EP2 悲劇 パート4
いつも読んでいただきありがとうございます!
魔王城は混乱状態にあった。人間たちが突然裏切ったのだ。これからさらに貿易の幅を広げようと思っていた矢先、突然、頑大陸の王カギタが「お前たちのような汚らしい田舎者との貿易は打ち切らせてもらう」
と言い出したのである。貿易を打ち切るだけならまだ許せた。しかし、あろうことかカギタは「魔族を数人奴隷としてよこせ」とも言ってきたのである。そして、断れば魔大陸を滅ぼすと。クリファは何がいけなかったのか必死で考え、悪魔の末裔だと気づかれたのでは、と思ったが今更後の祭りである。城中、事の収拾に追われックリファも疲れ果てていた。
「どうしてこんな…」
「クリファ様!」
ワリューが慌てた様子で部屋に飛び込んできた。
「どうしたの?」
「人間たちから魔王討伐の兵を挙げたという、宣戦布告が!」
「何ですって⁉」
クリファとて予想はしていた。しかし、宣戦布告できるだけの材料がないと考え、選択肢から外していたのだ。
「まさか…本当に兵を…。ワリュー、兵を集めて」
「了解」
城の謁見室には魔王軍の兵が集められた。皆膝をつき低い姿勢でクリファが来るのを待っている。
「クリファ様御入室!」
ファンファーレはなくただ重い扉の開く音とクリファの足音だけが響いた。クリファは玉座に腰かけると、
「面を上げよ」
クリファの一言に兵士たちが一斉に顔を上げた。
「皆も知っての通り、人間は我々を裏切り、宣戦布告をしてきた。何とも愚かしい行為だ。しかし、我らとて黙ってはおれまい。よって!我々もこのクリファ・アーク・アスモシアスの名において兵を挙げる!この魔大陸をゲスどもから守り抜くのだ!絶対にな!」
言い終わると兵士が一斉に「イエス!マイマスター!」と返事をした。
こうして、両軍が挙兵し、ついに人間との戦争が始まった。
しかし、それは悲劇の連続だった。
まず第一にクリファたちを襲った悲劇は、人間の居住者たちだった。そう。人間たちはこの時のためにスパイを送り込んでいたのだ。そして、カギタの宣戦布告の2日後、そのスパイたちが動き出した。町の魔族を次々と殺して回ったのだ。無抵抗でも、女子供関係なく彼らは殺した。しかも、彼らはその行為をばれないように慎重に行ったため実際にクリファたちが気づいたのは、殺しが始まってから2週間も後になった。路地裏に死体が放置されているのが発見されたのだ。
「なんて卑劣な…!」
この時すでにクリファの怒りは限界を超えようとしていた。ひとまずクリファは人間の居住者たちをとらえてかき集め、``スペーサー``を使って一気に強制送還した。これで第一の悲劇は終わった。
しかし、第二の悲劇が起こった。魔大陸の臨海に毒をまかれたのだ。これにより生活のほとんどを海水の蒸留水で賄っている魔族たちは大勢が死に絶えることになった。道端には血を吐いて倒れた人々が転がっていた。クリファの浄化魔法で元の水質は取り戻したものの、国力は目に見えて減少していた。そして世界は無慈悲かつ狡猾に第三の悲劇をクリファたちに叩き付けた。満を持して、カギタの軍勢が攻めてきたのである。弱っていた魔王軍はいっぽ出遅れ、多大な損害を負った。絶体絶命のピンチの中、クリファとワリュー、他数名の兵士たちは必死に戦った。そして、最後の魔王城に籠城し敵を討つ作戦に出た。
カギタたちがこれを狙っていたとも知らずに…。そして最後の悲劇がクリファとワリューを襲うのだった。




