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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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クラン ㊹

 ムギュ。

 右頬をゴスゴスと熊に突っつかれる。

 おいコラ。熊野郎。

 雌かもしれねえが、今、話してる最中なのに、じゃれついて来て邪魔するんじゃねえよ。


 視線を少し落とせば、偶然、熊の股間が目に入った。

 衛生的な事情か、股間の辺りは毛足が短くて毛の密度も薄めなんだな。

 ソフトボール大の大きさは有るデケえボールが2つ入った皮袋がブラ下がってるってことは、お前、牡か。

 フゴフゴと鼻息を荒くして興奮してやがるが、俺も男だから発情されても困るんだが?


 子供とはいえ、レディたちの目の前で猥褻物(わいせつぶつ)を陳列してんじゃねえよ。

 まあ良いや。快く獲物を譲ってくれた女児たちの気が変わらねえ内に片付けちまおう。

 熊に向き直れば頭上から鋭い鉤爪が生えた左手が落ちてくる。

 パシッと受け止めて左足に重心を移す。


「ヨーシ。話も付いたことだし始末する、か!」

 ヒョイと上げた右足を、ズンッ! と熊の左脚の甲へ踏み下ろす。

 メリメリとめり込んだ俺の踵が熊の指骨を踏み砕いた。


「フゴッ!? ゴアアアアアッ!!」

 おおっ。そうそうか。矢も魔法もガン無視してやがったが、ようやく痛そうな声で鳴きやがったな。

 自由に動ける状況なら痛む左脚を庇ってピョンピョン飛び跳ねてるところなんだろうが、両の前脚を取られて重心が前傾しちまってるから熊は動けねえ。


 本質的に四つ足動物ってのは4本の足に体重を分散できるからこそ、体を大きく成長させて体力を蓄えることが出来る。

 2足立ちになるのは必要に迫られての緊急避難的なもので、右脚1本の片足立ちで支えられる巨体じゃねえだろうからな。


 移動速度を落として逃げられにくくするって意味では片脚を潰した現状で十分なんだが、2倍ほども体格差が有っちゃあトドメも刺せねえな。

 急所に拳が届かねえなら、届く高さまで下りて来させるか。

 単なる“急所”って意味でなら目の前に急所がブラ下がってるんだがなあ。


 この“急所”を殴り潰すのは同じ男として忍びねえし、だからと言って他人の“袋”になんてあんまり触りたくねえんだよ。

 同族嫌悪というか、生理的に同性の生殖器官に触りたくねえのは仕方ねえだろ。

 まだちょっと位置は高いが足は届かねえ高さじゃねえな。

 再び右足を高く上げて真正面から思い切り蹴り飛ばす。


「ホレ」

「グルオオオオオオッ!!」

 電柱でも蹴っ飛ばしたような硬さを足の裏に感じたが、構わずパワーで蹴り抜く。

 パキィッ! と骨が砕ける音と同時に熊が痛そうな声で吼えた。


 雑な前蹴り―――、いわゆるヤクザキックが熊の左膝を真正面から蹴り折って、膝関節が骨格の構造とは逆向きに可動するようになった。

 自重を支えきれなくなった熊の巨軀が俺の頭上へ覆い被さるようにして倒れてくる。

 左膝を蹴り折られて左側の支えを失えば、当然のことながら重心が大きく左側へ傾いてバランスを維持できなくなる。


 激痛で腰砕けになった熊は前脚に全体重を掛けてくることになるが、この程度の圧力に押し潰されやしねえ。

 膝関節が逆向きに曲がって地面に膝を突くことも出来ねえ熊の体が、グラリと左側へ倒れる。

 左の脇腹を下に落ち葉を舞い上げてドスンと倒れた熊が、身を捩って俺から逃れようとする。


 逃がさねえぞ?

 4足形態で逃げようと俯せになった熊の首根っこを左手で地面に押し付ける。

 腹這いから上体を起こそうと熊が両の前脚に力を籠めるのを感じるが、やっぱりパワーでは負けてねえな。

 両腕を振り回してじゃれついてくる熊がドスドスと俺の足を打つが可愛いもんだ。


「はっはっは。元気良いな。お前」

「グルルッ!?」

 左手で熊の後ろ首を押さえ付けたまま右手を顎下へ差し込んで、右手を真上へ引き上げた。

 パキャッ! と軽い音が響くと同時に、ビクリと痙攣した熊が全身を弛緩させる。


 首の骨が折れたな。

 後頭部が背骨とキスするぐらい頸骨を半分折りにされれば、どんな生物だって死ぬ。

 死因は頸骨骨折だ。


「ホイ。一丁アガリっと」

 両手を放せば、力を失った熊の頭部がドスンと地面に落ちる。

 こっちは終わったが、まだ鹿が残ってる。

 鹿へと目を向ければ女児たちと目が合った。


 宙に浮いた女児たちが立派な角を生やした牡鹿と向き合っているんだが、鹿せんべいを食わせてやってる雰囲気じゃねえな。

 頭を下げて角を女児たちに向けてるのだから、こっちはこっちで戦闘中か?

 それにしては、3メートルほどの距離を取って向き合ってるだけに見えるんだが、コレ、女児たちが何かやってるっぽいな。


 改めて、コレどうなってんだ?

 余裕が出来たことでまじまじと観察してみるが、どう見ても宙に浮いてるよな?

 マジで飛んでるようにしか見えねえ。


「手伝った方が良いか?」

「・・・ああ、いえ。結構です」

 念のために訊いてみれば、銀髪頭の方に首を振り返して辞退された。


 どうするつもりなのかと観戦を決め込めば、銀髪女児が鹿に目を向け直した瞬間、ボキッと音がして鹿の首が折れ曲がった。

 うーわ・・・。なんだ今の?

 ハンドパワー? いやいや。やっぱり魔法か?



クラン㊹です。


ターゲット撃破!

次回、探り合い!?

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― 新着の感想 ―
『百万+1回死んだくま』 猫パンチのような攻撃を繰り出す熊。 恐らく異世界転生してしまったのだろう。 前世が猫であったことがバレてはイケナイ。 なんちゃって
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