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謁見〜勇者と魔王の場合〜その2

書き終えたらその1の倍以上の文字数、だと!?汗

たまにはこういうのもいいのかなという内容です。

楽しんで頂ければ幸いです。


「・・・・・・バースデイ。」


 ナァルフォードの口から飛び出た言葉は現在の状況に全然関係のない言葉だった。


「「えっ?」」


「陛下・・・・・・。」


「パーティー・・・・・・勇者と、魔王」


 驚く一同を前に王様は呟き続けた。

 そこへ、赤い髪の女マーオが噛み付いた。


「おい、ナァルフォード!てめえなんでオレらの約束の話が誕生日だって知っていやがんだ!」


「そうだよ!誰にも話してないもん!!」


 ユーシャも同じく言い募るが、どちらもその頬は薄らと赤くなっていた。

 そして、何やら焦っているようにも見える。


 サヨーデは怪訝そうに眉を(ひそ)め、ノママーニは口元をモニャモニョと動かしていた。


 ナァルフォードは黙したまま答えない。


「でも中身を知ってるなら話が早え。オレの方が誕生日が早いから、約束を破られたのはオレが先だ。」


 マーオはナァルフォードに対してさらに声高にユーシャの非を唱えた。


「大体、こいつはいっつもテキトーなんだよ!今回の件だけじゃねえ。なんかすっぽかすと、あ〜忘れてた〜とか言ってヘラヘラしてるんだよ!こんなんが勇者だなんて絶対おかしい!!」


「マーオちゃん・・・・・・ひどい。」


 言われたユーシャは哀しみから身体を震わせている。瞳には雫が滲み始めていた。


「私だって頑張ってるのに。マーオちゃんだって、がさつだし、乱暴だし、なんかやらかしても、あっ、わりぃ、とか言って本心から謝らないくせにっ!!そんなんだから彼氏出来ても長続きしないんだからね!」


 きっ、とユーシャがマーオを睨みつけた。その身体から青色のオーラが立ち上る。

 一方魔王からも赤色のオーラが噴き上がった。


「てめぇぇぇぇ!!言いやがったなぁぁぁ!!!いっつもくだらねえ男に騙されてるお前には言われたくねえよ!!」


「あー!!!マーオちゃん、それ言った!!ダメな線越えた!!越えたよ!!!」



 もはや、謁見の間は台風の目と化していた。青と赤のオーラが互いに混ざり合い、今にも爆発しそうな状態で拮抗していた。


「許さねえ!今回ばかりは痛い目を見せてやる!」


「こっちの台詞!お仕置きだよっ!!」


 ノママーニは腰に下げた剣に手をかけて、いつでも抜ける状態にしたままじりじりと二人から距離をとった。



 ノママーニは決して弱いわけではない。弱いわけではないが、特殊能力が読心以外にあるわけではないので、その戦闘能力は一般人が剣術を嗜んだ道の延長のものでしかない。


 彼は焦ったようにナァルフォード、サヨーデへと視線をやった。


 そこで初めて、サヨーデの姿が見当たらないことに気が付いた。


 だが、気が付いてもこの状況では如何ともし難いい。 

 ノママーニは近衛としての仕事を全うするべくナァルフォードへと近づいていった。



 その時、事態は動きを見せた。


「・・・・・・二人とも、そのくらいにしておけ。」


「「あ、あれはっ!!」」


 赤と青が混じり合う中に、白が加わった。元を辿ると、ナァルフォードの身体から白いオーラが湧き上がっていた。


 ユーシャ、マーオ、ノママーニはそれぞれ驚愕で見を見開いた。



「お前、なんだそりゃあ!」


「そうだよ!勇者と魔王のオーラに対抗出来るなんて・・・・・・あり得ない!」


「ふふふ、これか?これは聖王覇気だ。お前ら二人を相手にとるのに無策でいるはずがないだろう。」


「聖王・・・・・・っ!!ホーリーかっ!」


「流石ホーリーちゃん。すごい。」


 


 説明しよう!!聖王覇気とは、聖女に認められた王が纏うことの出来る覇気である!しかしこの覇気は本人が持っている訳ではなく、所謂バフ効果による能力上昇状態である事を明記しておく!!


 後世の研究で歴史家達はその上昇能力は勇者と魔王と並ぶほどの上がり幅と判定しているが、使用された本人が基本的に見せ物のように使用していた為その実態は謎に包まれている。



 


 覇気の出どころに心当たりがあるのだろう。二人は悔しげに唇を噛んだ。

 しかし事態は好転した訳ではない。

 

 ナァルフォードは立ち上がり二人とも同じ目線へと足を進めた。


 三者三つ巴の構図が出来上がった。


「さて、国王の前での数々の不敬、勇者と魔王とて、わかってはいるだろうな??」


 ナァルフォードはニヤリと頬を釣り上げると懐から何かを取り出した。そして瞬時に二人へと放り投げる。

 強化され圧倒的速度で放たれたそれは二人に当たりパン、という破裂音と共に強烈な光を放った。


「くっ!」


「きゃあっ!」


「おお!」


 光が収まるとそこに立っていたのはナァルフォードだけであった。


 ユーシャとマーオは白く輝く鎖で縛られて床の上に転がっていた。

 二人が逃げようともがく度に鎖が絞られていくようだ。苦悶の声がユーシャとマーオから漏れた。


「立て。」


 ナァルフォードが指を二本、クイっと上にあげると見えない腕に掴まれたように鎖は立ち上がり、二人は立たされた。



「・・・・・・。」


「・・・・・・。」



 ナァルフォードは目を背け、咳払いをすると、指を前に動かした。

 ノママーニが先導する為に二人の前に立った。


「てめえ、覚えてろよっ!!」


「いっぱい助けてあげたのに!ナァルちゃんなんて知らないっ!!」


 悪態をつく二人を尻目に、ノママーニは浮き上がる鎖の先端を掴み、進んだ。

 ナァルフォードは二人の悪態を受けても笑ったままだ。それは、勝者の表情だった。


 謁見の間の扉の前に立ち、ノママーニは二人と入れ替わるようにして背後に立ち、二人に告げた。


「扉を、開けてください。」


「どうやって開けんだよ、考えろよ!」


「そうだよ!ノホホーンちゃん!お馬鹿さんだよー!!」


 二人の暴言に額に青筋を浮かべながらもノママーニは怯まなかった。

 二人を据わった目で見る。


「いいから。近づけば開きます。」


 ノママーニの気迫に気圧されたのか、二人は素直に従った。扉がゆっくりと開いていく。


「ちっ、なんなん・・・・・・」


「もう、おこだよ!勇者を怒ら・・・・・・」


 口々に文句を言い立てようとした二人の言葉はそこに在った光景で遮られた。


 パン!パパン!!パン!!


 

「「「ユーシャ様、マーオ様!!お誕生日、おめでとうございます!!!」」」


「「えっ」」


 扉が開いた瞬間、多数の破裂音と共にクラッカーが鳴らされ、紙吹雪やリボンが目の前に舞い上がった。

 大勢の人間がその場、謁見の間の前の大広間に集まっており、その中央にはサヨーデがいる。


 二人を待ち構えるように背筋を伸ばして立っており、二人の目を視界に入れると、ゆっくりと腰を曲げた。


「お二人とも、お誕生日おめでとうございます。」


 まだ理解が追いついていない二人はノママーニ、ナァルフォードの方を振り返った。


 ノママーニはやれやれといった表情、ナァルフォードは目論見が成功したと満足げな表情をしていた。


 彼女達が再び視線を戻すと、大勢の人をかき分けて一人の女性が前に出た。



「二人とも、久しぶり!お誕生日おめでとう!!」


「ホーリー・・・・・・。」


「その様子だと、サプライズ、成功だね!」


 未だ呆然とした表情のユーシャとマーオを見て、ホーリーと呼ばれた女性は満面の笑みを浮かべた。二人に近付き、勢いよく抱きついた。


 鎖はホーリーが触れた瞬間に消えて、二人もホーリーを受け止めた。


「サプライズって、えっ?あれ??」


「ふふふ、驚いたでしょ。」



 クスクスと笑いながら頭を擦り付けるように二人に甘えるホーリー。その目は幸せそうに細められていた。


「ホーリーの願いでな。二人の要望を利用させてもらった。」


 背後から近付いていたナァルフォードが二人に声をかけた。


 振り返ったユーシャとマーオはナァルフォードを見て、今度は互いに顔を見合わせた。


「二人の要望??」


「えっ、私は確かにマーオちゃんの誕生日の相談をしたけど・・・・・・あっ!」


「えっ、オレの??でもオレもお前の誕生日の・・・・・・えっ!」


「そうです。お二人の要望を伺っていた我々はホーリー様にそのお話をして、それで今回のサプライズをやろうという話になったのですよ。」


 互いに心当たりがあったのだろう。二人は声をあげた。

 そこへサヨーデがねたばらしと口を開いた。


「二人をお祝いしたいのは私も一緒だもの!」


 ホーリーはそういうともう一度二人を抱きしめた。


「お、おまっ、なんだよ!そういうのやめろよ!オレ、魔王だぞ?オレ、オレ・・・・・・。」


「マーオちゃん!?でもほんとに気付かなかった!うん、私も、マーオちゃんや皆んながそんなに思ってくれてたなんてっ。」


 マーオは顔を紅くしていたが込み上げるものを堪えきれずに、瞳から涙を流して泣き始めた。


 ユーシャも嬉しそうに頬を緩め、その目尻には光るものがあった。


「まあ全員同級生で腐れ縁だ。いつまで続くかわからんが、顔を合わせられる間はこのような催しをするのも悪くはあるまい?」


「そうですね。住民にも大々的に宣伝して祭りを行っております。経済も潤いますしね。」


「皆んな二人のことが大好きだものっ!」


「お前ら・・・・・・ホーリーつ!!!」


「う゛えええ、あ゛りがどー!!!」


 ホーリーのその言葉で、二人はどうやら堪え切れなくなったようだ。

 三人が互いを抱きしめながら涙を流した。


 こうして、今回の謁見は終わった。

 二人の誕生日は盛大に祝われた。翌年からこの催しは祭りとして定着し、一年に一回勇者と魔王の誕生日を祝う祭りが行われた。

 そしてそれは後世にも残り、この日は友情の日として多くの人間が仲を深める一日として友人や家族とともに過ごすようになったという。


 





 盛り上がる各々を眺めながら、色々な感情をない混ぜにした表情を浮かべた男がいた事は、誰も知らない。




 王国は今日も平和だ。

いつも読んで頂きありがとうございます!

誰かが読んでくださっているということが毎日本当に励みになっております。


続きが気になる、面白かった!!という方は下記の⭐︎にて評価をして頂けると非常に嬉しいです。

ブックマークなども是非!!


また、誤字等のご指摘や作品の感想なども遠慮なくどしどしお伝えくださいませ!!




次回は裏謁見!

内容的に今回言葉遊びはないので一話で終わるかもです。

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