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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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状況変化 ㉖

 両足の長さも1メートルぐらい有るが、筋肉がまるで付いていなくて爪楊枝のように細え。

 コイツら、体重のほとんどが頭部と胸筋の重量なんじゃねえか?

 胴体が妙に短えってことは、腸なんかの内臓も短えんだろう。

 何を食ってるのか知らねえし、内臓をバラして確かめるつもりもねえが、排泄物の臭さは内臓の短さが原因かもな。


 消化も吸収も不十分なら、食ったもんが半生で排泄されて腐敗臭を放つって理屈も成り立ちそうだ。

 ケイナと2人で30分間ほども掛けて全てのコウモリにトドメを刺す。

 排泄物が臭すぎなきゃ死なずに済んだのかも知れねえが、諸行無常ってヤツだ。

 運のない生物どもを始末し終えて最奥部へ戻って入口に立つと、地べたから1.5メートルほど以上の空間は全てが白っぽい煙で霞んでいた。


「ケイナ。水で流しちまってくれ」

「はい!」

 機嫌の良さそうな返事が返って、ケイナのヤル気を反映したような濁流が最奥部の空間を満たす。

 俺はバケツの水をザバーッと流すぐらいのつもりで言ったんだが、ケイナのヤル気が反映されたように大量の水がどこからともなく湧きだした。


「おお・・・。スッゲ」

 不思議なもんで、最奥部の空間では濁流が荒れ狂っているのに、稼働中のドラム型洗濯機を外から眺めているように濁流は坑道へ出て来ねえ。

 コウモリの生き残りが居たとしても、これなら溺れ死ぬだろう。


 じゃあ、何で最初から水攻めにしなかったのか?

 そんなことしちまったら、コウモリを狩る前に、最奥部の空間に満遍なく汚物が広がるじゃねえか。

 俺たちが引き受けたのはコウモリどもの始末で採掘じゃねえ。


 コウモリを始末するのが最優先で有る以上、下準備のハードルを上げたくないってのは普通の選択だろう。

 後片付けが終わった最奥部で採掘をするのはビクトルたちの仕事だ。

 ボソボソと1人で何かを呟いたケイナが俺を振り返る。


「テツさん。あの穴のところに埋めてしまって良いですか?」

「あの量が埋まるのか?」

 ケイナの言う「あの穴」ってのは焚き火をしたすり鉢状の穴のことだろう。

 一つ一つの汚物は潰れたリンゴぐらいの大きさだとしても、1ヶ所に固まれば結構な量だぞ。

 無理じゃね? と考えた俺の積算はファンタジー的存在によって覆される。


「あの穴の下にも小さな空間が有るそうです」

「それ、土の精霊が言ってんの?」

 念のために確認してみれば、覆面の下でニコリと笑ったのだろうケイナが頷く。


「はい。そっちの空間にも何かの鉱石が有るそうですけど、埋めても構わないですよね?」

「ここの鉱石を掘り尽くすまでは手を触れるなと注意しておいてやれば構わねえだろ。下の空間を掘るときには鼻がもげねえように祈れってな」

 無責任? 知るか!

 まだ朝のうちで今日という1日は始まったばかりだが、俺たちには数百にも上る獲物から皮膜を剥ぐ仕事が残ってんだ!


 最奥部の後始末が終われば、坑道を取って返して獲物を搬出する作業を始める。

 弾力があって意外と強い皮膜を引っ摑んで10匹単位で引き摺って行く。

 力仕事の搬出作業は俺が引き受けて、ドラゴン包丁を預けたケイナは坑道の外で皮膜部分を切り出す作業だ。


 何度も往復して全ての死体を坑道から放り出し終えた頃には、坑道の入口脇に死体の山が出来上がっていた。

 触れればサクサクと切れる切れ味の良いドラゴン包丁は如何なく性能を発揮し、ケイナの手際の良さも手伝って、皮剥ぎ作業は俺が手を出す暇も無く終了した。

 管理小屋までビクトルを呼びに行ってみれば、慌てて5番坑まで駆けつけて来る。


「本当にコウモリどもを始末してくれたのか!?」

「おう。見ての通りだぜ」

 ビクトルの前には5メートルもの高さにまで積み上がったコウモリの死体が有る。


「こんなに居やがったのか・・・」

「1匹残らず始末したから、もう出ねえだろ」

 愕然と声を漏らすビクトルに問題の解決を宣言すれば、最大の懸念にビクトルが触れる。


「あの臭え糞はどうなった?」

「最奥部の奥に大きく凹んだ穴が有ったろ」

 記憶を探ったビクトルが大きく頷く。


「ああ。水が抜けた跡だな」

「あそこに埋めたから、表面上は糞もなくなってる」

「おおおっ!」

 俺の報告にビクトルが表情を輝かせる。

 「表面上は」と強調したんだが、コイツ、聞いてんのか?


「アンタらスゲエな! 完璧な仕事だ!」

「それでな。あの穴の地下にも鉱石が有るんじゃねえかと思うんだが、そっちを掘るときは鼻がもげる覚悟をしてくれ」

「新たな鉱脈か? まあ、俺は手を出さないが記録には残しておこう」

 注意事項を伝えれば、ビクトルはどうでも良さそうに手を振った。


「この死体はどうすれば良い?」

「こっちで廃材と一緒に燃やしておくから気にしなくて良いぞ」

 完全にゴミ扱いだな。燃やす手間が省けて俺たちは助かるが。


「そうか。んじゃあ、俺らは帰り支度をしてるから、いくらか鉱石を掘ってきてくれ」

「鉱石なんてどうする気だ?」

 俺に要求にビクトルが怪訝な顔をする。


「コウモリを始末したらレイバンがメガネを作ってくれる約束になってんだよ。俺たちの報酬がそのメガネだな」

「鉱石代はレイバンのツケだな。良いのを掘らせるからちょっと下で待ってろ」

「おう。分かった」

 隣の坑道へ鉱夫でも呼びに行ったのだろうビクトルの後ろ姿を見送った俺たちは、そこでようやく肩の荷を下ろした。



状況変化㉖です。


作戦終了!

次回、帰還!?

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