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オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


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104/150

ヒトの街へ ⑱

 爺さんに後に付いてドアを潜ると応接室―――、いや。これは打ち合わせ用というか納品用っぽい感じの部屋だな。

 会議用ほどの高さのテーブルは置いてあるのに椅子は置いていない。

 品物を検品して受け取るためだけの部屋で、商談は一方的な価値判断を立ち話で済ませるスタイルか。

 日本で言えば、質屋(しちや)の質受けカウンターみたいな形態だな。


 それに、ドアの反対側にも別のドアが有って、そのドアの向こうに別の人間の気配がある。

 危険物センサーは反応しないから、そっちは無視で良いだろう。

 テーブルを挟んで正面に立った爺さんが俺と向き合う。

 そろそろ(あお)るのは止めてやるか。


「で。何の素材だ?」

「触角ヘビッスよ」

 リュックを足元に下ろしながら答えると、爺さんが目を剥いた。


「何!? バジリスクか!!」

「ここで出して良いんスか?」

 エレぇ食い付き方だな。

 テーブルへ身を乗り出してくるほどのもんか?


 つーか、今、バジリスクって聞こえたな。

 聞き流してたが、町の入口の爺さんも言ってたっけ。

 翻訳魔法で俺の耳には、俺の認識を元に「触角ヘビ」と聞こえていると理解していたんだが、翻訳魔法がバグってきてねえ?

 それと、バジリスクってトカゲのバケモンじゃなかったか?


 いや。俺はヒナが好きなゲームに付き合っていて、アイテム名? キャラクター名? で覚えただけで、バケモンに詳しいわけじゃねえけどな。

 バケモンみたいに強かった友人(ダチ)なら何人も居るけどよ。

 翻訳魔法の翻訳が正しいのかも、ゲームで覚えた俺の知識が正しいのかどうかも分かんねえから黙ってるけどな。

 翻訳魔法のバグについては、後でケイナに聞いてみよう。


「早く出せ!」

「へーい」

 もう余計な刺激を与える理由も無くなったので素直に従う。

 蛇革と魔石、蛇肉も出してみるか。

 リュックの中へ腕を突っ込んで、手探りで漁る。


「おお!」

 蛇革をズルリとテーブルに置けば、爺さんが目を輝かせた。

 続いて、魔石、大きな葉で包んだ蛇肉、と並べる。

 こうして包みを10個も積み上げてみれば、結構な量だな。


「うむ・・・。うむ! 確かにバジリスクだ!」

 蛇革を手に取った爺さんが、目を皿のようにして品物を検めている。

 素人仕事で腹の方からドラゴン包丁を入れて皮をひん剥いたんだが、捌き方は間違って無かったみたいだな。


「魔石に、これらの包みは肉か?」

「へい」

 魔石を手に取ってウンウンと頷いている爺さんが蛇肉の包みへ目線をやって訊いてくるのを、頷いて返す。


「獲ったのは、いつだ?」

「一昨日ッスよ」

 俺の返事を聞いた爺さんが蛇肉の包みを一気に抱え上げて、奥側のドアを肩で押し開けた。


「鮮度を確かめさせる。肉が痛んでいては買い取れん」

「そりゃそうッスね」

 探るような目で俺の反応を確かめて、俺が頷くと爺さんも頷き返してきた。

 蛇肉と一緒にドアの向こうへ消えた爺さんは、ほんの数分で戻って来る。


「問題は無いようだ。それと、皮に傷が無い。どうやって獲った?」

「木の下で襲って来るのを待って、ブン殴ったんスよ」

「なんと! 武器を使わなかったのか!?」

 再び爺さんが目を見開いて驚いた。


 そこまで驚くようなもんなのか。

 まあ、巨大ヘビと取っ組み合いをする方がおかしいのは分からなくもないか?

 日本に居た頃だと、俺でも大蛇と取っ組み合いをしようとは考えなかっただろうし。

 ここはレイクスと決めておいた「設定」の出番だな。



ヒトの町へ⑱です。


高価買い取り!(誇大広告

次回、キープくん!?

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