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転生ガール  作者: 烏賊 宙
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深夜の奇跡

※ ※ ※


 深夜、輝姫(キラリ)さまのお部屋の前を通ると、ランプの明かりがついていました。


 メイドの夜勤当番だったメイが、扉をそっと開けて部屋の中を確認すると、輝姫(キラリ)さまはベッドに横になりながらも、メタルプレートの上に指先を滑らせて、なにやら魔法陣を描いていました。


 国主さまのお話によると、輝姫(キラリ)さまは以前の記憶と魔力をすべて失われてしまったそうです。しかし、輝姫(キラリ)さまが首を傾けて指先をスッと動かすだけで、どこからともなく音楽が奏で出したのです。これが魔法でなくて一体なんなのでしょうか……。


 輝姫(キラリ)さまは、音楽に合わせて歌われているようでした。


 メイは、エキゾチックな音楽と歌声に引き寄せられるようにフラフラと輝姫(キラリ)さまの部屋に入ると、そっとのぞき込んでいました。


 メタルプレートは妖しげに輝き、この世のものでない幻、文字や記号が浮かんでは消えていました。


 ……ついに、魔法使いの魔導書をかいま見てしまいました。まさか、呪文の文字までが生きているかのように動き出し流れていたなんて!


 あっけにとられていると、輝姫(キラリ)さまの嘆き声が聞こえてきました。


「ああ、やっぱり全然ダメよ。どこにもつながらない……。だれか助けて……」


 信じられないことに、かつて勇者スバルさまと一緒に国を救おうと立ち上がった聖女輝姫(キラリ)さまが、打ちひしがれて弱音を吐いておられたのです!


 たぶん、音楽を奏でたり、メタルプレートに幻を映し出すようなことは、輝姫(キラリ)さまにとっては魔法と呼べるようなものではないのかもしれません。やはり国主さまのおっしゃった通り、輝姫(キラリ)さまは魔力を失われて、その上、記憶喪失まで……。


 それが分かって、目覚められてすぐの、あの取り乱しようだったのですね。輝姫(キラリ)さまが“(魔力と記憶を)(かえ)して!”と喚かれたのもごもっともなことです。


 国を救うために、十五年もかけて冥界を抜けてこの世に戻って来たのに、すべてを失ってしまっていたなんて、なんという過酷な運命なのでしょう。


 すると突然、違う音楽が割り込むように鳴り響き、メタルプレートがリズムに合わせて振動しだしたのです!


※ メイドのメイさんからの視点です。


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