EP9 寒さは気合で吹き飛ば……ってできるか!!
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俺たちは、ノーテル大陸の最北に位置する小さな村、ノルス村に向かって大陸を北上していた。
「で、迷ったと」
俺たちは確かに地図を取得し、ノルス村へ向かっていた。
しかし、地図の通りに進んでも一向にそんな村は見えてこない。
第一!こんな極寒で吹雪の絶えないところに村なんてあんのか?
「寒い……わね……」
アリアが寒さに震えながら言ってきた。ガタガタと顎をけいれんさせている。
ライラは獣人特有の毛皮によって何ら問題のないようだ歩いていた。
「アマネ、体があったまる薬とかないの?」
「作ろうにもこんな寒い中でイメージできるか!はぐれないようにロープ作っただけまだましだ!」
「とりあえず吹雪を……どうにか…すればいいのね……」
アリアはそう言うと、スペーサーを発動し、ここ一帯の吹雪をどこかへ飛ばしてしまった。
「これで少しはましになったわ……え?アマネ!あれ!」
アリアが急に叫んだのでびっくりして、指さされた方を見てみると……
‘‘村があった‘‘
「ライラ!」
「おう」
ライラの持つ獣人の目は人間では見えない距離でも見える特殊なものだ。
「ああ。人がいるぜ。廃墟じゃぁないな……ありゃちゃんとした村だ」
思いがけない幸運に胸を躍らせることも出来ない。
・・・
「ここに……魔眼野郎が……」
村に着いて、最初に思ったことがそれだった。
「アマネ、落ち着いていこう」
アリアが俺の暴走の予兆を感知して止めてくれた。さっすが、俺の嫁だ。
「ありがとう。いこうか」
「ええ」
「おう」
俺たちは村を探索することにした。
小さい宿屋、小さい酒場、小さい道具屋に小さい住居がいくつか並んでいた。
「本当に小さい村だな」
「そうね」
俺たちは先日戦った‘‘親玉‘‘の言葉を思い出した。
「ノルス村の地下か……」
「どこかに扉があると考えるのだとうね」
アリアの冷静な分析に俺は引っかかるところがあった。村を回った感じ怪しい扉はなかったし、俺の結婚時に得た、‘‘リザの気配を感じる力‘‘にも反応がない。
「帝国でやった奴でよ、こうバーンって村ごとくき飛ばしちまえばいいんじゃねぇか?」
「それは無理よ。村人たちの住む場所が無くなっちゃうじゃない」
「あとで作ればいいだろ?」
「おい、ライラ。俺は村一つ作れるほど魔力を持ってねぇぞ!」
あそっか。とライラは何か思い出したように言った。確かに、あいつはよく俺の魔力切れを見てきたもんな。
確か、リザと森に住んでた時によくみんなで洞窟とか行って、案の定、俺とリザがグラン乱射して二人ともライラに担いでもらったっけ……楽しかったなぁ……。
「アマネ?大丈夫?これ使う?」
アリアは‘‘ハンカチ‘‘を手渡してきた。
俺は泣いていた。片方の目からのみ涙が流れて線になっていた。
「え?あ、ああ。ありがとう……」
そういえば、まだちゃんと泣いてなかったな。
俺はハンカチを手に取り、涙を拭いた。その時、リザとの思い出があふれて来た。
森での生活。洞窟での生活。暗いなぁ、暗いなぁとぼやいていた時のこと。結婚した時の、眩しい笑顔。あどけない寝顔。膨れた怒り顔。ああ。見たいな、会いたいな……。会って、抱きしめて、キスして……
『帰ってきたら、いっぱい甘えるからね♪』
「約束、したもんな……」
俺は再び、リザを助け出すことへの決意を新たにした。
しかし、一向に‘‘左目‘‘から涙が流れることはなかった……。
彼の半分は、もう………。
次回
開かれる扉




