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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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クラン ②

「やっと入ったなあ・・・」

「そうですね・・・」

 関所を抜けたところでケイナと2人でボヤキを交わす。


 欠伸が出るような荷馬車のペースに合わせてトロトロ進んだせいも有って、予定よりも丸2日遅れで目的地―――、クローゼリス領に入ったんだが、ほんの数十メートルの距離を進むのが中々に辛かった。

 今、通り抜けた関所で奴隷商人たちを領軍に売り飛ばしたんだが、奴隷商人たちが通ってきたルートが問題になって関所で丸1日の足止めを食らったんだよ。


 奴隷商人たちが国内の関所を何度も突破してきたことも問題なんだが、最初は真偽を疑って掛かった関所の兵士たちもドワーフ父娘が着けられていた魔法道具を見せると顔色が変わった。

 然るべき場所で売り飛ばせば結構なカネになる魔法道具だったらしいが、そんなもんはどうでも良い。

 所持しているだけで疑いを掛けられる魔法道具なんて要らねえと、事件の証拠物件として領軍に提出した。


 俺たちが奴隷商人に襲われて返り討ちにしたのがクローゼリス領に隣接したグロース領なんだが、奴隷にされていた連中の内、帰郷を望む4人がグライアレー領で拉致被害に遭ったと証言したことから、内戦の発端にもなった違法奴隷売買の新たな密輸ルートの存在が発覚したわけだ。


 ヒゲ親父たちの証言だと、この4人が追加される前まではどこかの地下室に押し込められていたわけで、どこかの関所を一度越えて山道を抜けた後に4人が追加されたらしい。

 この山道ってのはグライアレー領の西側半分を占める山地のことだろうってなわけで、奴隷商人たちがグライアレー領に入ったルートが大雑把に特定された。


 そうなると、ヒゲ親父たちが囚われていた場所はさらに西隣の領地のどれかってことになる。

 その辺りの領地は“融和派”がほとんどらしいんだが、空気穴のような小窓しか付けられていない檻馬車に詰め込まれていた連中には外の様子も分からず情報が少なすぎる。

 被害者側の情報から詳細なルートを特定するのは困難ってことで、犯人側締め上げるしかなくなったそうだ。


 そんでまあ、被害者たちは入れ替わり調書作りのために聴き取りされて、犯人を捕まえた俺たちは待ちぼうけを食らわされる結果になった。

 冒険者という俺たちの立場は意外なほどに強くて、人数差は兎も角、犯人どもを返り討ちにしたこと自体は驚かれなかった。

 俺たちの方が驚かされたのはドネルクの信用度だよ。


 ギルドからの依頼書の束を兵士たちが目にしてドネルクの名前が出た途端、俺たちは状況確認だけ取られて無罪放免。

 被害者を待つならその辺で時間を潰してろと放置された。

 あのなあ。関所ってのは片田舎も片田舎、何にもねえ軍事上の要所に置かれてるんだぞ。


 人の気配が有って野生動物も寄り付かねえから狩りで時間を潰すことも出来ねえし、昼寝して待つにも丸一日寝るのは昼寝とは言わねえ。

 最初は野営用の薪を集めたりで時間を潰してたんだが、ケイナも馬の世話をして時間を潰すのも限界が来たらしく、結局は荷馬車の荷台で2人してグッタリしていた。

 そうして何とか関所を抜けて、さらに1日半。


「ヒャッハ―――ッ!! 皆殺しだ―――ッ!!」

「テツさん。大声を上げると魔獣が逃げます」

 ようやく森に入って開放感から雄叫びを上げたらケイナに叱られた。

 ていうか、何で魔獣が逃げんだよ。


「魔獣って向こうから襲って来るもんじゃねえの?」

「普通はそうなんですが、テツさんだと逃げます」

「はっはっは。そんなわけ」

「有ります」

「お、おう」

 確信を持った顔で断言されると反論に困る。


 ケイナの言うことも信憑性が有るんだよなあ。

 前回もそうだったんだが、魔獣とのエンカウント率が徐々に下がってきてるんだよ。

 ケイナも確たる証拠が有って言ってるわけじゃねえんだが、状況証拠はケイナの主張通りの結果を示している。


 以前はその辺を歩くだけで跳んできた触角ヘビや、その辺を歩くだけで駆け寄ってきた犬っコロに避けられている気配は俺も感じてるんだよ。

 危険物センサーで居場所は分かってるから追い回しに行くんだが、向こうからは襲って来てくれねえ。

 余計な手間が増えるし時間が掛かるから、効率が落ちて困るんだよなあ。


「おっ。来たぞ?」

「追い込みますか?」

 危険物に動きが有ったことを伝えるとケイナが表情を引き締める。


 俺の雄叫びが耳に届いたのか、危険物反応の方からこっちに向かってきている。

 反応の大きさは、ちょっとだけデカめか?

 ヤル気マンマンって速度で接近中だが、気が変わって逃げられても面倒だ。


「念のため、やってくれ。距離は300メテルってところだな」

「分かりました」

 危険物反応の方向を指し示すとケイナは俺に頷き返した。


 何もない虚空にケイナが話し掛けると、空中に空気が集まって渦を巻き始める。

 無色透明の空気でも密度が高まると向こう側の景色を歪ませるのか、景色の一部が揺らぎ始めるから魔法ってもんが分からねえ俺でも魔法が発動したことは認識できる。


 しゅるしゅる~っと木々の間を生物的な動きで景色の歪みが飛んで行く。

 目視では捉えられなくなるまで歪みが離れて行って、数十秒間。

 ド―――ンッ!!  という破裂音と、フギャ―――ッ!! って感じの咆哮が森に木霊した。



クラン②です。


魔獣狩り開始!

次回、グロ!?

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