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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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奴隷 ⑥

「おっ! 針金、めっけ!」

 馬車の補修資材か何かなのか、木箱の中から細く延ばされた金属の糸巻きを見つけて、テツさんは喜んでいます。

 “ハリガネ”という名前の道具なのですね。


 何をするのかと見ていると、地面に転がって白目を剥いている男たちに歩み寄ったテツさんは、一人ずつ俯せに転がし、後ろ手に回した両手の親指を関節のすぐ上あたりで束ねています。

 ハリガネとうものは金属製だけあって見た目よりも硬いようです。


 硬いと言っても馬鹿力のテツさんですから、適度と考えたらしい長さでブチッと引き千切っています。

 靴を脱がせた両足の親指も同様にハリガネで束ねて男たちの拘束を終えると、男女が降りて空になった荷馬車の荷台に引き摺って行ってポイッと放り込んでしまいました。


「ちゃんと縄で縛らなくて大丈夫なのですか?」

「試してみるか? 自分じゃ抜けられないし、縄よりも短くて済むんだ」

「遠慮します」

 ふるふると首を振ると、はっはっは、と笑っています。

 チキュウ世界の軍隊でも使われている、簡易な拘束方法なのだそうです。


「た、助けていただいて、ありがとうございます」

「私たち、畑で働いていたところを攫われて・・・」

 牢のような荷馬車に詰め込まれていた人たち―――、獣人族たちが口々に訴えるのを聞いていたテツさんが、思案顔になりました。


「この国に奴隷制度はねえって聞いてたんだが、元々、奴隷だったヤツは居ねえんだな?」

「不法に攫われてきた、違法奴隷の類いだと思います」

 自分の目で見たことは有りませんでしたが、恐らく間違いないでしょう。

 郷でも過去に起こった”被害”を語り伝えています。


「ん?」

「あの人は・・・」

 何かに目を留めたテツさんの視線を追うと、髭面の小柄な男性の姿がありました。


 小柄と言っても身長が低いだけで体に厚みが有ると言いますか、体格は良いように見えます。

 目立つのは、男性の首元に覘いている金属製のようなものですね。

 男性に寄り添う少女の姿も有ります。


 驚いたように見下ろすテツさんと座り込んだ男性の間で、困惑の目差しを彷徨わせています。

 こちらの少女の首元にも、男性と同じ金属製の何かが覘いています。

 あれは―――。


「お父ちゃん・・・」

「・・・・・・・・・・・」

 じっとテツさんを睨み付ける男性の目は、強い敵意に満ちています。

 男性の顔や肌には、殴られて付いたのであろう傷や痣が、あちこちに見受けられます。

 おもむろに歩み寄ったテツさんが、しゃがみ込んで男性と視線の高さを近付けました。


「なあ、アンタ。ドワーフ族ってヤツか?」

「・・・・・・・・・・・」

 何も答えない男性にテツさんが手を伸ばします。


 これがドワーフ族ですか。

 テツさんも確信が有っての問いではないのでしょうね。

 お祖父さまから話には聞いていましたが、私も初めて実物を見ました。

 ただ、状況の想像は付きますが、この男、少し態度が悪いですね。


「ワシらに触るな!!」

 バシッ! と強く打擲した音がしました。

 空気がビリビリと震えるほどの怒声で、テツさんの手を払い退けたのです。


 ムカッとしました。

 自分の目元がピクッと引き攣ったのを自覚します。

 助けようとしてくれているテツさんに対して何をするんですか、この髭モジャのオッサンは。

 態度が悪いにも程があります。


「ぐぅ・・・!」

 男性の顔が苦しげに歪みます。

 困った顔のテツさんが、がしがしと頭を掻いて私を見ます。

 小さく息を吐いてテツさんに歩み寄ります。


「なあ。これ、外せるか?」

「はい?」

 何のことか分かっては居るのですが、素直に答えられず首を傾げてしまいました。


 テツさんが指したのは、髭モジャの首に嵌められた頑丈そうな戒めです。

 少女の首にも同じものが嵌められています。

 金属製の首輪に見える”それ”を詳しく見るために、私も男性の前にしゃがみ込みました。


「・・・・・・・・・・・・」

 他人からの敵意を向けられることに慣れていない私は、怒りに溢れる男性の視線を気にしないように、意識の外に置きながら注意深く()ました。

 太さ5センメテルぐらいの金属の環の表面に、半周ずつそれぞれに独立した刻印が刻まれています。

 予想通りですね。


「“隷属環(れいぞくかん)”―――。呪詛系の機能を持つ魔法道具の拘束具ですね」

「やっぱり魔法道具か。()()()()がしたんだ」

 テツさんが眉を顰めます。


 拘束具の裏側にも刻印が刻まれていて、被拘束者の魔素を吸い上げて作動し、体内の魔素の流れを乱すことで抵抗できなくする魔法道具だったと思います。

 エルフ族の国が在った頃は犯罪者を拘束するために用いたものですが、ヒト族の手に渡れば悪事に用いられるのですね。

 お祖父さまから聞いたことは有りましたが、こっちも実物を見るのは初めてです。


「外せそうか?」

「兄様なら出来るでしょうが、私では・・・」

「そっかぁ」

 ふるふると首を振ると、テツさんは首輪を睨みながら考え込みました。

 私たちの様子を黙って見ていた髭モジャの目にも、困惑の色が見え始めています。


奴隷⑥です。


あの種族!?

次回、粉砕!?


※ちょっーと色々と有りまして今日も遅刻です!

 申しわけございません!

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― 新着の感想 ―
毎日毎日更新下さり有り難う御座います。 読めるだけでありがたいです。 休まれても全く問題ありません。 (休まれる際は事前に判ると安心です。) 無理をされず今後も御執筆いただけましたら幸いです。
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