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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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状況変化 ③

「晩メシはタヌキ汁か・・・?」

 近くに何らかの動物が居るのは事前に察知していたし、危険物センサーも野良猫より低いぐらいにしか反応しなかったから放っておいたんだが、出てきた間抜けな生物はメチャクチャ見覚えの有る奴らだった。


 手にしていたパンを木皿の上に置いて見に行ってみる。

 サイズは大型犬ほどで記憶に有るよりもかなりデカいが、地元でも何度か見掛けた野生動物だから間違いないはずだ。

 そこへパタパタと軽い足音が近付いている。


「どうしたんですか!?」

 大声に驚いたのは人間も同じだったようで、お花摘みに行っていたケイナが息を弾ませて戻って来た。

 そりゃまあ、最中でも本気で驚けば引っ込んじまうわな。

 何が、とは言わねえが。


「いやあ。メシの準備をしてたら野生動物がな」

「はあ。これ、どうやって仕留めたんですか?」

 ケイナの目はリュックの脇で倒れている四つ足動物に向いている。


「仕留めてねえよ。ただ怒鳴りつけただけだ」

「へぇ。怒鳴っただけなんですか?」

 コテッと首を傾げてケイナが俺を見る。


「嘘じゃねえぞ」

「はい」

 軽っ! 絶対、信じてねえだろ!

 パッタリと倒れてはいるが、タヌキの腹は微妙に上下していて息が有ることは確実だし!


「本当だからな!? 別に獲ろうと考えたわけでもないし、寄って来なけりゃそれで良かったんだが、ノコノコと自分から寄って来やがったんだよ!」

「ハイハイ。分かりました」

 く・・・!! 子供に軽くあしらわれた!!


「信じてねえな!?」

「テツさんのことは信じてますよ?」

「お、おう」

 真っ直ぐに見つめられて、ちょっと冷静になった。


 子供相手に何やってんだ、俺?

 何となく敗北感を感じなくもないが、我ながら大人気(おとなげ)が無さ過ぎる。

 仕方ないので草むらを見に行ってみれば、他にも3匹の同種が気絶してやがった。


 2匹は少し小さめだから子連れの親子か?

 むんずと首根っこを引っ摑んで3匹とも回収してくる。

 白目を剥いている四つ足動物を持ち上げて観察してみるが、俺の勘違いではないはずだ。


「やっぱりタヌキだよなあ」

「たぬき、ですか?」

 転がってる最初の1匹と並べて他の3匹も地面に置く。

 足元のケモノたちを見下ろしてケイナが首を傾げる。


 大声1つでバタバタと気絶するマヌケな生態からも恐らく間違いないだろう。

 狸寝入りって言葉が有るように、死んだフリというか、危険に直面すると生存本能から気絶するんだっけか?

 俺の記憶に有るタヌキよりも、いくらかスマートな体型に見えるのは夏毛だからじゃねえかな。


 サイズは大型犬ほどで記憶に有るよりもかなりデカいが、地元でも何度か見掛けた野生動物だから間違いないはずだ。

 体格が特大サイズなのは食ってるもんが違うのか、何か異世界補正でも有るんだろうか?

 ウサギもデカかったし、そう言えば、触角ヘビも犬っコロも大猿もデカかったな。


 足元のタヌキどもに目を向け直す。

 コイツら、俺が昼メシのベーコンチーズトーストを作っていたら、リュックを咥えて逃げようとしやがったんだよな?

 そのくせ、大声一つで一網打尽とか。

 ウサギと同じようにメシの匂いに釣られて出てきたんだろうが、これほど鈍臭くてよく繁殖できるもんだ。


「どんな動物なんですか?」

「雑食性の野生動物で、犬の仲間だったかな」

 うろ覚えのいい加減な記憶を探って答えるとケイナが怪訝な顔をする。

 動物オタクでも何でもねえのにタヌキの詳細スペックなんて覚えてねえよ。


「犬ですか」

「犬じゃなく、犬の仲間な。遠い親戚みたいなもんだ」

「そうなんですね」

 遠い親戚と聞いて納得したようだ。


 いつも俺が犬っコロを犬っコロと呼ぶせいで、ケイナの認識が「犬」イコール、犬っコロになっちまってるんだろう。

 犬っコロはどう見てもシュッと引き締まったオオカミ系だし、短足でずんぐりとした体型のタヌキとオオカミが同じ「犬」の仲間だと思えないのは当然だな。


 タヌキはイヌ科のくせに木に登れるんだったか。

 いつだったか、電柱に登って電線の上から下りられなくなって立ち往生しているタヌキのニュース映像を見た記憶が有る。

 それを思えば、本当にイヌ科か? と俺だって思わなくもない。


「逃がしてやる謂われもねえし、始末しておくか」

「じゃあ、血抜きしますね」

「おー」

 気絶中のタヌキの首根っこ押さえて顎下に手を掛け、ポキッと首をへし折る。


 肩掛け鞄からナイフを抜いたケイナに手渡ぜば、プラプラになった首を躊躇いなく切り裂いている。

 残りの3匹もポキポキとへし折ってケイナがバッサリとやる。

 少しだけ心が痛まねえでもないが、タヌキは生涯一夫一妻を貫くと聞いた気がするし、一緒にあの世へ送ってやるのが、せめてもの情けってもんだろう。


 冗談みてえに鈍臭い野生動物の親子は流れ作業で輪廻の流れへと還っていった。

 ナンマンダブナンマンダブ。

 ロープで木に吊して血抜きしている間に俺たちは昼メシを食っちまおう。



状況変化③です。


敗北!?

次回、新情報!?

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― 新着の感想 ―
こいつら何かあるのか?と思いきや、なにごともなく食卓の新しい仲間に加わっちまったな
そこまで食に困ってる訳でも無いのに、何でも食うやんw
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