幕間〜ノママーニ卿のお見合い大作戦〜その2
お待たせしました。裏の主人公のお話しです。
明日、この続きを投稿させて頂きます。
楽しんで頂ければ幸いです。
『優しい君の笑顔の為に』も本日更新しておりますので、是非ご確認くださいませっ!
いよいよ水の日だ。はあ、気が重い。何で気が重いかって?そんなもの決まっている。
俺の能力のせいだ。
転生者の俺はスキルと称して特殊な能力を与えられた。その能力とは、人の心の中で考えていることがわかる、というものだ。
正直、その能力に目覚めた時は歓喜した!この能力を持ってすれば色んな困難を楽勝で乗り越えて、いつしか俺は英雄と呼ばれるんだっ!と。
そしてその途中で色んな女の子に出会ってハーレム展開を堪能することが出来るんだっ!と。
はい、ダメでした。能力?対象を選べないから近くにいる人全員の思考が入って来ちゃう。
そして何よりこの世界、凄く平和でした。
それならハーレムだけでも!・・・・・・早々に諦めました。思考が読めるってことは、話してる女の子の感情がリアルタイムでわかるんだよ。
俺に笑顔を向けながら内心で罵倒してたりとか、打算で近づいてくるのも全部わかるのよ。
学生の頃、幼馴染の男爵家の令嬢が、俺に告白して来た。でも、心の声で俺の兄貴達にも告白していたことがわかって、それだけじゃなくて、金欲しさにどこぞの少女趣味の伯爵とよろしくやってたことまでわかってしまった。
俺?気持ち悪くて返事する前にその日食べたもの吐いたよ。そしたら相手が勘違いで泣き出しちゃって、俺は心が読めるなんて言えるわけがないから周りから総スカン食らったんだ。
とかく貴族の女は腹に一物抱えてる場合が多い。まあ男もだけれど。
そんなわけで、ちょっとしたトラウマを植え付けられた俺は女性とお付き合いした事がない。よってどんな話をすれば喜ぶのかがわからない。
前世の記憶なんてここではあてにならないし。色々考えたら案外、独身貫いて稼いだお金で適度に遊んでる方が楽だと思った。俺三男だしね。
そう、思っていたんだ。あの時までは。
俺は急いで仕立てたパーティー用の衣装を着込んで、王城の門をくぐった。ギリギリまで行きたくないと母上に駄々をこねていたが、最後は蹴り出されるようにして家を追い出された。
(あ・・・・・・ごく・・・・・・。)
(・・・・・・可・・・・・・ても。)
どうやら結構な人数が集まっているみたいだ。朧げだが心の声が頭の中に響いた。
「っし!!」
俺は気合いを入れて衣装の襟元を正した。背筋を伸ばし、前を一直線に見る。
来る前に鏡で確認したが、見た目はそこまで悪くはない筈だ。
今日の俺は近衛騎士オーセ・ノママーニではなく、ノママーニ男爵家の三男。家の恥となるような無様は晒せない。
緊張が顔に出ないように意識して口角を釣り上げた。
王城三階にあるパーティー用のホールには、多くの男女がいた。
(伯爵以下の家だと長男長女以外は無駄飯食らいになるからなあ。)
結婚によって地位を確立するとなるとそれぞれの家の長男のところに嫁ぐか、もしくは長女のところに婿に入るしかなかない。
俺は心の中を見るまでもなく、獲物を狙うギラギラとした空気に早くも嫌気が差してきていた。
ワイングラスを片手にとって俺は壁際へ非難した。
何をするでもなくひんやりとした壁に背中を預けながら周囲を観察していた。
やがて、全ての人間が揃ったのか、ホール中央の台座の部分に騎士が昇り、国王の訪れを告げた。
「アールカ陛下のおなーりー。」
国王の登壇と共に、一斉にその場に跪く。
くそ、ワイングラスを持つんじゃなかった!だからみんなまだ呑んでいなかったのか!誰か教えてくれよ!!
俺は心の中で悪態をつきながら陛下のお声を待った。
「面を・・・・・・上げよ。」
(今年もこの日が来たか。思い人になかなか告白出来なかったサヨーデの為に企画してはや二十年。すっかり定番のイベントになったな。)
いや、企画したのあんたかよ!めちゃめちゃ私的な理由じゃねーか!
(名前も悪ふざけでつけてしまったが、思いの外受け入れられていて、何よりだ。)
まさかの悪ふざけっ!?あんたのせいで間違いなく何人もの人がイジられてきたよ!
いよいよ開会だろう。陛下はグラスを持ち、正面に掲げた。
「・・・・・・であるからして、今日の主役はそなた達である。さあ、皆のもの、立ち上がりグラスを持ちなさい。」
いつになく饒舌な陛下の言葉に皆一斉にグラスを手に取った。
「そなた達が良き運命に出会うことを祈って。乾杯っ!!」
「「「乾杯っ!!」」」
陛下の音頭で乾杯が行われ、見合いパーティーが始まった。
この後歓談の時間を設け、その後締めのダンスが行われる。
再び壁にもたれかかった俺の頭の中に、気合いに満ち満ちた男女の思考が途切れることなく入り込んで来た。
俺は何度か話しかけられたが、相手の心が読める為どうしてもそっけない態度になってしまった。
案の定というか、狙い通りというか、開始してしばらく経った頃には、俺に話しかける令嬢は居なくなっていた。
目の前ではもう何組ものカップルが出来上がっていて、それぞれが思い思いに談笑していた。
(おい、その男実は男色だぞ。あっ、その女は家が借金抱えてるぞ!!)
などと入り込んで来る思考とその主を見て相手に心の中で忠告のようなものを思い浮かべて時間を潰していた俺の中に、気になる思考が入り込んできた。
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