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裏謁見〜勇者と魔王の場合〜その1

うん、すいません一話じゃ全然無理でした汗


楽しんで頂ければ幸いです。

 

 俺は朝からわくわくしていた。事前に受けた連絡の

おかげだ。

 その連絡とは、今日の謁見に来る相手のこと。誰だと思う??

 

 なんと!勇者と魔王よ!!いや、やばいでしょ、これ!!ファンタジーよ!まさにファンタジーよ!!俺転生して初めて何かファンタジーな感じしてるもの!!


 俺はご機嫌な様子で、いの一番に謁見の間に到着して誰かが来るのを待っていた。


 しばらくして、入ってきたのは陛下だ。しかし、何やらその表情は硬い。


(嫌だなあ。あいつら昔から苦手なんだよなあ。学生時代もあいつらのせいでロクなことなかったし。今から考えると友人出来なかったのあいつらのせいもあるな。)


 えっ、陛下がここまで言うってどんなよ。てか陛下、勇者と魔王同級生なんですか!?

 えっ、てことは勇者と魔王って結構歳いってらっしゃる??


 俺の疑問に答えてくれる人はいない。浮かれ切っていた俺の気持ちはなんだか水を差されて萎んでいく。


 無言のまま時が過ぎ、慌てた様子で宰相様が中へと入ってきた。

 こちらの様子を確かめないなんて、珍しいな。


(くっ、覚悟してきたといえ、嫌だっ!やはり帰りたい!!だがこれは必要なことですし・・・・・・。)


 宰相様もなんだか乗り気ではないみたいだ。俺の頭の中に二人の負の感情がバシバシ入り込んで来る。


 えっ、この二人にここまで思わせるって割と真面目にやばいんじゃないの?

 なんか怖くなってきた!!


「へ、陛下っ!いらしてたのですが!?」


(てっきり駄々捏ねて遅れると思ったのにっ!)


 「うむ、今日の謁見は荒れるだろう?余とて落ち着いてはおらんかったのだ。」


(昔からサヨーデはあの二人が苦手だったもんなあ。まあ余もそうだけども。)


「さようでございますか・・・・・・かくいう私も、居ても立っても居られないといった心境でして。」


「・・・・・・で、あるか。」


((はあ。気が重いなあ・・・・・・。))



 心の声でハモった!!そんなかっ、そんなに嫌なんかっ!!ええ、なんか俺のイメージの感じの勇者と魔王では、無さそうな感じ??


 俺は二人して弱りきった様子をみて、首を傾げた。


 一応確認だけしとくか。どんな雰囲気か知っといた方がなんかあっても動けるし。


「宰相様、今日の謁見の相手はそんなにも大変な相手なのでしょうか?」


「大変なんてものではない!いいか、あいつらはな・・・・・・「謁見の者が到着致しました!」くっ、来てしまったか!」


 ええっ!!あー、結局どうヤバいのかわからんままだな。まあいつものようになるようになるか・・・・・・おお、二人とも姿勢を正しておる。これは本格的にヤバそうだ!


 俺が扉の方を見ていると、二人の女が入ってきた。


 えっ、女??というか、えっ、陛下とサヨーデ様と同級生よね?若くない??


 俺は眉を寄せて二人を観察していた。


(ああ、来てしまったか。さて、上手いこといけばいいが。)

 

 上手いことってなんだ??陛下もサヨーデ様も何かを隠している?


 俺はわからないことになんだか悶々とした気持ちになった。まあおいおいわかるか・・・・・・って、こいつらやべえ!跪きもしねえ!!


 いや、いくら同級生でもダメでしょ!というか、ちょっと待って!!!!


 俺は陛下の前で仁王立ちしている二人を眺めた。


 



 属 性 詰 め 込 み 過 ぎ や ろ が いっ!!

 

 


 え、何このロリババア達。十代にしか見えねえっ!!てか髪の色が赤と青て!

 もはやテンプレの極みじゃねえかっ!!

 

「・・・・・・久しいな。ユーシャ、マーオ。息災であ」


「やほー!!ナァルちゃん、サヨちゃん!!」


「おう、てめーら!たまには連絡くらいよこしやがれ!!


 もっと属性詰め込んできたー!!えっ、お気楽勇者とオラオラ系魔王ですか!よくあるやつ!!くそっ!あざといな!!


「二人とも!陛下になんて口を利くんだ!」


(くっ、やはり変わってませんね。)


「やーだー、サヨちゃんてば相変わらず厳しー!」


「うるせえっ、モヤシ!てめえは黙ってろ!」


 ユーシャさんマイペース!!そしてマーオさんこわっ!サヨーデ様たじたじやん!

 あー、でもなんか同級生って感じするなあ。なんというか、距離感が近い。さっきの言い合いだって、昔から何度もやってそうだし。



(全くこいつらは。歳をとっても落ち着くということを知らんな。)


 陛下は呆れた表情だ。確かに、実年齢考えるとこれはヤバいかも知れん。


 俺は実年齢を考えて愕然とした。いや、よくよく考えたら俺の両親とかの方が近いんじゃね?

 それで十代にしか見えないって・・・・・・えっ、こわっ!何それ、何かに魂売ってんの!?



「・・・・・・お久しぶりですね。それで、今日はなんの用事があったのですか?」


(がぁぁぁ!!相も変わらずやかましい!!しかし今回は主役。穏便に行きましょう。)


「それがよぉ、聞いてくれよっ!ユーシャがオレとの約束をすっぽかしたんだ!!」


(そーだ!こんなモヤシいじってる場合じゃねぇ。)


「違うよ!マーオちゃんが先に約束をすっぽかしたんだよ!」


(違うんだよー!マーオちゃんの誕生日をわたしが忘れるわけないっ!違うのー!!)



 えっ、これが謁見のこの理由?私用じゃんっ!

 てかめちゃめちゃ仲良いなこの二人。だとしたら何で誕生日すっぽかしたんだ?

 なんだかユーシャさんは理由がありそうだし。


 俺の目の前で二人が互いに指差しあっている。


「なんだと!ユーシャの嘘つき!」


(俺はお前と違って理由があんだよ!!)


 ん?マーオさんも理由があるっぽい??


「マーオちゃんだって嘘つきだよ!」


(もー!!わたしはちゃんとお願いしてたんだよー!!)


「まあまあ、二人とも落ち着いてください。・・・・・・それにしてもどうしたものか。」


(予想してた通り二人とも荒れてますね。これは重畳。)


 あっ。

 俺は全てを悟ってしまった。あれだ、これ陛下も宰相様も知ってたな。というか、むしろそうなるように業者引き込んだな。


 俺の能力は思考が読める能力。それは何も考えた言葉だけを読むわけじゃない。その人が思い返している記憶の景色も当然イメージすれば俺の脳内に流れ込んでくる。


(ここは頭を抱えたフリでもしておくか。さて、後は陛下のお芝居にかかっている、か。)


(ヒートアップしてきたか。これはそろそろ余の方に矛先が向くな。)


 今日の陛下すごく普通だな。むしろ相手の動きを読んでる当たり頭切れるよね。

 ・・・・・・なんで普段から発揮してくれないんだろう。というか、俺にも説明しといて欲しかった。これ知らないフリしながら巻き込まれなきゃいけないの?


 俺は思わず遠くの方を見つめてしまった。現実逃避しても何かが変わるわけじゃない。

 くそうっ!負担でけえなあ!!



 その間も二人は言い争いを続けていた。


「おい、ナァル!てめえはどっちの方が正しいと思うんだ!?」


(オレの味方しなかったら前に着替え覗かれたことバラしてやるっ!)


「私だよね、ナァルちゃん!私の方が正しいよね!」


(私の味方してくれなかったら前に下着盗まれたこと言いふらすんだからっ!)



 いや陛下何やってんの??勇者と魔王だよ?とんでもない相手にとんでもないことしてんね!

 まあでも確かに二人とも凄くいい身体してるし、なんかツヤツヤしてるし、柔らかそうだし、なんならいい匂いとか・・・・・・あかん!!チャームされるとこだった!!


 くっ、陛下!ナマ言ってすいませんでした!!


 そして、全員の視線を集めた陛下は、ゆっくりと口を開いたのであった。


いつも読んで頂きありがとうございます!

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