表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

183/256

空気の違い ㉛

 そういうことかよ。

 「心配した」なんて言ってたが、コイツらは俺たちの力量を測って仕事に引き込みたかったわけだ。

 いきなり「力比べ」なんて言い出したのも、酔っ払って支離滅裂だったわけじゃなく、最初から狙いが有ったんだな。


 それなら絡み酒みてえな真似をせず素直に誘えば良いものを、スカウトならスカウトって言えっての。

 面倒くせえ遠回りをしやがる。

 まあ、コイツらの事情は分かった。

 だが、断る!!


「あー、わりぃ。森でギルド証を無くしてな。一度王都へ戻らなきゃいけねえんだ」

「そうかぁ」

「そりゃあ間が悪かったな」

 丁重にお誘いをお断りすれば、酔っ払いどもが揃って肩を落とす。


「また次の機会に頼むわ」

「残念だが、そんなときも有るさ。またどこかで会おう」

 俺たちの事情を飲み込んだ1号がテーブル越しに右手を差し出してくる。


「おう」

 俺も右手を差し出して1号の右手を握り返す。

 コイツと握手するのは2回目だが、今度の握手は友好的なものだった。


 こうして話してみれば悪い連中じゃあ無かったな。

 俺たちには少しばかり特殊な事情が有るからつるむわけには行かねえが、連携ぐらいはしても良いと思える連中だった。

 これで終わりかと思えば、4号が宙に視線を飛ばしている。


「そう言えばよ、アンタ。ジッカロープが勝手に突っ込んでくると言ってなかったか?」

「・・・そう言えば、言ってたな」

 他の3人も数秒間、宙へ視線を飛ばした後、4号に同調した。

 何だ。その疑いの目は。


「本当だぞ? 乳脂で具材を炒めてたら突っ込んで来た」

「まさか、野営で臭いを出したのか!?」

 俺の主張に酔っ払いどもが目を剥く。


「そりゃあ、炒めてりゃ匂いぐらい出るだろうよ」

「「「「それだ!!」」」」

 俺の反論に酔っ払いどもが一斉に俺を指した。


「それって、どれ? 匂い?」

「ジッカロープは雑食性で攻撃性も強い。野営中に強い臭いなんか出せば、襲ってくれと言ってるようなもんだぞ」

 1号が頭痛を堪えるようにこめかみを押さえて首を振る。


 そりゃあ初耳だな。

 そんな生態はボルドーの口から出なかった。

 とはいえ、ボルドーは行商人で、冒険者でも猟師でもねえしな。


「あー。やっぱりアレって襲われてたのか」

 思い出してみれば、あのウサギはケイナを狙ったように見えて、ウサギと鍋の間にケイナが居たと見ることも出来る。

 バターが焦げる香ばしい匂いに釣られて出てきたんだな。

 たまたま飛んできたわけでは無かったわけだ。


「普通は野営地を、いつ襲われるか分からん状況にしねえんだよ!」

「そうだぞ! おちおち寝てらんねえだろ!」

「野営地は体を休めるためのもんだろうが!」

 4号がキレて、今度は2号と3号も4号に同調する。


「それもそうだな」

 なるー。

 何か出て来りゃ殴れば良いと考えてたから、匂いなんて気にしてなかったわ。

 俺が素直に認識の誤りを認めてやったのに、酔っ払いどもはズコーッと傾いた。


「アンタら本当に今までよく生きてたな」

「これが強いヤツの余裕か」

 1号の頭痛は2号と3号に感染したようで、4号は脱力してテーブルに突っ伏している。

 コイツら仲良いな。


「でもよ。探して追い回さなくても勝手に集まって来るなら、十分、小遣い稼ぎぐらいにゃなるんじゃねえの?」

 勝手に集まって素っ飛んでくるんだから、片っ端からブン殴れば効率良く狩れるだろう。

 ボルドーは大銀貨1枚と小銀貨5枚と言ってたっけ?

 よく覚えてねえが、ウサギ1羽で大銀貨1枚としても数を狩れば良いだけじゃね。


 食いもんが飛んでくるんだからメシ代が浮くし、追い回す体力を消耗しない分、あちこちに場所を変えて匂いを出せば数を狩れそうな気がするんだが。

 俺の言う意味を理解したのか、4号がガバッと身を起こして1号から3号も俺に視線を向けてくる。

 ガタガタと一斉に席を立ち、椅子の背もたれを掴んで引き摺って行く。


「この宿場町で乳脂を買える店は有るか!?」

「ええっ!? 領都まで行くか、行商人が通るのを待つしか無いと思いますけど!」

 酔っ払いに囲まれて詰め寄られた女性店員がタジタジになって悲鳴のような声を上げている。


「酒場なんだから買い置きが有るだろう! カネを払うから分けてくれ!」

「えええっ!? き、訊いて来ますから、ちょっと待ってください!」

 雉も鳴かずば、ってヤツだ。

 事の始まりは女性店員の余計な一言だったんだから、これも因果応報だろう。


 女性店員が駆け込んだバックヤードから店主らしきオヤジ呼び出され、酔っ払いどもの交渉が始まった。

 価格交渉になるってことは、いくらかバターの買い置きが有るんだろう。

 冒険者ってのは得た情報を直ぐに活かそうとする、なかなかに逞しい連中みてえだな。

 賑やかな店内を眺めながら俺たちは晩メシを片付け、部屋で体を拭いてから、ぐっすりとベッドで眠った。



空気の違い㉛です。


冒険者という連中!

このお話で本章は最終話です!

次話より新章、第13章が始まります!

次回、二つ目!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ