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とーよーのSFシリーズ

【悲しい宇宙人】

作者: とーよー

21世紀が…。

終わりかけていた時代。


そんな…。

ある日の事。


空には1台のUFOが飛んでいた。


皆がソレゾレに驚き、指を差し、テンションが上がる者や、写メを撮る者や、友人に電話をする者こそいたが、誰1人として恐がる者などはいなかった…。


それは…

このUFOの形が人間の共通意識による、ある物質の形と非常によく似ていたからだった。


ヘビがトグロを巻き、テッペンにいくにつれ、細長く最後は上に向かってニョロッと、1本出ているソノ形は誰が見たって、ソレにしか見えず、ついに1人の子供が指を差して、こう言った。



「大きいウンコだ」



それを聞いた周りの何人かが笑った…。


ウンコ型のUFOは宙を浮くばかりで一向に着陸しようとはしなかった。


政府が接触しようと代表がマイクで喋った。



「ええー。どーも。この度は、ワタクシが地球の代表としてあなた方とお話をする事になりました。早速ですが、あなた方はなんの為に地球に現れたのでしょう?」



……その問い掛けに対する返事は無かった。


銀色のウンコは…

いつまでも…

ヒラヒラと…

宙を舞っていた。



「ええー。…質問が急すぎましたかな?あはは。いやいや我々地球人は争いが嫌いです。あなた方がどの様な経緯で来られたのかは分かりませんが、友好的な関係を築ければ幸いだと思っております」



ウンコ型といった所で、ソレは確かにUFOであり、未確認飛行物体である。


科学力や戦闘能力は地球文明を越えるものに違いない。いきなり、レーザービームや訳も分からぬ攻撃で地球を破壊されたらたまったもんじゃない――と、政府側もその事を十分承知しており、代表も気を使いながら話をしていた。


…しかし…いつまでたっても返事はなく…皆が諦め掛けていた…まさに、その時…。



『はじめまして。地球のみなさま』



…その声は…

突然、聞こえた。



『ワレワレは第7宇宙からやって来た。ゾライダスゴ人です』


そして、その声は地球上にいる全人類の脳ミソに直接入り込んできた。


『ハハ~ン、コレがテレパシーというヤツだな?……と、思われた方は正解です。我等ゾライダスゴ人はテレパシーが使えます。ついでにテレポーテーションも使えます。挨拶代わりにお見せしましょう』


そういうとウンコ型のUFOはビュンッ!と一瞬でドーギョーダワーの前から消え、次の瞬間ドーギョーズガイズウィーキングの前に現れ、そして、また、ビュンッ!とドーギョーダワーの前に戻ってきた。


そして

ソレラの様子は直接目で見なくとも、全人類の脳内に鮮明な映像としてハッキリと映っていた。


『どうですか?ワレワレ、ゾライダスゴ人のレベルの高さは。ケッコーヤバめではございませんでしょうか?』


その頃、政府から選ばれた地球の代表はスピーカー付きマイクで、ずっと何か喋っていたが、ダレも、何も、聞いてはいなかった。


『なぜ我等ゾライダスゴ人が地球にやって来たか?まずは、ソレに付いてお話したいと思います

……。


まぁ…まず、言いたいのは、今見て頂いた様に、我等は全宇宙の中でもトップクラスに発達し、レベルが上がりまくった存在です。それもそのはず、まず、あなた方とは知能が違います。


私達の能力を、あなた方の数値基準語に変換いたしますとIQ450が平均です。


300だとバカ扱いをされ、200だと完全なるバカ。

ソレが我等ゾライダスゴ星人なのです。


それに比べあなた方の平均知能は100いくつの様で…。


200もいけば大天才!…と、まったく話になりません!


そして、更に知能が低いという事により、カンタンに解決出来るはずの、原発問題も環境問題も食物問題も、なにもかも!そして!なに1つ!解決出来ないでいる…。


…と!…いうより!!

今だに!わざわざ!口に物を運び、アゴを動かし!飲み込む!…等と、いった笑ってしまいたくなる様な事をしている。


ははは。

本当に笑ってしまいましたよ。


この宇宙船に乗っているワレワレはね。


そして

そんなレベルの低い文明ブンザイであるにも関わらず、ワレワレの飛行船を見て笑いましたね?バカにしましたよね!?


あははははははは。


…ですから、逆にコッチが笑ってしまいますってー。


今だにあんなに臭くて、汚くて、そして、あんなにも意味不明なものを体内から出しているとは、どう考えても、ソッチの方が笑い者では無いですかー。


しかし…

どうしたものでしょう?


そんなレベルの低いあなた方にバカにされたワレワレはどうするべきだと思いますか?



元々地球に訪れた目的。やって来た理由である……【ゾライダスゴ人による!宇宙全体!知識と文化の発展強化キャンペーン計画】…を、実行させるべきでしょうか?



ギャハハハハ!!!!

ムリ!ムリ!まじムリ!

絶対ヤダから!…と、ソレが我等の見解です!



地球人類は、我等ゾライダスゴ人をバカにする事によって、大幅に成長出来るチャンスを自らの手で失ってしまったのです!!!!


発展出来ない!

そのままです!


ギャハハハハハ!!!!



……おっと、それだけではございません。


我等ゾライダスゴ人をバカにしたんですよ?


ココで1つ伝えるのを忘れていました…。


いま、この言葉自体がすでに示す様に…我等ゾライダスゴ人はテレパシーが使えます―と、いうのはもう知っていますね。


そして、更にもう1つ。


大きく分ければ同じ能力ではあるのですが生命種関係なく相手方の考えている事が分かるんですよ。


まぁ…知能が低い分際で、ニンゲンという生き者は、何十奥といる様で、わざわざ1人1人の心の中を覗く様なメンドクサイ事は致しませんが、およそ我等を見ていた、そしてテレパシーによって直接あなた方の脳内に、我等の宇宙船ビジュアル模様を、お伝えした時のトータル印象で、赤ちゃんや、ボケた年寄りや、訳のわからんヤツラを覗いた、およそ平均的だと言われる部類のオマエラは、みんなこういう風に思ったよななぁぁあああああああーー!!!?





「大きいウンコだ」





ふざけんな!!!!




…そんな事を思いオマエ等ニンゲンは笑った!


笑うという行為!

ソレハ!

バカにするという感情を抱き!そのバカにするという感情の中には!見下すという感情も含まれており!見下すという感情の中には経緯を払わぬという感情も含まれているみたいだなぁぁあああああああ!!!!


ふざけんなーーー!!


さっきも言ったが!

また言うぞ!!!!

そんなもんを自分自信の体から出してる方がよっぽど変で!そんな変な文明にバカにされた我等はどーする!どーする!

ギャハハハハ!!!!


あのねー!

あのねー!

いちおはねー!


新しい星にねー!

訪れる際には、ちゃ~んと、その星の文化レベルや戦闘レベルは調べてあるんでぇ~す。


コレ等も多いに笑わせてもらいましたよ。


大砲ねー…

ロケットねー…

せいぜい核ミサイルが1番強いとはねー……。


ワッハッハッハッハッ!!!!!!

なんなのソレハ?


ギャハハハ!!!!


まったくもって!

なんにも!

かんにも!

なりませーーーん!!


核ミサイル等!

100発食らってしまっても!!!

ビクとも!

なんともいたしませーーーーん!!!!』




…人類達の脳内に、その雄叫びの様なテレパシーが鳴り響いた。


人類達は軽い恐怖を覚えた。


『ソレデハ、ソロソロ、はじめます…』


そういうと、ウンコ型UFOは一瞬にし、世界中の至る所にテレポーテーションで移動し、大きく、真っ黒な玉を空中に置き、最後はドーギョーダワーの前に戻ってきた。



『……ククク。それではお待たせしました!カウントダウンの始まりでーす!』





テレパシーが鳴り響き、人類達は何が始まるのか、そして、どうすれば良いのか全く分からないでいた。



『ゴォオ!!!』



『…ヨン!!!』



突然始まったテレパシーでのカウントダウン。




『サン!!!』



ソレと連動して更に膨らむ黒い玉。



『ニィー!!!』



その映像はもちろん人類の脳内に映像化され、映し出されている。


なにかは全く分からなかったが、人類達はかつて無い恐怖に包まれていた。



『イィーーチ!!!』



その瞬間…。



地球上の至る所に置かれた黒い玉から凄まじいオレンジ色の光が放たれ、人類達はとっさに頭を抱え、その場にしゃがみ込んだ。


『ゼローー!!!』


そのテレパシー音と共に地球は巨大な光りに包まれた。



そして…。


つぎに…。


人類達が…


目を開けた時…。




……そこは……


……楽園だった……。




『ははは』


空には雲1つ無く、太陽はピカピカと眩しいくらいに輝いている。


それでいて

暑すぎず

寒すぎず

地球全体に丁度良い空気が流れ出していた。


その心地良い空気と共に見たことも無いチョウの様な綺麗な生物が大空を飛んでいる。


そして、大きく膨れ上がり破裂した黒い玉は、今は白く光り、沢山の食料や、見たことも無い衣類や、オモチャや、その他、地球では手に入らない高価な物が山ほどあり、それらが、どういう原理でそうなっているかは分からないが、ゆっくり、ゆっくり、降りて来ており、ボーっとそれ等を眺める人類達の脳内にゆったりとした声でゴライダスゴ人からのテレパシーが伝わった。


『…ははは』


『地球の皆様』


『驚かせちゃって、ゴメンなさいね~』


そのテレパシー音は、さっきまでのものとは、口調やトーンが違っている様に感じられ、優しさがあった。


『えへへへへ。ほんとにゴメンなさいねー。ドッキリみたいなもんでーす。チョッとイタズラしただけでーす』



人類は黙って

そのテレパシー音に脳を向けている。



『まぁ…正直な話…ムカついたのはムカつきましたケドね…』



―と、小さな笑いを含ませたゾライダスゴ人のテレパシーが送られた。



『ウンコ型とバカにされた時は、確かに、ムカきましたが…まぁ…宇宙船なんて、所詮、作られたものなんで、別に怒る程の事でもありません。全然ヨシとしてますよ。えへへへ。宇宙は広い!我々はソレを知ってます!文化や歴史が違うからこそ!違った発展を遂げ!その中で!多少自分達の固定観念により、相手を笑ってしまったり、逆に相手に笑われたりするでしょう!別に良いではないですか!誰にも悪気は無いんです!相手自信を傷付けない限り!ユーモアの問題で片付けてしまえば良いのです!』


人類達は和み笑いに包まれた。


そして、しばらくすると白い光りに包まれた沢山の送り物が地上に届いた。


見た事もない食料や、衣類にみんなが驚いた。


「なんだコレは?食べても食べても減らないぞ?」


『ハハハハ。…それはウェスターブラウニーといって我々の住む世界での食べ物です。

―と、言っても我々は、すでに8000年前に口を使っての飲食摂取を終えているので必要ありません。イマ我々が全宇宙に向かって提供している物の1つです。

地球の方にも1人1コずつ以上に余裕を持たせ提供致しておきます』


「コレはなんですか」


『それはヤウィールピクチャーといってボタン1つで色やデザインを自由に変える事が出来る衣類です。コレであなた方は一生洋服を買う必要はありません』


「コレは?」


『そればゲームです。ボタンを押してみて下さい…』


「…うわぁあ!!」


いきなり巨人が現れた。人間はビビってもう1度ボタンを押した。


巨人は消えた。


『ハハハハ。気が向いたらやってみて下さい』


みんながソレゾレ興味ある物を手に取り楽しげに、見たり、食べたり、遊んだり。


そして

人間達からゾライダスゴ人に向けて大量の「…ありがとう…」というテレパシーが送られ、それに対しゾライダスゴ人も『…どういたしまして…』を送り続けていた。


そして、しばらくしてからゾライダスゴ人から改めて人類にテレパシーが送られた。


『それでは…我々はソロソロ他の星へ行きます』


「待ってくれ!」


「礼をさせてくれ!」


「こんなに、素敵な贈り物をくれたゾライダスゴ人の方々にオモテナシの1つもせずに、返してしまえるはずがない!是非!是非!地球で休まれていって下さいませ!」


世界中が心の底からそう思い、それ等はテレパシーによってゾライダスゴ人に沢山伝わった。


『ハハハ。いやいや。気持ちは有難いですが、今日中に、あと3つ程ほかの惑星にも立ち寄りたいので…』


「そんなこと言わずに!少しでいいから!」


「少しだけでも寄って下さい!」


ゾライダスゴ人は宇宙船の中で話合っていた。


『どーする?』

『ハハハ。嬉しい事じゃないか』

『確かにそうだな。こんなに律儀に礼を言われちゃ、寄らない訳にもいかんようだし、少しだけ行くか』

『ハハハ。そうだな。気の良い地球人の歓迎とやらを受けたあと、次の星に行くとしよう』



銀色の宇宙船がゆっくりと地球に着陸した。


人類達は声や心で大きく歓声をあげた。


プシュ~…と銀色の扉が開き、煙の中からゾライダスゴ人が姿を現した。



見た目は、ほとんど人間と変わらなかった。



…しかし…



ただ1つ…。

違う所があった…。



それは……両方のホッペタ部分が異常に膨らみ、2つの大きな円形になっている事、と、頭の先がポクっと膨らみ、テッペン辺りがキノコの様な形をしているソレは誰が見ても、ソレにしか見えず、ついに1人の子供が指を差して、こう言った。




「チンポ人間だ』




しかし、それを聞いた周りの大人は、もう誰も笑おうとは、しなかった。


そして、心の中の執念を書き消すという作業に全神経を使注ぎ込んでいた。


無論その映像は全人類の脳内に映り込んでいたため、全人類がその作業に力を費やしたが、遂に心の中の爆笑はゾライダスゴ人に沢山伝わってしまった。




…そして…数分後…


果てしなく広い宇宙の中から、地球という小さな星が消え去っていった……。



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― 新着の感想 ―
[良い点] やなだ [気になる点] かあま [一言] にま
[一言] 面白かったです。若干、卑怯かな、と思いつつも、笑ってしまいました。
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