謁見〜勇者と魔王の場合〜その1
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本日、『二千年間眠り続けた魔王は聖女の生まれ変わりと出会ったので今度こそ必ず助けたいと一緒に冒険に出ることにしました。』も更新しておりますので、是非っ!
その日、アールカ王国、王城の中の空気はいつになく張り詰めていた!!!
多くの使用人達が駆け回り、指示を出す人間の声が響く。
兵士達も物々しく動き回り、警戒を崩さない。
それは宰相であるサヨーデも同様であった。早足で謁見の間へと足を進める彼の表情は、いつになく鋭い。
彼は歩きながら手に持った書類をはらはらとめくり中を確認すると、顔を歪めて大きく舌打ちを鳴らした。
やがて、謁見の間へと辿り着き中の様子を確かめることもなく勢いよく扉を開けた。
そこには玉座に腰を下ろしたナァルフォードといくらか離れて立つノママーニがいた。
ナァルフォードの姿を視界に入れたサヨーデは動揺した。
「へ、陛下っ!いらしてたのですが!?」
「うむ、今日の謁見は荒れるだろう?余とて落ち着いてはおらんかったのだ。」
「さようでございますか・・・・・・かくいう私も、居ても立っても居られないといった心境でして。」
「・・・・・・で、あるか。」
ノママーニは二人して弱りきった様子をみて、首を傾げた。
「宰相様、今日の謁見の相手はそんなにも大変な相手なのでしょうか?」
「大変なんてものではない!いいか、あいつらはな・・・・・・「謁見の者が到着致しました!」くっ、来てしまったか!」
ナァルフォードとサヨーデは視線を交わし頷き合うと、サヨーデは所定の位置についた。ナァルフォードも姿勢をあらためる。
扉が開く。ノママーニが見ていると、二人の女が入ってきた。
二人の様子を見て、ノママーニは眉を寄せている。
ナァルフォードとサヨーデは諦観を浮かべて、二人を見つめていた。
しかし、問題が起きた。所定の位置に着いたというのに、二人は跪かないのだ。
仁王立ちし、ナァルフォードの方を見ている。
歳は十代だろうか。赤い髪と青い髪をそれぞれしており、ぱっちりとしたその目は真っ直ぐにナァルフォードを見上げていた。
ノママーニはどうしていいかわからない。しばらくナァルフォードとサヨーデの顔を見比べて困惑していたが、特に何もしない事を選んだようだ。
「・・・・・・久しいな。ユーシャ、マーオ。息災であ」
「やほー!!ナァルちゃん、サヨちゃん!!」
「おう、てめーら!たまには連絡くらいよこしやがれ!!
「二人とも!陛下になんて口を利くんだ!」
「やーだー、サヨちゃんてば相変わらず厳しー!」
「うるせえっ、モヤシ!てめえは黙ってろ!」
ナァルフォードの言葉を遮って甲高い声を出したのは青い髪の女、男勝りな口を利いたのは赤い髪の女だった。
二人は注意するサヨーデとも面識があるようで、気安く言葉を返した。
ナァルフォードはその様子を玉座から眺めてこめかみを揉んだ。
ノママーニはというと、口を大きく開けて呆気に取られていた。
サヨーデは苛立ちを鎮めるように大きく息を吐いた。
「・・・・・・お久しぶりですね。それで、今日はなんの用事があったのですか?」
「それがよぉ、聞いてくれよっ!ユーシャがオレとの約束をすっぽかしたんだ!!」
「違うよ!マーオちゃんが先に約束をすっぽかしたんだよ!」
サヨーデの問いに二人は互いに指差しあった。どうやら、互いに約束をすっぽかされた事を訴えに来たようだ。
「なんだと!ユーシャの嘘つき!」
「マーオちゃんだって嘘つきだよ!」
「まあまあ、二人とも落ち着いてください。・・・・・・それにしてもどうしたものか。」
サヨーデは頭を抱えた。おそらく二人はお互い先に約束を破られたと思っている。言った、言わないといった内容の喧嘩の仲裁というのは困難だ。
サヨーデはナァルフォードの方を見た。ナァルフォードは何かを思案する様に目を瞑っていた。
続いてノママーニを見た。彼は何故か遠い目をしていた。
その間も二人は言い争いを続けていた。
「おい、ナァル!てめえはどっちの方が正しいと思うんだ!?」
「私だよね、ナァルちゃん!私の方が正しいよね!」
二人の言い争いは勢いを増し、ついにナァルフォードに直接問いかけた。
そして、全員の視線を集めたナァルフォードは、ゆっくりと口を開いたのであった。
つづく。
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