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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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冒険者 ㉑

 ”力学”に沿って考える。

 例えば、地球でよく有った難民問題ってのは、ごく一部の戦争難民を除けば”経済難民”―――、生産性のない“食い詰めた流れ者”が原因だった。

 自分たちが築き上げてきた国や文化を食い潰して破壊するだけの連中を、歓迎して受け入れるバカなんて居ねえのが普通だ。


 そんなもん、難民でも何でもねえ。

 ありとあらゆる植物を根こそぎ食い尽くしながら旅をするバッタと変わらねえからな。

 生産性―――、カネを生み出すかどうか。

 その最も重要な1点において、エルフ族ってのは地球の馬鹿げた「難民」とは決定的に違う。


 エルフ族には魔法道具という、他の追随を許さない優れた技術が有る。

 このことについては、俺がレイクスから借りているリュックを目にしたドネルクの警告が明確な答えだ。

 犯罪者や権力者が血眼になって欲しがるものとは、カネの臭いがするものだからな。


 レイクスたちが作る魔法道具を俺たちの優位性(アドバンテージ)として成功を見せつけ、レイクスたちの技術を”この国にとって無くてはならないモノ”に引き上げる。

 この国全体が、率先してエルフ族を守らざるを得ないほどにな。


 ただし、一般への技術の普及はさせねえ。

 そうすることで優位性の低下と価値の低下を防止する。

 どうやってそれを実現するのか?


 そんなもん簡単な話だ。

 提供する技術を軍事分野に限定すれば良い。

 国家の維持と安全保障に直結する分野なら、機密性が引き上がって”国家として”保護せざるを得なくなる。


 そういった意味では、人脈工作をするまでもなくドネルクという知己を得られたことはラッキーだったな。

 パイプの繋がった先が国家の中枢に近ければ、余計な権力者が接近してくるのを防止する効果も期待できる。

 極論すれば、国王だ。


 国王ってのは既得権益の最たる存在で、国家の中枢そのものと言える。

 その既得権益者が格下の権力者層が台頭するのを快く思うのか?

 既得権益者の財布に手を出そうとする格下は間違いなく排除される。


 エルフ族の国が滅ぼされる以前は、この国とも友好関係を結んでいたらしいしな。

 表立ってエルフ族の存在を明らかにしちまうと、この国の立場を悪くしちまう恐れが有るから公式的な関係は結ばねえ。

 対外的には知らぬ存ぜぬで押し通しつつ、水面下で手を結んでいれば事足りる。


 そこで効いてくるのが俺という存在だ。

 どいつもこいつもが俺を「勇者」ってヤツと混同してやがるからな。

 そこを逆手に取れば、俺が目立てば目立つほどエルフ族の存在は目立たなくなる。


 いや。逆か。

 俺が目立てばケイナも目立つだろうが、エルフ族の存在を知られても手出しし辛くなる。

 キ〇ガイ教団が俺の存在を知れば何らかのアクションを起こすだろうが、構わねえ。

 多くの人目に触れる場で、俺自身が〇チガイ教団との関係を大々的に否定してやれば良い。

 ケイナを俺の娘だと公言していれば、ケイナへの手出しは俺との敵対を意味することになる。


 人の口に戸は立てられねえからな。

 キチ〇イ教団が関係を否定され拒絶されている姿が多くの人目に晒されれば、人伝(ひとづて)に情報は拡散する。

 存在確認に事実確認。状況や情報が混乱すればするほど最終判断を下すまでの時間が掛かる。

 そうやって時間を稼いでいる間に、この国を内側から強くして”外”から干渉できなくしてやる。


 本音を言えば、対等な同胞としてエルフ族を受け入れてくれる相手と(おおやけ)に共存するのが理想なんだが、エルフ族ってのは、ずいぶんと長寿だからな。

 ケイナんところの爺さんはエルフ族の中でも長生きなほうらしいが、すでに500歳を超えてるってんだから異質も異質。

 普通の人間とは“別の種族”と見られるのも仕方ねえ部分は有る。


 だからと言って、キチガ〇教団のイカレた排他主義を認めるつもりも受け入れるつもりもねえよ。

 互いが互いの文化を理解し、尊重し合うことで共存は成立する。

 エルフ族がもたらす恩恵が共存を可能にする。


 お利口さんが口にする”みんな仲良く!”なんて安っぽい平和主義や、政治利用のお題目みてえな綺麗事を言うつもりはねえからな。

 俺はお利口さんでもねえし、現実主義の”意識低い系”なんだよ。


 ケイナとしばらく過ごしてみて、エルフ族が特別に変わっているわけでも、受け入れ難い文化を持っているわけでもないのだと俺自身の目で確認した。

 魔法が得意で、多少長生きするだけで、日本人の俺と較べても何にも違わねえ。

 これが現実だ。


 だったら、エルフ族とヒト族―――、平凡な人間の共存は可能だろう。

 長期的に見て、この国にとっても、寿命が長いエルフ族の魔法技術を長年にわたって独占できるメリットは極めて大きいはずだ。

 なんてったって、エルフ族の技術を超える新技術でも生まれねえ限り、何十年でも何百年でも優位性を維持できるんだ。


 現に、その優位性を奪って独占するために、〇チガイ教団はヒト族至上主義による排他主義を”正義”に祭り上げたんだろうしな。

 キチガ〇教団が強奪した優位性を無に(かえ)し、キ〇ガイ教団を上回る優位性を手に入れる。

 この長期的目線でのメリットを理解できる為政者と友誼(ゆうぎ)を結べれば良いんだがな。


 かと言って、理解するからこそ欲を出すってことも有り得る。

 己を律する自制心が有って、身内を裏切らねえ仁義を解する為政者はどこかに居ねえもんか。

 その上で、他者の干渉を撥ね除ける強さと度胸を持つ相手なら尚のこと良い。

 ここまで相手方に要求しちまうと理想論が過ぎるか。


 先ずは、この国の中枢との信頼関係を水面下で築くことに集中しよう。

 場合によっては神教会関係国とやらを滅ぼして、辺境からこの国に覇を唱えさせることまで視野に入れる。

 宗教ってのは生活に浸透してるから面倒くさいんだが、背景となる武力を剥ぎ取って宗教的教義よりも実生活の利益が上回れば、世論は必ず軟化する。


 現代地球で世界第2位の軍事超大国だって、世界的に有名な清涼飲料水の輸入が出来なくなれば国民の支持が低下して独裁政権が維持できないと妥協して、核兵器を向け合う冷戦構造の真っ最中にも清涼飲料水を敵国から輸入し続けたんだ。

 それでも軟化しないなら、〇チガイ教団ごと、この国以外の全てを滅ぼすまでだ。


 隣を歩く飛行帽頭をチラリと見下ろして決意を新たにする。

 もうケイナは俺の娘の一人だし、郷の連中は俺の仲間(ダチ)だからな。

 相容れないなら”世界”の在り方のほうを変える。

 必ず森から出してやる。



冒険者㉑です。


セリフ一切無し!?

次回、学習!?


※ 見直しを行ったら前話の予告とは中身が変わってしまいました!

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