図書館
審査官は僕に名前、年齢、住んでいる場所、最も得意な属性などをいくつか質問し、そして外に出るよう合図した。
ドアを出ると、そこには6人ほどの子供たちが立っていた。
—「えっ…俺が一番早いと思ってたのに…もう終わってるやつがいるのか?もう第5段階まで進んだのか…一瞬でライバルを倒すなんて…やっぱり天才なんだな…」
僕は孤児院に戻った。入ると、子供たちが駆け寄ってきた。
—「試験どうだった?なんでそんなに早く帰ってきたの?」
僕は聞き返した。
—「アレックスは?」
デイビッド――茶色い髪と黒い瞳を持つ6歳くらいの子が答えた。
—「お兄ちゃんは勉強してるよ。」
僕はデイビッドを見て言った。
—「なんでお前は学校行かないんだ?」
デイビッドは肩をすくめた。
—「小学校は中学校より一週間遅く始まるんだ。」
僕は座って待った。1時間ほどすると、アレックスが一人の少年を連れて帰ってきた。
(その少年は僕より背が高く、少し浅黒い肌、もじゃもじゃの髪、黒い瞳をしていた。)
アレックスは笑って言った。
—「試験どうだった?」
僕は答えた。
—「まあまあかな。で…この子は?」
アレックスは紹介した。
—「こっちはジャック、クラスメイトだよ。」
僕は言った。
—「はじめまして、ジャック。」
ジャックは言った。
—「やあ、エキ。アレックスから君のことは聞いてるよ。」
僕は眉をひそめて言った。
—「エキ?誰だそれ?」
アレックスは笑った。
—「お前のことだよ。名前が読みにくいから、エキって呼ぶよ、いいだろ?」
僕は吹き出した。
—「エキ…まあ、いいか。」
—「はじめまして、ジャック。」
僕は少し頭を下げた。
目の前の少年は濃い肌、少しウェーブのかかった髪、そして眩しい笑顔を浮かべていた。
ジャックはうなずきながら答えた。
—「アレックスからたくさん聞いてるよ。君は火が得意なんだろ?アレックスは水だって。君が火、僕が木。三人なら最強のチームになれる!」
僕は目を細めて彼を見て、疑問に思った。
—「でも…なんでそんなに黒いんだ?」
ジャックは明るく笑いながら自然に答えた。
—「だって僕の父さんは黒人だから。」
僕は首をかしげ、じっと見つめた。
—「君…変わってるな。今までこんな人見たことない。」
ジャックは微笑み、全く気にしていない様子だった。
—「父さんは外国人なんだ。」
—「外国人?それって誰?」
僕は目を丸くした。
アレックスが笑いながら説明した。
—「外国人っていうのは、他の国から来た人のこと。僕たちとは見た目が違うんだ。」
僕は呆然として、うつむきながらつぶやいた。
—「ずっと…世界は一つの国だけだと思ってた…」
笑い声が響き渡った。
—「ハハハハハ!お前、もう10歳なのにそんなことも知らないのか?」
—「ハハハ、信じられない!」
アレックスとジャックはお腹を抱えて笑い、顔を真っ赤にしていた。僕は困ってそっぽを向いた。
少しして、ジャックは息を整え、目を輝かせながら僕たちを見た。
—「二人とも、僕の家に遊びに来ない?父さんと母さんは出張中で、来週まで帰らないんだ。」
アレックスが聞き返した。
—「じゃあ、誰と住んでるの?」
—「執事。」
ジャックは平然と答えた。
僕は目をぱちくりさせて驚いた。
—「執…事?」
その瞬間、二人はまた大笑いした。
—「ハハハハハ!執事が何かわからないのかよ!」
その夜、僕たちはマリアおばさんに許可をもらいに行った。
(マリアおばさんは孤児院の職員で、料理や僕たちの世話をしてくれる母親のような存在だ。)
マリアおばさんは少し厳しく、でも優しい目で僕たちを見た。
—「何時に帰るつもりなの?」
僕は小さな声で素早く答えた。
—「えっと…今夜10時までには帰ります。」
アレックスが大声で言った。
—「明日の朝です!」
マリアおばさんはため息をついて、そっとうなずいた。
—「いいわ。でも無茶はしないのよ。」
その後、僕たちは外に出た。
庭には黒いスーツに白い手袋をつけた男性が、堂々とした姿で待っていた――ジャックの執事だ。
—「みなさん、お迎えに参りました。どうぞ車へ。」
彼は軽く頭を下げた。僕はその場で固まった。
—(本物の執事を見るのは…人生で初めてだ…)
そして、僕たちはジャックの家へ向かった。
ドアの前に立つと、僕はまたもや言葉を失った。
目の前には巨大な屋敷、そして金色に輝く扉があった。
—「な、なんだこれ…本当にお坊ちゃまなのか…」
我慢できず、僕はまた尋ねた。
—「君の両親は一体何をしてるの?どうしてこんなに金持ちなんだ?」
ジャックは答えた。
—「知らない。」
執事は僕たちを中へ案内した。外はもう暗く、全貌はよく見えなかったが…それでも十分圧倒された。
ジャックは笑って言った。
—「まずはお風呂に入って。」
僕は頷いてついて行った。でも、浴室に入った瞬間、叫びかけた。
—「な、なんだこれ!?ここは風呂じゃない…まるで金色のサウナみたいだ!」
特に目を引いたのは…金色のトイレだった。
—「うわぁ…まるで別世界だ…」
入浴を終え、僕たちは一階に降りた。
—(こんなに大きな屋敷なのに、どうして召使いが誰もいないんだ…)
ディナーは広すぎて、箸の音が反響するほどの食堂でとった。
食事中、ジャックが説明した。
—「この屋敷は六階建てなんだ。一階は今いるところ。
— 二階、三階、四階は寝室、バスルーム、更衣室、書斎、ゲームルームがある。
— 五階はジム、ワインルーム、カラオケ、スパ。
— そして六階は…図書館さ。」
僕は呆れて口走った。
—「えっ?最上階が…図書館?」
ジャックは意味深に笑った。
—「そのうちわかるさ。」
食後、僕は屋敷中を走り回った。
—(なんでこんなに広いんだ…)
アレックスとジャックは五階でゲームをしていた。
僕は一人で一階から六階まで登った。
どの階も驚きの連続だった。
そして、ついに六階に着いたとき…
—「うわぁ…信じられない…」
周り一面、床から天井まで本で埋め尽くされ、古い紙の香りが漂っていた。
僕は一冊の本を手に取り、読み始めた。
そこにはこう書かれていた。
「この世界の人間は、様々な魔法を持つ。
まず基本属性:火、水、植物…
次に上位属性:風、土、氷、金属、音、幻影、治癒…
続いて第二階層の魔法:闇、光、雷、マグマ、嵐、血、召喚…他にも無数の属性が組み合わされ、攻撃の威力を高める。
第三階層の魔法は国家の中枢にいる者にしか許されず、重力、破壊、疫病、天災、分解…などがある。
しかし第四階層は至高の力であり、この世界で持つ者はほとんどいない。確認されているのは三人のみ。
一人目はアーサー――世界を初めて統一した男。空間の力を持つ。
二人目はクリスト――詳細不明だが、第二次世界大戦時代に存在し、時間の力を操る。
そして最後に名も知られぬ者――アーサーを打ち破り、アーサーの手で倒された者。破壊の力を持つ。」