昼夜問わず様々な商人、冒険者や地方の貴族などが途切れることなく訪れていた。


 まさに交易の中心地である。


 中でも現国王の治世は後世にて、賢王の時代と呼ばれるほど経済、内政において凄まじい進歩を見せたとされる。


 その一因とされている政策が『楽相談』であった。


 これは時間を問わず国王へと謁見が許されており、

面倒な手続きを踏むことなく、順番を待てば誰でも謁見し、相談、陳情をあげることが出来るというものであった。


故に首脳陣は提起された問題に真っ先に相対し、これを適宜解決することが可能となったのである。







 話を戻そう。首都をとりまく壁、一の壁を越えると商業街、続いて二の壁に囲まれた市民街、さらに内側には貴族街がならんでいる。


そして、その中心に位置する白亜の城、この世の富と権力の象徴ともいえる大アールカ城には、春の暖かさが過ぎ、初夏が訪れようとしている今日も、

大勢の人間が訪れていた。




〜謁見室〜


 大アールカ城、その城内の中心に位置する空間、謁見の間には現在四人の人間がいた。

 豪奢な内装と煌びやかなカーペット、入り口から居室の中心を通るように敷かれ赤く彩られたその先、三段上った先には玉座が置かれている。


 一人目はその玉座に座するこの世の栄華の頂点ともいうべき人物、第16代国王『ナァルフォード・デ・アールカ』である。

 即位してからはや25年、彼が内政に従事してから国内総生産はついに過去最大値を叩き出し、アールカ王国王室の権威を近年磐石なものにした傑物である。彼の名を悪くいうものは滅多におらず、名君と評され、国民と配下からの期待と尊敬を一身に集めている。


 やや白髪混じりではあるが壮健な身体つきであり心身共に覇気に溢れたその国王から右手に一段下がったところに佇んでいるのは、アールカ王国が誇る名宰相と名高い『サヨーデ・ゴ・ザイマス』だ。

 

 スラリとした細身のシャツと黒のパンツを涼やかに着こなし、一見して穏やかに見えるその瞳は、森羅万象を見通すことが出来ると専らの噂である。

得意技は算盤であり、同時に四つの算盤を弾くことが出来るという噂も囁かれている。


 また、若くして剣術を極め、魔法においても他の追随を許さないほどの努力を重ね、自身で新しい魔術を生み出したとも、噂される英傑でもあった。


 年齢は40歳くらいだと噂され、奥方とは貴族に珍しく大恋愛の末結婚したと噂されている。

 最近は娘から冷たい態度を取られて落ち込んでいるというのは王城内で飛び交うもっぱらの噂だ。


 その宰相より二段下、つまりはフラットな床の上に神妙な顔付きで控えているのがアールカ王国近衛騎士、アールカ王国近衛隊謁見の間国王付き小隊第八小隊隊長代理の肩書を持つオーセ・ノママーニだ。


 彼は知られてはいないが異世界からの転生者であり、謎の神より人の心が読めるというギフトが与えられている。

 

 男爵家の三男として転生した彼は幼い頃よりその能力を活かし、親の機嫌を取り、上司の機嫌を取りさらには近衛騎士における採用筆記試験を全て質問し、相手の心に浮かんだ回答を記入し見事に今の立場まで上り詰めた策士である。


 ただ転生した理由は本人もわかっておらず、またその能力は基本的には発動しっぱなしであるため、前述した行動は全て望んでのことではなかったと記載しておく。


 若干二十歳という年齢での近衛騎士隊長就任は、周囲の妬みの対象となるという理由から、現在の謁見の間以下略の役職に付いている。

 本人にやる気があるかどうかは神のみぞ知るといったところだろうか。


 そして、その三人の視線の先、床に膝をついて伏せている女性が、今回の相談者である。

続きが気になる、面白かったと思って頂けましたら、拙作を評価して頂けますと幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ