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樞繰人形町  作者: 雪月飴
一章 過去の記憶。広がる未来
6/15

初めての登校。

 この場から逃げたい、ただその一心で。僕はその歩みを速める。

――校門の前では、なにやら検査が行われていた。

 身だしなみのチェックや、持ち物を、腕章をつけた生徒が取り行っている。

 大変だな、と僕はその横を通り過ぎようとするが……。

「そこのあなた。少し止まりなさい」

 呼び止められた。メガネをかけた、知的な印象を受ける女生徒に。周りの生徒がざわついている。もしかしたら、どえらい人が出てきてしまったのかもしれない。

 横を無断で通り過ぎようとしたからなのか。

でも、僕は荷物を持っていない。新入生も、荷物を持っていない人たちは横を通っていたし。止められる理由はないはず。

メガネをクイっと持ち上げ、女生徒はじろじろと僕の制服を見ていた。

「あ、あの。どうかされましたか?」

 ただ、見ているだけの彼女。特に言葉は発しない。その空気に耐えられなかった僕は、その生徒に聞いていた。

 問題があるなら早く言ってほしい。こんな所で目立ちたくはない。

「……あなた、一年生よね?」

「……そうですけど。な、何か問題がありましたか?」

「いえ、どう見ても高校生には見えなかったから」

 グサっと突き刺さる、無慈悲な言葉。彼女は至って真面目に疑問を抱いたから、その質問を投げかけてくれたのだろうが。それは男の僕には辛すぎる。

「それに、その服。男子生徒のものよね? ここの規則では、服装は自由だけど、違和感しかないわ」

 グサっ。

「それに、着飾ったりもしてないし。女性なんだから、身だしなみをきちんとしなさいな」

 グサグサっ。

「確かに顔立ちは綺麗で、肌も雪みたいに真っ白だけど。化粧とか、アクセサリーとか。年頃なんだから、そういうものに興味も持つでしょう? いくら化粧をする必要がないからって、あまりにも女性らしさが欠けてると思うわ」

「……僕――」

「僕? 淑女たるもの、自分の事を僕とは言ってはいけないわ。一人称を私に変えてみることから始めなさい」

「――男……なんですけど」

 瞬間。周りの空気が凍った気がした。興味本意でやりとりを見ていた生徒も含め、目の前の女生徒もまた然り。

 目を白黒させて、僕の発言を脳内再生でもしているのだろうか。暫く固まっていた彼女。

復活するなり、僕の肩を掴み、前後に揺すり始めた。真剣な眼差しで、だ。

「嘘でしょう!? 嘘だって言いなさい! あなたはどうして自分の性別を忘れてしまったの!?」

「あうあう。あんまり強く……揺すらないでくださいぃぃ」

「だっておかしいでしょう!? こんな子が、男だなんて! 信じられるはずがないでしょうが!」

 



今日はもう一話、投稿したいですね。

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