まぶたのうら
空が青い。
雲が白い。
木々が緑に。
染まっていく。
夕焼けは赤く。
夜空は、どこまでも暗く。
そこに浮かぶ星の数は、無数。
君の顔も。
僕の顔も。
笑っていて。
泣いていて。
TVのニュースも。
怒ったり。
悲しんだり。
誰かが、誰かが誰かを傷つけたり。
世界は、見られることで、かたちを作る。
見られていると、意識しているから、きれいになる。
見られていることを、意識したから、醜くなる。
海が果てまで続くのも。
山がはるか高く、天を突くのも。
年老いた木が、その身を苗床にして、続いていくことも。
誰かが見ているから、幻想的で。
まるで、絵画のようで。
現実味がなくて。
ゴミ箱の中に。
ぐしゃっと詰まった紙くずと。
包まれたキャベツの切れ端が。
きっと、自分の目で見てみたら、違うんだろうって。
まぶたを閉じた瞬間を。
見ることができないのなら。
そこに、見えた景色が、僕が思っている本物なのか。
それとも、実は勘違いだけなのか。
まったく別の表情が、まぶたの向こうに動いているなら。
世界は、知らないほどに、美しくいてくれますか?
それとも、僕が思っている以上に、醜いものですか?
いつか、それが、見えますか。
見えていない景色が見えたんだ。
きっと、僕の目は、欠陥品なんだ。