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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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状況変化 ㉔

 一夜明けて、水浴びしてもニオイが取れず、げっそりとした様子のケイナと決戦の地へと向かう。

 自分の体に染みついた悪臭で何度も目が覚めたらしいケイナは寝不足気味で、顔色も精彩を欠いている。


「大丈夫か?」

「大丈夫です!」

 グッと拳を握って元気アピールをするケイナの頭を飛行帽越しに撫でてやる。


「最初に焚き火の火だけ点けてくれれば良いからな」

「私も戦いますよ?」

 気遣ったつもりだったんだが、ケイナは不満そうだな。


 だが、初めて戦う相手でケイナを前へ出したくねえんだよ。

 俺は頑丈だから少々のことではヤラレねえが、ケイナの場合は万が一のことが有り得る。

 かといって、ケイナが自分も体を鍛えるなんて言い出すと困るしな。


「いや。ケイナには最後にゴミを洗い流して欲しいからな。ゆっくりしてろ」

「そうですか」

 俺が引かなかったことでケイナが悄げる。

 拒絶したわけじゃねえんだがなあ。


「そんな顔すんなって。ブン殴るのは俺の得意分野だからな。適材適所ってヤツだ」

「てきざいてきしょ?」

 俺が口に出した言葉で知的好奇心を刺激されたケイナが気を逸らした。

 これで聞く気になってくれれば良いんだけどな。

 前に立つのは俺の役目だ。


「その状況に適した人材は適した場所へ。得意分野は得意なヤツに任せとけ、って意味の言葉だ」

「適材適所、ですか。覚えました」

 ふんふんと頷いているケイナの背中を押して行く。


「ほれ。準備、準備」

 もう5番坑は目の前だ。

「準備できました」

 手拭いを裂いて作った布の切れ端を鼻に詰めて覆面も終えると、詰め物を鼻に突っ込んでいる姿を見せたくないのか背中を向けていたケイナも覆面を終えて振り返った。


「んじゃ、行くぞ」

「はい」

 ケイナに付けて貰った光の球の明かりを頼りに、昨日、何度も通った坑道を辿る。


「そろそろだぞ。覚悟は良いか?」

「行けます!」

 危険エリアの直前で声を掛ければ、気合いに満ちた返事が返ってくる。

 どれだけ警戒していてもニオイってヤツは防げるものでもマシになるものでもないんだけどな。


「「ふぐっ!?」」

 目が覚めるどころか、あの世へ魂を連れて行かれそうなほど強烈な悪臭に脳髄を突き刺される。

「うおえええええええ」

「吐きそうです・・・」

 そうは言いつつも何とか耐えきったケイナと2人で最奥部へ突入する。


「火を点けてくれ。俺はコウモリどもの邪魔に備える」

「はいっ」

 地雷原に引っ掛からないように奥まで進んでケイナが呪文を口ずさみ始める。

 先行したケイナの背中を守りながら俺は天井のコウモリどもを警戒する。

 ピリッと危険物センサーが反応して避けると、上空から降ってきた何かが地雷原の地面で湿った音を立てた。


「うおっ!? 危ねえ!!」

「テツさん!?」

 俺の声にケイナが反応して振り返る。


「気を付けろ! 何か飛ばして来やがったぞ!」

「はい!」

 何だコレ!? 何を飛ばして来やがった!?


 地面に落ちたものへと目を向ければ、一部が何かで濡れている。

 毒液って感じじゃねえな。

 アレそのものからは、そんなに危険物の気配を感じねえんだが。

 そこでガツンと鼻に来る。


「臭っ!!」

 今までよりも濃厚でキツいニオイが目に染みる!

 コウモリは魔獣ではなく普通の野生動物だったはずだ!

 だとすると、アレは小便か!?


 動物は縄張りテリトリーを示すために小便を引っ掛けて回る習性を持っていることがある!

 犬が代表例だが、他の動物にも同様のマーキングを行うことが多い!

 あんなもんをブッ掛けられたら、しばらくニオイが取れなくなるぞ!


「テツさん! 点きました!」

 ケイナの声が響くと同時に危険物センサーが警報を発する!

 ハッと天井を見上げればコウモリどもがもぞもぞと蠢いてやがる!

 メチャクチャ悪い予感がする!


「離脱だ、離脱!」

「はい!」

 戻って来たケイナを急かして先行させると、危険物センサーの警報が大合唱を始めた!

 アイツら、まさか!?


「ヤベッ!」

 あっちこっちから小便が降り始めて全力でケイナを追い掛ける!

 ケイナも全力で走っているようだが、歩幅が大きい分、俺の方は足が速いようだ!


「キャッ!」

「うおおおおおおおおおおっ!!」

 追い抜きざまに可愛らしい悲鳴を上げるケイナを抱き上げて、本格的に降り出す前に全速力で小便の雨を潜り抜ける!



状況変化㉔です。


連打!(される側!?

次回、反撃!?

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