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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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クラン ㊸

「クソ! 間に合うか!?」

 熊の反応を目指して全速力で走る!

 俺たちの猟と関連が有るのか無いのかは分からねえが、犠牲者が出ちまうと悪い方に転がることが有っても良い方へ転がることはねえ!

 誰かが犠牲になる前に熊をブン殴って意識を俺に引き付ける!


 落ち葉を蹴散らしつつ、木々の間を一直線に走り抜けていると、行く手を灌木の茂みが遮っているのが見えてきた!

 危険物センサーの反応はあの茂みの向こうだろう、と目星を付けたところに、茂みの向こう側でのっそりと熊の巨体が起き上がる! 


「ヤッベエ!!」

 熊が2足で立ち上がったってことは、獲物を前にして攻撃態勢に入ったってことじゃねえのか!?

 熊までの距離は残り100メートルも無いはずだ!

 絶対に間に合わせると渾身の力を振り絞って速力を上げる!


 灌木を避けて回り込む余裕は無さそうだ!

 幸いなことにブン殴るべき熊の横っ面は見えてる!

 だったら、走り幅跳びだ!

 速度を落とさないまま灌木を飛び越えりゃ良い!


「うおおおおおおおおおおっ!!」

 ぐんぐん迫ってくる灌木目掛けて突撃し、ギリギリで、ダンッ! と左足を踏み込んでパワーで強引に自分の体重を押し上げる!


 革ブーツの爪先が灌木の枝葉を掠め、自分の体が予想よりも高くへ舞い上がったことに驚くが、上手く拳が届きそうだと目測する!

 上体を捻り、右腕を思いきり引き絞ってタイミングを計る!

 ここだ!!


「うるるぁあああああああああああっ!!」

 全力全開で繰り出した拳が唸りを上げて毛むくじゃらな熊の横っ面を捉えた! 

 ゴツッ! と硬い感触が拳に伝わってくると同時に、重い音が森に響いて熊の足元が大きくよろめく!

 ヨッシャ!! セーフ!!


「ガフゥッ!?」

 多少は打撃が効いたのか、2歩3歩と熊の足がフラつく!

 チッ! 体が宙に浮いていたせいで踏ん張ることが出来ず、思ったよりもダメージが入らなかったじゃねえか!


「「ええ~っ!!」」

 甲高い声を耳にしながら落ち葉の上へ着地する。

 何だ?

 声に釣られて目を向ければ、俺の目線よりも高い位置に人の顔が2つ視界に入った。


「お? 人が居るじゃん」

「ちょっ!! 後ろ後ろ!!」

 間違ってなかったんだな。

 危険物センサーが危険物じゃねえ人間を判別したのって、何気に初めてじゃねえか?


 片方は目を真ん丸にして俺を凝視していて、もう片方は必死な形相で俺の背後を指し示している。

 顔の高さから俺よりも体格がデケえオッサンなのかと思えば、女?

 白髪というか銀髪の片方が派手な金髪のもう片方を背中に負ぶってるのか?

 AIが画像生成したような違和感を感じる光景に目を疑う。


「って子供? なんか宙に浮いてるんだが」

「・・・ちゃんと敵を見て! 敵!!」

 どうなってんだ? コレ。


 2メートルは地面から離れた中空に小学生低学年にしか見えねえ女児が2人、俺の後ろへ目を向けてギャアギャアと騒いでいる。

 こんな森の中で女児2人だけとか、親はどこ行った?

 賑やかだな。ってか、後ろ?


「おっと」

「「えええっ!?」」

 危険物の反応に、半身になって右後ろを返り見れば熊パンチだったか。

 2階ほどの高さから振り下ろされた熊の右手をパシッと受け止めて、鋭い鉤爪が生えた指を2本まとめて捕まえる。


 逃がさねえように思い切り握りしめれば、手の中でパキッと爪が砕ける感触が有った。

 女児たちは驚いているが、慣れだよ。慣れ。

 慣れりゃあ、このぐらいは出来るようになるんじゃねえか? 知らんけど。

 悪さの手本を子供に見せて非行の道へ走られるのも気持ちが良いもんじゃねえから、真似られると困るんだよ。


 ふむ?

 この熊、ガタイがデケえからパワーが有るのかと思えば、こんなもんか。

 この程度なら大したことねえな。

 右側から新たな危険物が飛んで来たが、試しに食らってみる。


 ゴスッ! と熊の左パンチが俺の頭を捉えたが、猫パンチか?

 いや。熊だったな。

 サッカーボールでもヘディングした方がまた痛えんじゃね?

 こっちの世界に来てから俺も感覚が狂ってるから怪しいもんだが。


 しかし、困っちまったな。

 この森は人間が踏み入っていることが無いらしいから今まで無かったケースなんだが、女児たちが先に戦闘を始めていたってことは、俺が獲物を横取りすることになっちまうんだろうか?

 ずっと追ってきた獲物だし俺たちの方が先に攻撃を仕掛けていたんだが、そんな理屈が通用するのかねぇ?


 こういう場合は事前に話し合いで決めた方が良いな。

 ケイナたちのことも有るからトラブルは避けてえ。

 熊の人差し指と中指を捕まえてるから逃げられねえだろ。

 ゴスッ! ゴスッ! ゴスッ! と熊の左手が俺の頭を撫でてくるが、放って置いて女児たちを返り見る。


「なあ。この熊、殺しちまって良いか?」

「・・・い、良いけど」

 人間同士、スジを通せば分かり合えるもんだな。

 銀髪の女児が快く獲物を譲ってくれた。



クラン㊸です。


獲物の所有権!?

次回、衛生的な事情!?

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