返信と調査
この度はSと云う人物の取材や過去の話を当時の同級生から聞くことが出来た。
同級生Aの証言
・Sは小学生から肥満体型の子供
・髪はフケだらけ悪臭がした
・自分がどれだけ不幸かの話が多かった
・クラス全員から嫌われていた
・登校拒否の児童と仲が良かったらしい
・小学生の頃から奇行が目立った
以上が取材で聞き出せた内容である。
正直、Sは想像通りの人物であった。
上記の事よりSは幼少期、自己愛性パーソナリティ障害、或いは何らかのパーソナリティ障害だったと思われる。
また手紙には『地獄を見た。飢えた時もあった』等の記載もあったが飢えた子供が肥満体型である筈もない。(虚言癖がある可能性も考慮する)性格にも特殊でもない限りクラス全員から嫌われるなんて事もあり得ない。これは私の推測で有るがSの性格の悪さを知らない、まだ被害に合ったことの無い真実を知らない登校拒否の児童だけがSの話に耳を傾けたのだろう。
Sは自己主張が激しいが故に周りと調和が取れず孤立したのだと推測する。当時の担任教師数名からも問題児であったと警察の証言を得ている。
この事実を手紙でSに送り付けてやればSはさぞかし悔しがるだろう。逆ギレの返信をよこすか今後の手紙取材を受けなくなるかのどちらかだ。
後者はまずい。私はSと喧嘩する事が目的では無いなだ。Sから情報を聞き出し真実とドラマを記事にす事で金を得るのが目的だ。飯の種を無駄に刺激するのは得策ではない。
私は他にも他の同級生から話をきいた。
同級生Bの証言
・Sの学力は低い方であった
・Sは一度喋り出すと止まらない質で皆迷惑していた
(知的障害の疑いあり)
・クラスの男子に色目を使い気持ち悪がられていた
・特定の女子と仲良くしていた事はない
・いつもグループの組分けで余っていた
・上級生からも馬鹿にされていた
・Sはいつも怒っていた
・爪を噛んでいたり剥いだりしていて指は唾液と血だらけだった。(コンパスの針で爪を抉っていて気持ち悪かったのが印象的だったとの証言あり)
・人の話は全く聞かなかった。また人任せだった所も多い
・リーダーや連絡役、責任や失敗すると問題の発生する仕事は任せられなかった
・常に役に立たず、何をやらせても出来ない子供だった
・直ぐに調子に乗ったそうだ
AよりBの方が同性が故か多くの証言が取れた事は僥倖だった。Sは子供の頃からロクでもない人物だった様だ。ここまで聞いても好印象な話が無いのは…殺人犯なので当たり前だか取材してもSの奇行ばかり聞かされる。
だが『直ぐに調子に乗る』のに『いつも怒っていたり』『男子に色目を使ったり』『人任せ』だったりと、クラスメイトとのコミュニケーションの振り幅が酷い。距離感が掴めないのだ。Sはクラスメイトに対してフレンドリーだったのか攻撃的だったのか推測が出来ない。
クラスの誰かと仲が良いと一方的に思っていた?思春期特有の恋愛に憧れていた?だが誰に対しても怒っていた。自分の思い通りならないと癇癪を起こしていたのだろうか?
私はSに中学時代のことを手紙で聞いた。
返信の手紙にはこう書かれていた。
前略 先生
小学生、中学時代に楽しい思い出などありませんでした。
敬具
どうやらSの機嫌を損ねたらしい。