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本文 1/10

猫ロ眠@囚人Pの作品群をリスペクトしています。

「ねぇ、聞いてるの!? この可愛いボクが! 話しかけてるんだよ!」


「おおお、とりあえずかわいいね」


「ふふっ〜ん! そうでしょ! ねぇ、どれくらいかわいい?」


「天下一武道会で優勝しそう」


「そんな、ブロリーみたいな可愛さ求めてないよっ!?」


筋骨隆々、ムキムキマッチョ。

それらは、このボクのかわいさフィルターにかからない。


「別に無視してたわけではないよ。なにせ私は2年しか生きていないから、返答に困ってた」


「えぇ〜、40歳は超えてそうに見えるよ?」


ふたりほど寝れそうな机を挟んで、斜向(はすむ)かいに座っている彼女は、どうも2歳には見えない。

呪われているみたい(やつ)れてて、40歳ぐらいの女性ののような?


「いろいろあるんだよね。あぁそれが大人なのかもしれない」


━━大人とは何か。それが、彼女への話題だった。


15歳のボクにいつも遍満する感情が、40歳を超えてそうな大人に、ふとそんな話題を投げかけていた。


思えば15歳のボクは、

ナニにでもなれる期待に満ちていて、

どこにもいけないような焦りに苛まれていて、

今なら間に合いそうな夢で溢れているのに。


もう手遅れな不安が静かに胸を締め付けくる。


未来は抗いようもないほど堅実で、

過去は(あがな)いようもないほど事実で、

でも今日だけが貴重な財産で。

貴重な財産を湯水のように使いながら、

日々あてもなく走り続けているような。


「私にとって大人になるとは......最も強い欲を満たそうとする行為だね」


彼女は、そう静かに結論づけた。


欲かぁ。欲って三大欲求とかってこと?

いっぱい食べたいし、いっぱい寝たいし、いっぱいぶひぶひしたいってことかな。

なんだか彼女を見る目が変わったも?


「......っ! なんか引かれてる!? つ、次は、私から話題を振るよ」


━━最も強い欲は何か。それが、彼女からの話題だった。


「知ってるよ! 三大欲求でしょ!」


「たしかに、その考えはなかったよ」


「えっ〜!? そんなことある!?」


彼女の「2年しか生きていない」という言葉は、あながち嘘ではないのかもしれない。

いっぱい食べたいし、いっぱい寝たいし、いっぱいぶひぶひしたいってことじゃないのか。


「三大欲求はどれも生存に必要な欲だね。でもそれらは最も強い欲の足元にも及ばない」


「その最も強い欲は、生存に不必要なのに、ましてや生存を脅かすのに、自ら求めてしまう」


「そう、衝動とも捉えていい。三大欲求で生きることができ、その最も強い欲で息ができる」


衝動かぁ。あぁそうか。ボクは息がしたかったんだ。

あてもなく走り続けているような日々に、息遣いを感じたいんだ。

でも、息をすることが怖い。

息をすることを覚えてしまえば、息が詰まることも覚えてしまいそうな気がする。


「な、なるほどね! ちなみに最も強い欲ってどんなのか聞きたいなぁ......」


「私は、自分の人生の主人公になりたい」


「ふはっ、急に何言ってるの!?」


その面白おかしさに、ボクの不安が少し和らいだ気がした。

と同時に、彼女の息を詰まらせてしまったなら申し訳ないな、とも思った。

でも、彼女はそんな僕のリアクションを笑顔で受け止めてくれて。


「大丈夫だよ」


ボクの不安を見透かしたかのように、安心を前置きしてくれて。


そして、一呼吸、間を入れて。


「君の大人にならなければいけない瞬間は、いつだって唐突に訪れるから」


最後に、とてつもなく怖いことを言ってきた。

あとがき


プロローグで登場した女性が主人公ではなかった!

主人公は15歳のボク。ちなみに年齢に深い意味はないです。

実はこれから登場する人物の年齢は5の倍数です。

その方が覚えやすい気がします。


そしてまたしても展開される会話ベースの物語。

いつになったら、情景や背景設定が描かれるのか。

それは未来の僕に任せましょう。


本文 1/10です。次は、本文 2/10で!

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