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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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状況変化 ⑦

「人間2人に馬3頭で銀貨7枚だ。あちらで入市料を支払え」

「ありがとうございやース」

 城門の検問所でいつものやり取りを終えた俺たちは、門番の兵士に頭を下げて窓口へ向かう。


 この町の通行料も今までと同額だな。

 やっぱり、ここの領地は通行料を統一しているらしい。

 何事も無く野営で一夜を過ごした俺たちは、朝日が昇る時間まで待ってヘイレンヤード領の領都に入った。


 まだ朝イチと言って良い時間だとは思うが、日の出前には城門が開かれるらしいことを思えば少し遅めの朝イチだったせいか、検問所の順番待ちで待たされることは無かった。

 パッと見では懸念していたスラムは無いように見えるが、城門から十数メートル離れた辺りに地面が焦げた焚き火の後が何十ヶ所も有ったから、何らかの連中が城門周りで野営―――、いや。野宿しているのだろうことは推察できた。


 もしかすると、昨日の俺たちのように夕刻の閉門時間に到着が間に合わなかった連中が門前で野宿して、開門と共に町へ入ったのかも知れねえが、警戒しておくに越したことはねえな。

 他人の面倒事には関わっているヒマはねえし、巻き込まれてもメリットがねえ。

 俺たちが取るべきスタンスを再確認しつつ町の様子を観察する。


 今までの町に較べて3階建ての建物が多くて平家建物は殆どねえな。

 店舗らしい建物は入口を開いて開店準備を始めているし、陽が昇って人々が活動を始める時間を狙って町に入る時間を遅らせた甲斐は有ったのだろう。

 手綱を引いて城門から離れながらケイナはキョロキョロと町の景色を見回している。

 今までの町よりも明らかに大きそうな町だから、お上りさんムーブも仕方ねえな。


「どうしますか?」

 行動指針を訊いてくるケイナの目は、時折見掛ける露店に向いている。

 日本の祭りで見掛けるような、箱形の組み立て式台座にテント屋根が付いてるタイプだな。

 何かの調理を始めている様子から食い物の露店なんだろうが、俺たちは朝メシを食ってから野営場所を畳んだからケイナもまだ腹は減っていないだろう。


「そうだなあ。ガラスを作ってる町らしいし、面白そうなものが有れば見ておくか」

「面白そうなものですか! 良いですね!」

 飛び跳ねるように軽い足取りで歩くケイナの頭から、飛行帽が浮き上がり掛けて反射的に腕を伸ばして抑える。


「おおっと」

「あっ」

 頭の天辺を押さえられたことで、浮き上がった帽子の存在に気付いたケイナが慌てて自分でも帽子を押さえた。


「耳は出てねえか?」

「だ、大丈夫です」

 小さく抑えた声で訊くとケイナも小さな声で答える。


「すみません」

「ケイナが謝るこっちゃねえよ」

 誰が悪いって言うなら、排斥思想を世界中にバラ撒いてエルフ族が生き辛い状況を作ったカルト教団が悪い。


「ただまあ、何か対策を考えねえとなあ」

「対策ですか?」

 耳が顕わになっていないかを確認し直したケイナが俺を見上げてくる。


「ちょっと動いただけで帽子が浮き上がるようじゃ窮屈だろ」

「慣れの問題な気もしますが、そうですね」

 ケイナは消極的な同意に留めちゃいるが、窮屈に決まってる。


 何より、転倒しそうになったりと両手が必要なときにこそ帽子が脱げかねねえ。

 両手の自由は出来るだけ確保しておかないと怪我の原因になりかねねえからな。

 帽子の耳がパタパタと浮き上がらないように金貨を仕込んでみたんだが、効果はイマイチだったっぽい。


「重りが足りねえんだろうが、重すぎると今度は首を痛めちまうだろうしなぁ」

「あんまりにも重たいのは、ちょっと困りそうです」

 だよなあ。

 控え目な性格のケイナは自分から強い自己主張をしないからこそ、俺が気を付けておいてやらねえと。

 うーむ。


「根本的なところから考えてみるべきか?」

「何をですか?」

 こっちを見てケイナがコテッと首を傾げる。

 こうして見ると、顔立ちが綺麗なだけじゃなく仕草も女の子っぽいんだよな。


 今は野暮ったい服装だが、帽子だけで性別を隠すのは難しそうだし、見た目から可愛らしい女の子となれば、エルフ族ってだけでなく女の子としても狙われる恐れが出てきそうだ。

 息苦しい思いをさせちまうことになるが、最低限の安全を確保できるまでは我慢して貰うしかねえ。

 出来るだけケイナに負担の小さいものを考えてやらねえと。


「いやぁ。帽子の他に何が有る? ってな」

「何でしょうね・・・」

 俺の問題提起にケイナも思案顔になる。


 バンダナとか三角巾とかヘアバンドとか、か?

 耳を隠すなら、側頭部から後頭部を隠せるもんが良いんだろう。

 冬場のスキー用なんかのヘアバンドには、イヤーマフを兼ねた耳まで隠せるサイズのものが有ったように思うが、アレって編み物(ニット)だよな?


 一児の父親でも編み物スキルを磨いてる奴は少ねえだろうし、俺も多少の裁縫スキルは頑張って磨いたが、当然のことながら編み物スキルまでは磨いてねえよ。

 どうすっかなあー、と町の景色を見回せば、むさ苦しい無精ヒゲを生やしたオッサンが露店で朝メシらしきものを買っている姿が目に入った。



状況変化⑦です。


二つ目の領都!

次回、新装備!?

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