表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/53

         EP3人として パート2

 「もういい」

僕の中で何かが切れた音がした。

「ふーんそうかい。ならとっととここから去れ」

去れ…つまり俺はここから去ることだけを強制されておりほかはなにをしてもいいということだ。

「立てるか?」

座り込んでいるエルフにささやくように声をかけた。一瞬あっけにとられたような表情をしたが、小さくうなずいたのでひょいっとお姫様抱っこをした。人生初のお姫様抱っこは意外と簡単だった。この子が軽いからだろう。

「ひゃっ⁉」

変な声が聞こえた気がしたが聞かなかったことにしよう。そして、俺はそのまま走り出した。

「何⁉」「待てゴラ~」「噓だろ⁉」などを口々に言って追いかけてくるがお構いなしに走る。現代科学の塊であるスニーカーの威力はすさまじく、あっという間に逃げきれた。この世界で人間は魔族を迫害する。差別はいつどんなところでも起こりえる。はっきり言って仕方ないことだ。しかし、その行為を``人として正しい``とするのは違うと俺は思う。それはつまり人間同士の共通認識であり社会の常識ということだ。そんな奴らと同じなんて俺は嫌だ。だからこの世界で、俺は人間であることを捨てた。これからは自由にいきさせてもらおう。

 「君名前は?」

「リザ…姓はない」

「じゃあリザさん、これからどうしたい?」

好きに生きるとは言ったものの何か指針がほしいのは事実なので一応聞いてみた。

「どうって…?」

首をかしげた自覚があるのかどうかは分からないが、めちゃくちゃかわいい。

「例えば、さっきの奴らに仕返しするとか、故郷に帰るとか…」

そこまで言ったとたんに彼女は眼の色を変えて、

「帰る場所も、家族も友人も、奪ったのはおまえたち人間だろうが!今更勝手な子を言うな!」

その目は悲しみと寂しさ、そして強い怒りの眼光を発していた。

「悪かった。言葉が足りなかったすまない。実は俺、この世界の人間じゃなくて…」

俺はリザさんにこれまでのことをすべて話した。田口に突き落とされた時から、リザさんに出会う前までの全てを。

「ごめんなさい。急にカッとなってしまって」

「いいさ。もともとは俺の言葉足らずが原因だ。それでこれからどうしたい?」

「私は…たとえなくなっていてももう一度故郷に帰りたい。ちゃんとお別れを言いに行きたい。その後はどこか安全な場所で静かに家族と過ごしたい。まぁ、かぞくはもういないけど」

どこかさみしそうな声でだった。

「じゃあ、俺の故郷に来るか?俺の故郷、魔族いないから差別とかないし、何より別世界だし、どうだ?」

リザさんは少し考えた後、

「行く。あなたの故郷行ってみたい」

「決まりだな。俺はアマネ、アマネ フジヤだ。アマネでいい」

「私もリザでいい」

「よし!じゃあいくかリザ」

そして俺たちは進みだした。リザの故郷、魔大陸ベルへゼ地区にある``エルフの里``へ。

第一章人として完。次章、第二章故郷を目指して。こうご期待。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ