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過去への道  作者: RAN
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特別なスキル

「先生の授業なんてどうでもいい…だって、彼女があまりにも美しいから。」


私はぼそりと呟きながら、視線を外さずにクラス委員長のセレナを見つめていた。

先生は僕たち男子5人を教室の一番後ろの席にまとめて座らせた。まるで裁かれる罪人みたいだった。


授業は退屈な歴史や地理、理論が1時間半も続き、ようやく魔法の実技の時間がやってきた。


先生が告げた課題はこうだった。


「2つの属性を1つの攻撃に融合させろ。」


— 本当に…難しい。

私はなんとかできたものの、力が弱すぎて全く使い物にならなかった。だって、今まで覚えるだけで、作り出したことなんてなかったから。

そんな中、セレナは一度の試みであっさり成功させた。

彼女はずっと練習してきたし、来年はレベル3の試験もある。強いのは当然だった。


私は午前中ずっと魔法の練習に没頭した。

みんなはだいたい【火】と【水】を組み合わせて、何にでも当たる熱い水の玉を作っていた。まあまあ良い出来だ。

でも先生は言った。


「お前だけの特別な技を作れ。」


その日の午後、私は孤児院に戻り、また練習を始めた。

今週の課題は「自分だけのスキルを創り出す」こと。


ずっと考え込んだ——自分はどの属性を使えるんだろう?

当時は2つしか融合できなかったけど、こう思った。


「なぜ、3つ融合しないんだ?」


そう考えた途端、私はアントニーのもとへ駆け寄り、頼み込んだ。

彼は渋い顔で言った。


「無理だぞ。お前はまだレベル2だからな。」


でも、私はしつこく頼み続けた。

とうとう、彼は教えてくれた。

それから毎日、朝は学校、午後と夜はアントニーと練習した。

あまりに熱心すぎて、彼は泣きそうになりながら言った。


「お願いだ…少し休ませてくれ…」


それでも私は止まらなかった。

アレックスは孤児院に寄りつかず、毎日ジャックの家に遊びに行っていた。


そして1週間後、私はついに特別なスキルを生み出した。

私は心の中でほくそ笑んだ。


「みんな、きっと驚くぞ…ふふふ…」


翌朝、先生が教室に入り、落ち着いた声で言った。


「1週間経ったな。課題を見せてみろ。」


ほとんどの人は【火+水】しかできなかった。

7人が【火+水+植物】を融合させていた。

だが、セレナは【火+火+水】を作り出し、青い炎を生み出した。


— 何だと?!火が二つなんてあり得るのか?!


そして、ジェームズの番が来た。彼はレベル2の試験のときに見かけた天才だ。

彼は【雷+砂+水】を融合させ、電光石火の速さで砂の刃を走らせ、一度に4本の木を切り倒した。

— …すごすぎる。


そして、私の番が来た。

深呼吸して、両手を前に出す。

紫の玉と青い玉が現れ、互いに回転しながらどんどん速くなっていく。

そして放った——

— でも…遅い…!

— うわあああ…

そして…消えてしまった。


…が、教室中から拍手が沸き起こった。

ジェームズが駆け寄り、目を輝かせながら言った。


「すげぇ!どうやったんだ?!」


私は笑みを浮かべて答えた。


「3つの属性を1つの玉に融合させて、両手で2つ作って回転させたんだ。」


ジェームズが尋ねる。


「何の属性を使ったんだ?」


私は答えた。


「1つ目の玉は【火+水+黄の雷】、2つ目は【火+水+青の雷】だ。」


先生も満足そうに頷いた。


「素晴らしい。とても特別だ。」


結局、私とジェームズは9点、セレナは8.2点を取った。

セレナは悔しそうに歯ぎしりしながら詰め寄った。


「なんで私は9点じゃないの?!」


先生は穏やかに説明した。


「この課題は“本当に特別なもの”を作るためのものだ。

ジェームズは完璧だった。エキはまだ未完成だが、前例のない技を生み出した。

だが、君は既存の技を鍛えただけで、創り出してはいなかった。」


セレナは歯を食いしばってそっぽを向いた。

私は、こっそり笑みを浮かべた。



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