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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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冒険者 ⑯

「役に立たねえ情報で悪いな」

 この様子だと、あの塩水湖の存在は森の外では知られてねえっぽいか?

 森へ入る人間が増えるほど郷の存在が露見するリスクが高まるからな。

 俺たちとしては好都合なんだが情報を隠す行為は俺たちの信用を下げる。


「いいや。構わん」

 一応、協力的なポーズを取れば、どこまで信用しているのかは分からねえがドネルクは平然と首を振る。

 そして俺の目を見据えながらニヤリと笑った。


「森へ入る人間がいなければ、情報など有っても役に立たんからな」

「お、おう。そうだな」

 クッソ。見破られてんじゃねえか。

 お前、エスパーかよ。

 情報隠蔽がバレたことを俺が悟ったと見て取ったのだろうドネルクが表情を引き締め直す。


「神教会の暴挙で絶滅したはずの種族が逃げ込む先なんて予想は付く。魔獣素材の扱いに長けた種族の心当たりもな」

「あー。そりゃそうか」

 ガシガシと頭を掻く。


 俺の認識不足をドネルクは指摘したわけだ。

 半ばロストテクノロジー扱いされている魔法道具ってのを作りだしたのはエルフ族だ。

 エルフ族が魔獣素材の扱いに長けていることは、その時点で実証されていると言える。


 指摘されてみれば、エルフ族に魔獣素材と来れば森と関連付ける奴が出てくるだろうってのは当然だな。

 滅んだと認識されているから捜索されていなかっただけで、そこに居ると知られれば探しに行く奴も現れるだろう。

 深い溜息を吐き出したドネルクがソファーの背もたれに背中を預ける。


「個人的な話をすれば、俺の祖母は西方諸国に近い小国の出身でな。他人事ではないんだ」

「他人事じゃねえってのは?」

 俺の問いにドネルクが目を鋭くする。


「もう数十年も昔のことだが、神教会勢力の侵攻を受けて滅ぼされた」

「ヒト族至上主義だとか看板をブチ上げておいて、ヒト族相手でもお構いなしかよ」

 何だそりゃ?

 テメエらでブチ上げた大義名分を、テメエらが軽視するのか?


 連中の論理と思惑が見えねえな。

 大義名分ってもんは周囲の理解を得て孤立を避けるために掲げるもんだ。

 狂信者の内輪では通る理屈でも内輪以外には通用しないことが多い。


 地球の例でいうなら、圧倒的な軍事力と経済力を誇る超大国でも世論の承諾を得るために大義名分は軽視できねえ。

 人権の存在しねえ独裁国家で有っても、国民のサボタージュを怖れて大義名分は掲げてみせる。

 その大義名分を投げ棄てても通用する状況といえば、利害の一致だろうな。


「お前。どこまで情勢を把握している?」

「俺が聞いたのは500年前に何が有ったかと、事情が当時と大して変わってねえことだな。いいや。敵が迫ってきている分、状況は悪化してるか」

 俺の認識にドネルクが頷く。


「王国の置かれた立場と―――、俺よりも年上だが嬢ちゃんで良いのか? 嬢ちゃんたちが置かれた立場は近い」

「近いってのは、ヒト族至上主義のことか?」

 ここの国の国民が被差別対象って限定された意味ではなく、幅広く波及する全ての原因はそれだろう。


「魔獣討伐の最前線である王国や慢性的に労働力不足の小国家にとって、亜人種族もまた重要な労働力だからな。神教会の関係国が進めてきた亜人種族排斥に従わなかった。神教会は、それがまた気に入らんらしい」

「だから侵攻するってのか? 普通の政策だと思うがなあ」

「ああ、普通だ」

 だよな。さすがはキ〇ガイ教団だ。


 だが、それだけか?

 それは大義名分で真の目的は別に有るはずだ。

 世界征服を目指してます! と言うのなら、まだ理解できる。


「連中の強気は、“舐められてるせい”って線は?」

「それも有るだろうが、多勢に無勢の状況を王国側が覆せていない」

「キチガ〇教団に同調する理由が有るってことだな?」

 俺の推察にドネルクが難しい表情になる。


「魔獣素材の納入数が減って素材の輸出が細っていたのが、国外での王国衰退の噂に信憑性を持たせる根拠になっていてな。不当な要求を撥ね除ける強さが誰の目にも見えている内は周辺の小国家も風見鶏で済んだが、王国に対抗する力が無いとなれば、小国家としては神教会側に付くか王国と共に滅ぼされるかを選ばざるを得なくなってきた」

 緩衝国の小国家の動向―――ね。


 一気に多数決の天秤が傾きかけた訳か。

 ただでさえ厳しい兵力差が、小国家群まで敵に回ればこの国に勝ち目はなくなる。

 そこで気付く。


「こないだの内戦ってのは?」

「直接的な原因は、違法商品の密輸に国内貴族が組織的に関与したことだな」

 神教会が仕掛けてきた分裂工作での内戦かと疑ったんだが、ドネルクの答えは俺の予想とは異なるものだった。


「違法商品ってのは?」

「奴隷だ。人種に拘わらず、王国においては奴隷そのものを認めていない」

 ほう。広域犯罪組織を殲滅するために大鉈を振るったのか。

 わざわざ国土の反対側から“南部の雄”とやらが出張って来たのも疑問に思ってたんだが、事件絡みの理由っぽいな。



冒険者⑯です。


国際情勢!

次回、交渉成立!?


※お昼に予約投稿したつもりでいたのに出来ていませんでした!

 そして気付いたのが夕方です!

 遅くなりました!


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― 新着の感想 ―
 いつも素敵ですごい話を楽しませていただいております。 無理をなさらず執筆を続けてくださいませ、 作品を読ませていただくことが一番ですのでペースを落とされても 休まれても一読者としては続いていくことが…
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