裏謁見〜勇者と魔王の場合〜その2
ええと、何というかすいません。文字数が思ったよりもゴホッゴホッ!!
楽しんでいただければ幸いです。
「・・・・・・バースデイ。」
(このままでは話が進まん!さて、そろそろ仕掛けるかな。)
おおっと、陛下が動いたっ!バースデイ??なんか関係あるのか??
「「えっ?」」
(っ!!!)
「陛下・・・・・・。」
おお!二人の動きが止まった!!
(「パーティー」か。そもそもこやつら一日しか誕生日変わらんのだから、一緒に頼めば・・・・・・ああ、そうか。こやつらは昔から見栄っ張りで色んなことで張り合ってあったな。大方それぞれで企画して見栄はるつもりだったのだろう。ああ、思い出した、魔力が高すぎて、周りから髪の色で決められたあだ名が、「勇者と、魔王」)
新事実!!!えっ、職業とかじゃなくてあだ名だったの!?知りたくなかったよ!
もはや俺の中で憧れとか尊敬とか消えたよ!!
返して!陛下!!俺の夢を返してよっ!!!
「おい、ナァルフォード!てめえなんでオレらの約束の話が誕生日だって知っていやがんだ!」
(ユーシャたんの為に一杯考えたお誕生日、盛大に祝ってもらえるように業者さんに頼んだのに・・・・・・なんてオレの勝手な理由!ユーシャたんきっと悲しい顔しちゃうから内緒にしてたのにっ!)
「そうだよ!誰にも話してないもん!!」
(マーオにゃん喜んでくれるかなあって、プレゼントもいっぱい用意してたのになあ。わたしいっつもそう、大事な時に上手くいかないなんて・・・・・・マーオにゃん、ホントにごめんね。マーオにゃんが知ったら気を遣っちゃうから、内緒にしてたのにっ!)
・・・・・・さーて、何処から突っ込めばいい?腕がなるぜっ!!っじゃねえよっ!!えっ、何このギャップ!えっ、張り合ってたんじゃなかったの!?
張り合うどころかラブラブじゃん!にゃんにゃん状態じゃん!!
てか結果気まずくてお互いにすっぽかしてたらダメだろ!!
報・連・相!!日常でも大事だよっ!!
あーあー、顔赤くしちゃって。隠してたのに知られてたらそりゃ焦るわな。
(さあ、ここからが本番ですね。)
ふと、俺の頭の中に記憶が飛び込んできた。宰相様の記憶だ。何か商人らしき身なりをした男と会話していた。
――――――――
「それで?二人には気付かれていませんか?」
「ええ、問題ありません。二人とも、互いの誕生日パーティーとプレゼントを依頼してきました。」
宰相様の言葉に男が頷いた。
「よろしい、ではあなたはそのまま仕事をしているふりをして直前で姿を消しなさい。」
「はっ!ですが・・・・・・よろしいので?」
男の声は不安そうな響きを含んでいた。勇者と魔王という爆弾を前に、そのようなことをしてもいいのか、と。
宰相様はそれに対しても冷静に答えた。
「問題ありません。これはさる御方の依頼です。それを知ればあの二人も何もいえませんよ。」
そういって宰相様はふっと微笑みと共に瞳を細めていた。
――――――――
これは宰相様が動いていたのか。そりゃ鉄壁だ。
しかし、さる御方?宰相様よりも立場が上で、勇者と魔王を気にしない人間・・・・・・あっ!!
俺は一人の女性を思い浮かべた。
「でも中身を知ってるなら話が早え。オレの方が誕生日が早いから、約束を破られたのはオレが先だ。」
(違うっ!オレはそんなこと言いたいんじゃない。こんなことになっちまったけどまたユーシャたんと一緒に楽しく過ごしたいだけなんだ!)
ツンデレ乙っ!!いやマーオさん不器用過ぎるだろ!仲直りしたいのに相手を責めてどうすんの!?
「大体、こいつはいっつもテキトーなんだよ!今回の件だけじゃねえ。なんかすっぽかすと、あ〜忘れてた〜とか言ってヘラヘラしてるんだよ!こんなんが勇者だなんて絶対おかしい!!」
(駄目だ。口を開いたら止まらねえ。違うっ、オレはナァルに頼んで何ですっぽかしたのかの理由を聞き出したくて・・・・・・)
「マーオちゃん・・・・・・ひどい。」
(うそ。マーオにゃんそんなこと思ってたの?わたしそんなにもマーオにゃんに嫌われてた??わたしのことなんてどうでも良くなっちゃった??)
おいおいやめろやめろ。あかん、この方向はあかん!ああ、ユーシャさん涙出てるし。
内心で焦る俺の前で、二人はどんどん険悪な空気を増していった。
「私だって頑張ってるのに。マーオちゃんだって、がさつだし、乱暴だし、なんかやらかしても、あっ、わりぃ、とか言って本心から謝らないくせにっ!!そんなんだから彼氏出来ても長続きしないんだからね!」
(わたしが最初にすっぽかす形になったけど、その後謝ったし別の日にやればよかったじゃん!という商人に逃げられたんだもん、どうしようもなくない!?)
うわ、二人の身体からすんごいオーラ出てる。えっ、この魔力量、まじ?くっ、圧がやべえっ!!
「てめぇぇぇぇ!!言いやがったなぁぁぁ!!!いっつもくだらねえ男に騙されてるお前には言われたくねえよ!!」
(なんだよ!なんだよ!それは関係ないだろ!何でちゃんと理由言ってくんなかったんだよ!!)
「あー!!!マーオちゃん、それ言った!!ダメな線越えた!!越えたよ!!!」
そこからはもはや思考とかじゃない。感情の唸りの大渦が俺に押し寄せた。
「許さねえ!今回ばかりは痛い目を見せてやる!」
「こっちの台詞!お仕置きだよっ!!」
((絶交だ!!))
いや、絶交の規模がとんでもねえ!!あー、これは陛下と宰相様が憂鬱そうだったのもわかるな。手がつけられん。
いや、というかこれ誰が収拾つけるのよ。
とりあえずとばっちりだけは避けないと!
陛下と宰相様は!?
そこで初めて、俺は宰相様の姿が見当たらないことに気が付いた。
いない!?えっ、いつの間に。逃げた?逃げたの??この状況で??
「・・・・・・二人とも、そのくらいにしておけ。」
(やはり奥の手を使う事になったか。)
「「あ、あれはっ!!」」
陛下の身体から白いオーラが昇った。
「お前、なんだそりゃあ!」
「そうだよ!勇者と魔王のオーラに対抗出来るなんて・・・・・・あり得ない!」
おお!!!!陛下!オーラ出せんの!いいなー!いいなー!!
「ふふふ、これか?これは聖王覇気だ。お前ら二人を相手にとるのに無策でいるはずがないだろう。」
聖 王 覇 気 ! ! !
うわあ、くすぐってくるなあ。これは男の子はみんな堪らんやつや!
「聖王・・・・・・っ!!ホーリーかっ!」
「流石ホーリーちゃん。すごい。」
・・・・・・ああ、やっぱり聖女様か。というか、こうなる事を見越して王様にバフかけてたの?
(でも何でホーリーのやつが?オレらが争うことがわかってた??)
(ホーリーちゃんが軽々しく覇気を与えるなんてことしないだろうし。どういうことっ!?)
(ふふふ、何という全能感。これはやめられなくなるな。今からはスーパー王様タイムだっ!)
ださっ!ここへ来てダサいです!陛下っ!!そして急激に力を持ったが故の小物感がとんでもねえっ!!
「さて、国王の前での数々の不敬、勇者と魔王とて、わかってはいるだろうな??」
陛下はニヤリと頬を釣り上げると懐から何かを取り出した。そして瞬時に二人へと放り投げる。
強化され圧倒的速度で放たれたそれは二人に当たりパン、という破裂音と共に強烈な光を放った。
「くっ!」
「きゃあっ!」
「おお!」
魔道具だ!!やっべ!今日めちゃファンタジーだ!!異世界転生して良かったです!神様っ!!
光が収まるとユーシャさんとマーオさんは光る鎖で縛られていた。
「立て。」
うーわっ、ノってんね!陛下、ノってんね!!
って、あ・・・・・・。
「・・・・・・。」
(これは・・・・・・目のやりどころに困るな。)
いやあこれは無いわー。陛下さいってー!!鎖が変な縛り方してんじゃん!胸強調されてるし!エッロ!てか十代にしか見えない二人を縛ることへの罪悪感が凄いっ!!
陛下が視線を逸らすように俺を見て、指を前にやった。
いや、そんな顔で見られても・・・・・・連れて行けってことかな?
俺はとりあえず二人の後ろに立った。
「てめえ、覚えてろよっ!!」
(くっ、鎖が変なところにっ!あっ!)
「いっぱい助けてあげたのに!ナァルちゃんなんて知らないっ!!」
(この鎖、動くと余計に絡まって、んんっ!)
変な声出すなよ!しかも心の中で!!
陛下は勝ち誇ったように笑っていた。
(悶えておるな・・・・・・ふはははは!!なんだこの高揚感はっ!何かに目覚めてしまいそうだ!!)
だめ!陛下!戻って!!そっちはR指定よっ!!
(さて、どうやらおさまったみたいですね。後は二人が出てくるのを待つだけです。)
扉に近付く俺の頭に宰相様の声が聞こえた。
ん、何処にいるんだ?扉の外??ああ、そういうことか。
てかこれ俺じゃなかったら絶対に対応出来てないからねっ!
状況を理解した俺は不満を抱えつつ場所を替えて二人を促した。
「扉を、開けてください。」
「どうやって開けんだよ、考えろよ!」
「そうだよ!ノホホーンちゃん!お馬鹿さんだよー!!」
ノホホーンてなんだよ!確かに自己紹介とかしてないけど!くっそ、あったま来た!!
「いいから。近づけば開きます。」
「ちっ、なんなん・・・・・・」
「もう、おこだよ!勇者を怒ら・・・・・・」
二人が近づくと扉が一人でに開き、クラッカーの鳴らされる音が響き渡った。
「「「ユーシャ様、マーオ様!!お誕生日、おめでとうございます!!!」」」
「「えっ」」
こちらを迎える大人数の中心には宰相様が立っていた。
ドヤ顔だ!すごいドヤ顔をしていらっしゃる!!
「お二人とも、お誕生日おめでとうございます。」
(全く、手のかかる計画だった。)
(えっ、えっ??)
(なに?どういうこと!?)
はあ、これで終わりか。なんだかどっと疲れた。これは謁見の間国王付き小隊第八小隊隊長代理の俺には荷が重いすよ。
彼女達が再び視線を戻すと、大勢の人をかき分けて一人の女性が前に出た。
「二人とも、久しぶり!お誕生日おめでとう!!」
「ホーリー・・・・・・。」
「その様子だと、サプライズ、成功だね!」
きたぞ!主犯が!!めっちゃ笑ってますやん!満面の笑顔ですやん!!
しかしこの人も同級生だったんだな。いやてかみんな若作りだな。三人とも歳下にしか見えん!
「サプライズって、えっ?あれ??」
(えっ、どういうこと??何処からがサプライズ??)
「ふふふ、驚いたでしょ。」
(びっくりした二人の表情も可愛い!!)
流石聖女!独自の感性でいらっしゃる!
「ホーリーの願いでな。二人の要望を利用させてもらった。」
(ああ、覇気が消えてしもうた。余の王様タイムが。)
陛下、戻って来れて良かったね!!でも皆んなの話し、聞こうね!
陛下が二人に声をかけた。
「二人の要望??」
「えっ、私は確かにマーオちゃんの誕生日の相談をしたけど・・・・・・あっ!」
「えっ、オレの??でもオレもお前の誕生日の・・・・・・えっ!」
二人ともどうやら思い至ったみたいだ。二人の目が驚きに見開かれた。
「そうです。お二人の要望を伺っていた我々はホーリー様にそのお話をして、それで今回のサプライズをやろうという話になったのですよ。」
「二人をお祝いしたいのは私も一緒だもの!」
ホーリーさんはそういうともう一度二人を抱きしめた。
「お、おまっ、なんだよ!そういうのやめろよ!オレ、魔王だぞ?オレ、オレ・・・・・・。」
(なんだよ!おかしいと思ったんだよなあ。でも、良かったぁ!)
「マーオちゃん!?でもほんとに気付かなかった!うん、私も、マーオちゃんや皆んながそんなに思ってくれてたなんてっ。」
(そうだよね。受注しておいて逃げるなんて普通の商人ならしないもんね!あっ、マーオにゃん、泣いてる!)
・・・・・・良かったねえ。ん??そういえば二人の依頼を受注したんだよな??
「まあ全員同級生で腐れ縁だ。いつまで続くかわからんが、顔を合わせられる間はこのような催しをするのも悪くはあるまい?」
「そうですね。住民にも大々的に宣伝して祭りを行っております。経済も潤いますしね。」
(前金でお金も受け取ってますから、実質タダどころか利益出てますしね。)
あっ、やっぱりだ!!お金盗ってる!!うわあ、気付くんじゃなかった!
「皆んな二人のことが大好きだものっ!」
この様子だとホーリーさんは知らないな。陛下と宰相様・・・・・・いや、お金のことだから宰相様の発案か。
「お前ら・・・・・・ホーリーっ!!!」
「う゛えええ、あ゛りがどー!!!」
ホーリーさんのその言葉で、二人はどうやら堪え切れなくなったようだ。
三人が互いを抱きしめながら涙を流した。
こうして、今回の謁見は終わった。
俺の目の前では喜びを溢れさせている二人がいた。
よし、このまま有耶無耶になれば・・・・・・あっ。
(ユーシャたんと仲直り出来て良かったよぉ。・・・・・・そういえば、払ったお金・・・・・・ん?)
(マーオにゃんには後でプレゼント一杯渡さなきゃ!!あれ?プレゼントって確か商人が・・・・・・お金は?)
二人の瞳から感情が消えた。
ゆっくりと宰相様へと顔を向けた。
気付いちゃった!!あ、宰相様も気付いた!
・・・・・・汗って本当に滝のように流れるんだなー。
あっ、殴られた!
俺の目の前で宰相様の身体が吹き飛んだ。
そして瞬きする程の時間の後、そこにはユーシャさんとマーオさんに挟まれてボールのように二人の間を殴られて往復してる宰相様がいた。
うん、あの二人は怒らせちゃダメだな・・・・・・王国は今日も平和だ、南無南無。
いつも読んで頂きありがとうございます!
誰かが読んでくださっているということが毎日本当に励みになっております。
続きが気になる、面白かった!!という方は下記の⭐︎にて評価をして頂けると非常に嬉しいです。
ブックマークなども是非!!
また、誤字等のご指摘や作品の感想なども遠慮なくどしどしお伝えくださいませ!!
また幕間をいくつか挟みます。よろしくお願いします。




