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本文 2/10

猫ロ眠@囚人Pの作品群をリスペクトしています。

「んなぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"あ""!!!」


産声と肩を並べるような声量で、再びボクの物語が始まった。

そして、開始早々、ボクの耳がお亡くなりになりましたとさ。

ちゃんちゃん。


「またかよっ! また知らないところだぁぁぁ.....ぅ"が」


「うるさいよ、と僕なら言うでしょう」


ボクは絶叫に耳を塞ぎながら、目を薄く開いた。

知らない女性が二人。

見事に頭部にハイキックがお見舞いされていた。

これまたボクと同じ転移(?)されてきたのかな。

彼女らと違い、とりみだすことがなかったボクを褒めてほしいね!


「想像以上に騒がしいね......とはいえ、これでみんな揃ったね」


ボクが転移(?)してからずっと話していた女性は、あたかもこの光景を想像してたみたい。

仕切っている40代の(やつ)れた女性がひとり(自称2歳)。

ハイキックされた30代にみえる女性がひとり(痛みに悶えてる)。

ハイキックした20代にみえる女性がひとり(姿勢がいい)。

そして、15歳のボクがひとり(ずっと黙ってる)。

あれれ、みんな顔が似通っているような?


「とりあえず、みんな席に着いてくれるとうれしいな」


「......なんだよこれ、はぁ」


「......むむむ、と僕なら言うでしょう」


ふたりは、なるようになれという雰囲気で()(だる)く席についた。

ボクの真向かいに座ったのは、ハイキックされた女性の方。

ボクの隣に座ったのは、ハイキックした女性の方。


そして、隣に座るハイキックした女性とボクの目が合う。

と同時に、彼女の眼が開かれる。

嫌な予感がする。


「っ!......キミは僕のフィアンセじゃないか!」


うげ。やばい人だった。

そもそもフィアンセってなんだ!フィアンセって!

ボクも最高にかわいい女性なんだが!


「LGBTQよりも大事なのは、フィアンセかそれ以外かッ!」


一言も話してないのに、会話できちゃってる!?


「キミのことならなんでも解るよ。僕のフィアンセ」


フィアンセでもなんでもないよ!?


いろいろ言いたいけれど、今はもう話したくないよという目線を送るに留めた。

それを理解してくれたのか、解られたのか、彼女は口をそっと閉じた。

口の端はにやけているけれど。

そんなこんなでボクらは仕切っていた女性に目線を向け、話を促す。

けれども、それを遮るように、ハイキックされた女性が口を挟んだ。


「俺が知りたいのは、ここから出る方法だ」


『俺』が一人称のその女性は、怪我してもなお、曇りない敵意を(ほとば)しらせている。

そして、『もちろんだよ』と、仕切る女性は口の端をにやけただけで受けとめた。

あれ、口の端をにやけるその表情、既視感が。


「キミのことならなんでも解るよ。私のフィアンセ」


なにが起こっているんだ!?

ボク一言も話してないのに、こんなに話って進むかな!

なんかボク寂しいよ!


閑話休題。


ここから脱出する為の大事な話をするね、と仕切る40代の女性が口火を切った。


「キミたちは、私によって転移された」


それはみんななんとなくわかっている。

議論の始まりは前提条件のすり合わせからだね。


落ち着いた議論が始まり、ふと転移したこの場所を見渡す余裕が生まれる。

ボクらが腰掛ける椅子は、青と黒が()い交られ、少ないながらも散りばめられた赤が存在感を放つ。机も床も壁も同じような色彩で。狭くも広くもない。

天井は無く、夜空そのものが広がる。ただその中で、動かない星々が、不気味にボクの不安を煽ってくる。


「先ほどそこの少女に『大人ってなんだと思う?』と聞かれてね。それを話そうと思う」


「えっ関係ない話するの!?......しかもボクのせいにされてる!?」


「ふふっ関係はあるよ。いやでもまぁ十分かな。ここから出る方法について話すよ。と、その前に」


その前がまだあるのかよっ!

まぁ話やすいなら、そうしてくれると助かりまするでございまする。

それにしてもこの場所の居心地、なんだか嫌いじゃないんだよね。


「実は......私ら、同一人物なんだよね」


「............」


「その少女が15歳の私。ボクっ子かわいいね」

「その少女の隣が25歳の私。ハイキックかっこいいね」

「私のとなりが35歳の私。ハイキックの衝撃逸らしは脊髄反射かな」

「そして、私がキミたちの42歳の姿だね」


「............」


「そして私の手の中にあるこれが、あらゆる因果を断ち切るナイフでね。たとえば、これで未来の自分を殺せば、その未来に辿り着くことはなくなる。また、過去の自分を全員殺せば、今までをやり直すことができる」


まるで自分自身を誇るように、優れたナイフだろう、と彼女は言った。


「脱出条件はただ1つ。私以外がここから出たいと思うこと」


「............」


とても簡単だろう、と彼女は言った。


だが実際問題、簡単ではなかった。

ただ、みんなが脱出したいと思うだけなのに。

脱出できていない現状がここにある。


「あれ、脱出できないね。もしかして、みんな過去の自分か未来の自分を否定したかったりするのかな」


あぁ理解したよ。


彼女が、先に脱出条件を言わなかった確信的さも。


ここが、殺し合いの場所であることも。


ボクは大人にはなれないと、未来を決定づけてしまっていたことが。

ボクがボク自身の確信犯であったことを。


あぁそうか。


この物語は.......。

このボクの物語は......。

過去を殺せないボクでも、

未来に夢がなかったとしても、

それでも息をしたいと死んでゆく物語。


━━『死ぬ運命でさえも、それを後悔にしたくないから』

あとがき


やっと背景描写が終わりました!

前の後書きで『ちなみに年齢に深い意味はないです。実はこれから登場する人物の年齢は5の倍数です』と言ったのですが、早速42歳が登場。いやぁプロット完成だけで描き進めるとこうなりますねw

まぁ全てが完成してからだと1年はかかった思うので。。。


完成したら再編集ですね。


プロローグに書いた通りに全員死んでしまう。。。

実は、囚人Pの物語もそんな感じなんですよね。

囚人Pのような深い哲学描写ができるようになりたい!


本文 2/10でした。次は、本文 3/10で!

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